第二十七話:ダンジョン調査(後編)
入り口にいたモンスターを全て倒すと、ゼイルが中を確認してから、皆で洞窟に入った。
中は最初は暗かったが、奥に進むたびに壁についている水晶のようなものに光が灯り、辺りが見えるようになる。
「この近くに敵はいないわ。罠に気を付けて進みましょう」
ゼイルを先頭にミリィー、メニイ、フォルスの順で隊列を組み、進んでゆく。
たまに設置されている罠を潰しながら奥へと行くと、広いドーム状のスペースに行き着いた。
「ん? 道がここで終わってる・・・」
ゼイルはそう言いながらも歩いていると、突然後ろで音がする。
振り返ると今通ってきた道がなくなっていた。
「どうなっている!?」
フォルスが声を上げると、スペース中央の床に、光で六芒星の魔法陣が描かれる。
ミリィーが皆に警告する。
「あの魔法陣から何か出てくるわ!」
すぐにゼイルとフォルスが前に出て剣を構える。
「確か六芒星は・・・魔王や魔族の扱う魔法陣でしたね」
呟いたメニイの顔は少し強張っていた。
魔王は無論だが、魔族も一般的なモンスターである魔獣の上位種であり、力も知恵も比較にならない程強大なのだ。
そして身長二メートル程の黒い甲冑が六芒星の中心から現れる。
「人間か・・・何をしにきた?」
甲冑の問いにミリィーが答えた。
「それはこっちのセリフよ。ダンジョンブレイクさせたのはあなたなの?」
「そうだと言ったらどうする?」
ミリィーがボウガンを構えようとするが、ゼイルが制止して甲冑に質問する。
「あなたは魔族なのか?」
「ああ、そうだ。私は魔族だが?」
「何の目的でこんなことをするんだい?」
「・・・私は強者にしか興味はない。知りたければ力を示せ」
魔族はそう言うと大剣を鞘から抜放つ。
ゼイル達も武器を構え、戦闘体勢に入る。
ゼイルとファルスが黒い甲冑に向かって駆けだすと、二人の間からミリィーがボウガンで矢を放つ。
しかし、矢は甲冑に当たる直前で何かに当たったかのように勢いを失い、床に落ちる。
再度確認するように矢を放ったが、同様に矢が落ちる。
「えっ? 何それ・・・ずるいわよ!」
ミリィーが悔しがっていると、魔族が言った。
「私にそのような武器は通用しない・・・」
「ふん」
フォルスが剣を振るう。いつの間にか二人は甲冑に迫っていた。
敵がフォルスの剣を避けると、間を開けずにゼイルが切りかかる。
「はぁっ」
魔族はゼイルの剣を大剣で止めると力で押し返す。
するとゼイルが五メートル程後ろに飛ばされる。
「せやぁ!」
再度フォルスの剣が甲冑をとらえるが、大剣で受け流された。
直後、魔族はフォルスの胴に切り込もうとする。
が、そこにボウガンの矢が飛んできた。
魔族はそれを避けると、背後に左手を掲げる。
魔力を放出して、メニイのアイシクルステイクを相殺した。
その隙にフォルスが敵と距離をとる。
最初と同じ戦闘状況に戻った。
すると、魔族が笑い出した。
「はっはっはっはっ・・・やるではないか? こんなに楽しいのは何時ぶりか」
「目的を話す気になりましたか?」
メニイが少しかすれた声で質問する。
「・・・・いいだろう。目的はシンプルだ。我らは領地を拡大したいのだ。人間はその邪魔になる。それで手始めとしてここをダンジョンブレイクすることにした。んっ?・・・どうやら今日はここまでのようだ。また会おう」
「待て、お前の名はなんという!」
フォルスが魔族に問いかけると
「私を楽しませた褒美だ、教えてやろう。我が名は’メルド’だ。有意義な時間であったぞ」
と答え、自身の足元に魔法陣を出現させる。
次の瞬間にはメルドの姿は消えていた。
そして遠くで音がすると、帰り道が姿を現す。
皆の緊張が解ける。
「まさか俺たちの連携攻撃を凌ぐなんて・・・」
最初にゼイルが口を開くとミリィーとフォルスも同意する。
「あの強さは反則でしょ」
「魔族と戦うのは初めてだが、あそこまでとは・・・」
そこでメニイは呟いた。
「でも、無敵という訳ではないみたいですね?」
「どういうこと?」
ミリィーがメニイに尋ねる。
「最初の二本の矢に対しては対処しなかったのに、最後の矢は避けました。・・・恐らく理由があるんじゃないでしょうか?」
「確かに・・・」
「とりあえず、まずはラッカーナに戻って報告しよう」
ゼイルが皆に確認するように言うとミリィーが答える。
「そうね、まずは戻りましょう」
「そうだな」
「そうですね、少し疲れました」
フォルスとメニイも賛同し、ラッカーナに戻ることにした。
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