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積み重ねの果てに  作者: 星狼
酒席の決戦

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13/22

Sランクの雑談

王族護衛の依頼から、数日後。

ギルドの受付カウンターは、いつもより静かだった。

エセスとエイリーの二人が、書類の整理をしながら待機している。

そこへ、扉が開いてSランク冒険者のイアンが入ってきた。


「お疲れ様です、イアンさん」


エセスとエイリーが同時に頭を下げた。

イアンは軽く手を上げて、カウンターに肘をつく。


「あれ? カヴァーデルさんいない?」


彼は辺りを見回しながら尋ねた。

エセスがすぐに答える。


「もう数十分で来ると思いますが……呼んできましょうか?」


イアンは首を振って、笑った。


「いいよ、いいよ。今日、早く終わったし、十分ぐらいなら待っておくよ」


彼はカウンターの端に腰かけて、雑談を始めた。


「あのさ?リナちゃんって子いるでしょ?あの子の担当って誰?」


エイリーが明るく手を挙げた。


「はい、リナの担当は私です」


イアンは目を細めて、満足げに頷いた。


「あの子、凄いねぇ。とんでもない大物になるかもしれないから、大事にしなよ?」


エイリーの目が輝いた。


「王族護衛の任務ですよね?リナの様子、どうでした?」


イアンは軽く肩をすくめて、楽しげに答えた。


「ずっと、ペイジ王子の隣にいたよ。あの子、歳が近いからペイジ王子に気に入られたっぽいよ。護衛もやりつつ、王子の話に付き合ってね、若いのにしっかりしてて関心したよ」


エイリーは嬉しそうに頰を緩めた。


「ありがとうございます。リナ、王子に気に入られたんですね」


イアンはさらに言葉を続けた。


「だから、レッド国からの依頼が来たら、リナを優先的に回した方がいいかもしれない。あの子出しておけば多分、相手方の信用は買えると思うよ」


エイリーはすぐに書類を取り出し、メモを書き込んだ。


「はい、ありがとうございます。参考にさせて頂きます」


イアンは満足げに頷き、次に話題を変えた。


「それでね?もう一人、若い子いたでしょ?ハルキ君。ハルキ君もエイリーさんが担当?」


エセスが笑顔で前に出た。

ハルキの成果に期待しながら、静かに尋ねる。


「ハルキの担当は私です。ハルキはどうでしたか?」


イアンは少し間を置いて、苦笑いを浮かべた。


「あのねぇ、あの子はねぇ……ちょっとヤバいかもしれない……」


エセスの表情が一瞬、固まった。

イアンの言葉に、不安がよぎる。


(ヤバい……?ハルキが、何か……?)


部屋の空気が、少しだけ重くなった。

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