若手の輝き
エセスは慌てて書類の束を捲っていた。
指先が震え、ページが一枚ずつ飛ぶ。
ハルキの書類を探している間に、ギルド員エイリーが素早く立ち上がった。
「若手候補として、私からも一人提案させてください」
エイリーは自分の書類から一枚を取り出し、テーブルに置いた。
名前はリナ。
Cランクの支援魔法使い。
書類には「細かい報告書作成」「支援魔法の正確性」「パーティ補助の実績」がびっしりと記されている。
カヴァーデルが書類を引き寄せ、ページをめくり始めた。
エイリーは落ち着いた声で説明を続けた。
「リナは支援魔法が得意ですが、それ以上に細かい報告書の作成が抜群です。依頼後の詳細報告を完璧にまとめ、ギルドの記録を正確に残してくれています。他の冒険者が『めんどくさい』と投げ出す中、毎回『これでみんなが助かるなら』と書いてくれていて……王族護衛でも、事後の記録や細部への気づきが重要だと思います」
カヴァーデルが書類に目を留めている間に、サイクスがエイリーに声をかけた。
「リナって、あの赤髪のロングストレートの子だよな?」
エイリーが頷く。
「あの子、愛嬌あって良い子だよな?俺も、リナはいいと思うぜ?」
サイクスは軽く笑って、周りに視線を投げた。
ロードとマーレイもすぐに頷く。
「リナちゃんは、いいですね」
「確かに。明るくて、チームの雰囲気も良くなる子ですよ」
カヴァーデルは書類を確認しながら、ゆっくり頷いた。
「あぁ、そんなに評判いいんだ。俺は会った事ないけど……まぁ、でも、皆がそれだけ言うなら、その子にしようか?」
彼は書類をテーブルに置き、軽く手を挙げた。
「じゃあ、リナ採用だ。Cランクの若手として、王族に『ギルドの若手も優秀だ』ってアピールになるな」
部屋に小さな拍手が起こった。
エセスはまだ書類を捲り続けていたが、ようやくハルキのページに指が止まった。
彼女は息を吸い、立ち上がった。
カヴァーデルが部屋を見回し、静かに言った。
「じゃあ、ラスト一人どうする?」
エセスはハルキの書類を強く握り、声を上げた。




