第二十六話:ダンジョン調査(前編)
三人は海館を満喫して宿に戻ると、受付で声をかけられる。
「あ! ゼイル・クレイン様ですね?」
「はい、そうですが?」
「先程、酒場の方がこられて、伝言をことづけられましたので。酒場に一度来て欲しいとのことでした」
ゼイル達は荷物を置くと酒場へ向かった。
酒場に到着するとマスターが右手を上げる。
「やあ、きてくれてありがとう。ちょっとこちらで話を聞いてもらえないかな?」
三人は言われた通り、カウンター席に座る。
「早速だが、君たちに仕事に依頼をしたいと思っていてね。昨日のダンジョンのことなんだが、調査をしてもらいたいんだ。パンタンから強力な助っ人にもきてもらっているんだが。どうだろうか?」
「助っ人の実力は信じてもいいんですね?」
メニイが質問する。
「ああ、それはパンタン役所のお墨付きさ。君たちの実力も聞いているが、間違いなく助けになるレベルだよ」
「どうするゼイル?」
ミリィーから問いかけられると
「・・・無理をしなくていいというなら、危険だと判断したら引き揚げますが、それでもいいですか?」
「ああ、そうしてもらえると助かる」
「メニイとミリィーもそれでいいかな?」
「ええ、いいわよ!」
「はい、そうしましょう!」
そうして三人は翌日、洞窟ダンジョンの調査を実施することになった。
翌朝三人は洞窟ダンジョンへと向かっていた。
「しかし助っ人ってどんな人かしらね?」
ミリィーが口を開く。
「そうですね。いい人だといいですね?」
メニイが答えると、ゼイルも会話に加わった。
「実力のある人らしいから、ちゃんとした人じゃないかな? まあ、これからずっと一緒に旅するわけじゃないし、大丈夫じゃないかな?」
そんなことを話していると、ダンジョンが近くなってくる。
入り口の傍に人影が一つ見えた。
「どうやら一人のようね・・・」
ミリィーの言う通り、紫の甲冑を装備した人が洞窟の穴を塞いでいる鉄板を調べているようだ。
「おはようございます、中級冒険者のゼイルです」
ゼイルが声をかけると、鉄板の調査を止めて、紫の長髪を揺らしながら振り向く。
「なっ! ゼイル!? ここで何をしている!」
「・・・デジャブ」
ミリィーがポツリと呟くとメニイも苦笑いを浮かべる。
「はっはっはっ・・・」
ゼイルが答える。
「いや、このダンジョンの調査を、ラッカーナの酒場のマスターから依頼されたんだよ。フォルスが俺達の助っ人かい?」
「・・・そういうことか。俺も依頼を受けてしまった以上、仕方あるまい」
フォルスはメニイとミリィーの方に向き直ると自己紹介をした。
「俺はアルバルト流剣術’師範代’の フォルス・ガフォード だ。よろしく」
二人も、師範代を強調されたことをスルーして返事する。
「私は法術師兼魔術師の メニイ・フォーカルス です。よろしくお願いします」
「私はシーフの ミリィー・アーケリィ よ。まあ、ダンジョン調査中は仲良くしましょうね?」
「俺はそのつもりだぞ」
フォルスはミリィーから目を逸らすと、再び鉄板を調べだした。
「鉄板を調べても無駄よフォルス。こっちを見ないと」
ミリィーはそう言うと 左横のパネルを見始める。
しばらく操作すると皆に声をかけた。
「今から入り口を開けるから、みんな戦闘に備えて」
するとゼイルとフォルスが鉄の扉の前で剣を抜き、五メートル後ろでメニイが杖を構える。
「ストレングス!」
メニイの声が響くと、四人の全身が淡い光のベールに包まれる。
「じゃあいくわよ!」
ミリィーがレバーを上に上げると、重厚な鉄の扉がゆっくりと上がっていく。
作業を終えると、ミリィーもメニイの近くの木の枝に登り、ボウガンを構えた。
扉が腰の辺りまで上がると、屈んだモンスターが頭を出す。
その頭をフォルスが剣で叩き割った。その横ではゼイルも同様に敵を倒す。
その間にも徐々に扉は開き、大量のモンスターが入り口に集まっているのが見えた。
穴から出てこようとするモンスター達を男子二人が切り倒していると、突然氷の杭が一本空中に発生する。
メニイのアイシクルステイクである。
氷杭は標的に向かって刺さり、その個体を氷塊へと変えた。
すると、穴から出てこようとするモンスター達の氷壁となる。
その壁はすぐ後ろにいる個体に壊されるが、先程よりも前衛の二人は余裕をもって敵を倒せるようになった。
ミリィーは、隙間から時々飛び出してくる小型のモンスターをボウガンで撃ち落とした。
「ナイス、メニイ! ミリィー!」
ゼイルはげきを送るとフォルスから声をかけられる。
「あの二人なかなかやるな。・・・ゼイル、少し前衛を任せる」
「了解!」
余裕のできたフォルスは前衛をゼイルに任せると、詠唱を始める。
「・・・ライトニングボルト!」
広範囲への雷撃を放つ魔術、ライトニングボルトを行使した。
洞窟内に激しい光が発生し、轟音が鳴り響く。
女子二人は驚きの表情を浮かべる。
迫っていたモンスター達の半分程が一掃された。
残ったモンスター達が出口の穴に殺到するが、発生する氷塊と飛んでくる矢、そしてゼイルに外に出ることを阻まれる。
すると再度フォルスはその魔術の名を叫ぶ。
「ライトニングボルト!」
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