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積み重ねの果てに  作者: 星狼
静かなる宣戦布告

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12/22

いつも通り

翌日。

ギルドのカウンターは、昨日と同じく静かだった。

リスティが扉を押し開け、荷物を下ろす。

いつものように、依頼達成の報告に来ただけだ。


「今日も誰もいないですね?まぁ、今日は僕が遅くなっちゃったからかな?」


リスティは苦笑いしながら、辺りを見回した。

エセスがカウンターから顔を上げ、柔らかく微笑んだ。


「本日もお疲れ様でした、リスティさん」


彼女は報酬の袋を差し出し、いつものように紙コップのコーヒーを添えた。

しかし、今日は笑顔が少し違う。

少し、意味深だ。


「実はですね……一ヶ月後の話になるんですが、エセスさんに頼みたい依頼があるんですよ。ちなみに、この依頼を引き受けないと、リスティさんはうちのギルド出禁になっちゃいます」


リスティはコーヒーを手に取り、苦笑いを深めた。


「なんですなんです?また、新規案件ですか?」


エセスは周りを軽く見回し、小声で囁いた。


「はい。これは他言無用ですよ?レッド国の王子の護衛案件です」


リスティの表情が一瞬、真顔になった。


「……マジっすか?」


エセスも真顔で頷いた。


「はい。こちらを頼めるのは、リスティさんしかいません。いつものように、受けてくれますよね?」


リスティはコーヒーを一口飲んで、静かに息を吐いた。

少し考えてから、真剣な表情で答えた。


「わかりました。やらせて頂きます」


その時、奥の部屋から足音が近づいてきた。

サイクスが現れ、エセスに視線を向けた。


「彼が、リスティ君だよね?」


エセスが頷く。


「はい、サイクスさん」


リスティは慌てて頭を下げた。


「幹部のサイクスさん……あっ、よろしくお願いします」


サイクスは軽く手を上げて、笑った。


「エセスから話は聞いたと思うが、君の貢献は見させて貰ったよ。気負う事はない、大丈夫だ。ジョン、エヴァンス、シンパー、イアンの四名も参加する」


リスティの目が少し丸くなった。


「ええっ?有名人ばかりじゃないですか?」


サイクスは肩をすくめて、穏やかに言った。


「あぁ、Sランクの有名人ばかりだ。だから、君が気負う必要はない。君はいつも通りの仕事をしてくれれば、それでいい。一ヶ月後、頼むよ」


彼はそう言って、軽く微笑んだ。


エセスが横から明るく声を掛けた。


「リスティさん、頑張って下さい!」


リスティはコーヒーカップをカウンターに置き、笑顔で答えた。


「わかりました。いつも通りに頑張らさせて頂きます」


サイクスは満足げに頷き、奥の部屋へ戻っていった。

エセスはリスティを見送りながら、静かに息を吐いた。

彼女の目には、達成感と少しの緊張が混じっていた。


リスティは荷物を肩にかけ、ギルドの扉を押し開けた。

いつもの街並みが広がる。

彼は一歩踏み出し、いつものように淡々と歩き始めた。


一ヶ月後、王族護衛が待っている。

でも、彼にとっては「いつも通り」の仕事だ。

だが、それでいい。

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