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積み重ねの果てに  作者: 星狼
酒席の決戦

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19/22

毒矢の特例

サイクスがグラスを掲げて叫んだ。


「ダンバー、いけぇ!」


ダンバーはその言葉に勢いづき、カヴァーデルにさらに詰め寄った。

笑顔のまま、声に力がこもる。


「ガストが欲しいって言いましたよね?アイツがどんな任務してるか、ご存知ですか?」


カヴァーデルはしどろもどろになりながら、指を折って思い出すふりをした。


「え〜っと、ガストは……なんだったっけな……?」


ダンバーは笑顔のまま、ゆっくりと首を振った。


「任務も知らない人間を引き抜こうとしてるんですか!?」


カヴァーデルは慌てて手を振った。


「あっ、え〜っと……思い出したよ……?ガストは三人でキマイラ討伐した奴……!」


ダンバーは声を張り上げた。


「そうですよね!?三人でキマイラ退治した奴です!ガストいなくなったら、誰が仕事するんすか!?あんな仕事、ガスト以外出来ませんよ!?死人続出しますよ!?そうなってもいいんですか!?」


一同がどよめく。

エセスはグラスを握ったまま、息を呑んだ。

カヴァーデルは完全に後退りし、テーブルに手をついた。


「うん、ダメ。ガストはダメ。死人が出ちゃうね。ガストはお前の担当……!そのままで行こう」


ダンバーはさらに続ける。


「そもそもですよ?Bランク任務とは言ってますが、アレ、人数足らずだからAランク任務なんですよ!?だったら、アレAランク用の支給品使わせてもいいんじゃないですか!?」


カヴァーデルは困った顔で答えた。


「いや、でもそれはギルド規則じゃん……?」


サイクスが即座に叫んだ。


「勝負だ、いけぇ!今日は無礼講!」


ダンバーは一気に畳みかけた。

テーブルを叩いて、酒瓶が揺れる。


「規則と、死人が出るのどっちが大事なんですか!?ガスト、毒矢の支給ずっと求めてるんですよ!?本当、このままじゃいつかガスト死にますよ!?任務内容によっては、そういう特例処置あってもいいでしょう!?なんなら、そういう特例処置全部俺が担当したっていいですよ!?」


カヴァーデルは両手を挙げて降参した。

顔は真っ青で、声が上ずっている。


「わ、わかったわかった……確かに人数足らずの依頼なんかは、特例処置必要だよな……?即急に見直し考えるよ。あの、ガストはどうせ昇進試験受けさせるし、もう明日から毒矢支給していいよ。それ、担当のお前から伝えておけ……」


ダンバーは深く頭を下げた。

声に喜びが混じる。


「ありがとうございます!」


マーレイが無言で拍手をする。

サイクスもそれに続いて拍手をしながら、声を上げた。


「今日は無礼講だ!他に言いたい事あるヤツは言っちまえ!俺が全部責任取ってやる!」


エセスはワイングラスを手に取り、一気に飲み干した。

覚悟が決まった。

彼女はゆっくり立ち上がり、カヴァーデルの元へ歩み寄った。


「私、行きます!」


部屋の視線が一気にエセスに集まった。

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