担当者の執着
ロードは勢いに乗って、カヴァーデルに詰め寄った。
顔は笑っているが、目は本気だ。
グラスをテーブルに叩きつけるように置いて、声を張り上げる。
「俺、六年もかけて、サイレンの事、育てたんですよ!?アイツがDランクの時から、コイツは絶対に本物になるって感じて、依頼の選び方からパーティ編成、報告書の書き方まで全部叩き込んで、ここまでやってきたんですよ!?」
カヴァーデルは後ずさりしながら、慌てて手を振った。
顔は真っ赤で、汗が額に浮かんでいる。
「お、おう……お前、六年もやってるのか……?頑張ったなぁ……?」
ロードは止まらない。
声がどんどん大きくなっていく。
テーブルを叩いて、酒瓶が揺れる。
「サイレン、Sランクは目の前じゃないですか!?俺、ここまでやってきたんですよ!?サイレンがSランクになる瞬間を、俺が見届けられないなんてありえませんよ!?そんな事、俺が許すとでも思ってるんですか!?」
サイクスはさらに煽る。
グラスを掲げて、笑い声を上げた。
「いいぞいいぞ、ロード!言ってやれ言ってやれ!今日は無礼講だ!日頃、溜め込んでるもん全部ぶちまけろ!」
エセスはグラスを握ったまま、冷や冷やしながら見守っていた。
マーレイは無言で酒を飲み、ダンバーは静かに様子を窺っている。
エイリーは目を丸くして、エセスの袖を軽く引っ張った。
「エセスさん……これ、大丈夫ですか……?」
エセスは小さく首を振った。
「無礼講だから……多分、大丈夫……」
ロードはさらに畳みかける。
「そもそもですよ!?俺、エヴァンスの事忘れてませんからね!?貴方、エヴァンスもSランク直前で自分の担当に変更したでしょ!?また、同じ事繰り返すんですか!?俺、サイレンだけは絶対に渡す気ないですよ!?」
カヴァーデルは完全に焦った顔で、両手を挙げた。
「わかった、わかった……!サイレンはいい……!後、エヴァンスの事はすまんかった……!サイレンの担当は引き続き、お前だ……!」
ロードは満足げに息を吐き、席に戻った。
グラスを一気に飲み干して、肩を落とす。
「ふぅ……やっと言えました……」
マーレイが無言で拍手をする。
サイクスもそれに続いて拍手をしながら、声を上げた。
「今日は無礼講だ!いけ!他に言いたい事あるヤツは言っちまえ!」
ダンバーがゆっくり立ち上がった。
「じゃあ、自分、行きます」




