第二十九話:パンコッタ城
ラッカーナを発って二日後、平原の中にパンタンに負けずとも劣らない高さの壁が出現する。
フォルスは高い壁を見て、発言する。
「囲いがカッコイ・・・」
「この壁、パンタンのとどっちが高いかしら?」
食い気味にミリィーが話し出す。
「きっとこっちですよ!」
メニイもテンション高めに言った。
手持無沙汰にしているフォルスの肩をゼイルが慰めるように叩いた。
そうして門の扉の前まで来ると馬車が止まる。
しばらくすると扉が開き、馬車が再び動き出す。
城下町は人で賑わっていた。
パンタンを思わせるような整備された街並みである。
石が敷き詰められて、綺麗に舗装されている道を馬車は進んでいき、堀で囲まれた城の門に到着する。
馬車が止まると兵士がドアを開ける。
「どうぞ、ご降車下さい」
声をかけられると、ミリィーとメニイが兵士に手を引かれて降車する。
その後フォルスとゼイルも馬車を降りた。
「ああ、最高の旅だったわ・・・」
「そうですね、たぶん今回のことは一生忘れません」
ミリィーとメニイが余韻に浸っていると、兵士に移動を促される。
そして四人はパンコッタ城に入っていった。
「これから皆様にはパンコッタ王に謁見していただきます。礼儀を正して、お願いいたします」
兵士からお願いをされ、皆に緊張感が走る。
そして両脇に騎士が立っている、大きな扉の前に到着する。
「魔族を退けた四人の上級冒険者を連れてまいりました」
兵士が扉に向かって声をかけると
「通せ」
と中から声が聞こえた。
「段差の前でひざまずくように、お願いします」
騎士が扉を開けて四人に一言いうと、中に入るよう促す。
中に入ると玉座にどっしりとした初老の人物が座っているのが見えた。
両脇には多くの選りすぐりと思われる騎士達が整然と並んでいる。
騎士から言われた通り、段差の前まで進むと四人が横一列になり、ひざまずいた。
「面を上げよ」
王から言われて、ゼイル達はゆっくりと顔を上げる。
「そなたらが此度、魔族を退けた冒険者達であるな? 我が名は カイゼン・パンコッタ である。そなたらの名も教えてはもらえぬか?」
「はっ、 ゼイル・クレイン でございます」
「私は メニイ・フォーカルス と申します」
「私は ミリィー・アーケリィ でございます」
「私は フォルス・ガフォード と申します」
四人が名乗りを上げると、カイゼンは満足げな表情で部下に指示をする。
「では勲章を授与せよ」
すると、幹部らしき人物が勲章を四人の左胸の上のあたりに、一人ずつにつけてゆく。
勲章をつけ終えるとその人物は王に一礼し元の位置に戻った。
再び王が口を開く。
「で、ここからが本題なのだが、そなたらには魔族の対処をして欲しいと考えている。対処してくれるならば好きな褒美を与えよう。・・・恐らく命がけになるであろう。一日猶予を与える。よく考えてこの命を受けるかどうか決めて欲しい。では、また明日会おう」
ゼイル達は一礼すると退室する。
その日は一人に一部屋ずつ城内の部屋を割り当てられたが、ゼイルの部屋に皆で集まった。
「みんなは魔族の対応をする覚悟はできているかな?」
ゼイルが三人に問いかけると、フォルスが最初に答える。
「当然だ。王からの勅命などなかなか受けられるものではないしな。何より箔が付く」
次に返事したのはミリィーであった。
「私もずっと冒険者として生きていこうと思っているから名を上げたいわ!」
「俺には剣しかないから、これはいい機会だと思ってる。メニイはどうかな?」
ゼイルが黙っているメニイに、問いかける。
「私は・・・二十歳まで旅を続けて、その後は家業の治療師を継ごうと思っていたので・・・・・今はまだ迷っています」
「そうか・・・明日まではまだ時間があるし、よく考えた方が良いよ!」
ゼイルがそう言うと
「あの、ゼイルさんと二人で、もう少し相談してもいいですか?」
メニイが皆に尋ねるとミリィーが答える。
「そりゃあいいに決まってるじゃない? ・・・相談以外のことは程々にしておくのよ!」
「・・・私はミリィーさんとは違います!」
メニイが反論すると、フォルスもメニイに声をかける。
「心行くまで話すといい」
「ありがとう、フォルス君」
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