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第二十三話:ラッカーナの洞窟ダンジョン



 四人がダンジョンの入り口である洞窟に到着すると、三人の冒険者が十匹程の中級モンスターと対峙していた。

 まだ町の方に向かった個体はいないようだ。

 

 ゼイル達が駆け付けたことに気付くと、三人の表情が少し和らぐ。

「ポリー、助っ人を呼んできたんだな? よくやった! こいつらを・・・」


 ’バチ バリィッ’

 三人の内の一人が何かをゼイル達に伝えようと叫ぼうとしたが、その時にはすでにモンスターが一匹地面に倒れていた。

 メニイのライトニングである。

 続けて雷撃がモンスター達を襲い、行動不能にしてゆく。

 

 ミリィは雷撃をすり抜けてきた敵に、十メートル程離れた木の上から、ボウガンで矢を放つ。

 そしてゼイルは、矢が刺さって動きの鈍くなった個体を剣で切り捨てていく。

 

 しかしモンスター達の減るペースはあまり早くはない。

 洞窟から引っ切り無しに、モンスターが出てきているからである。

 

 ”このままだとジリ貧になるかもしれない” ゼイルがそう思ったとき、ミリィーが叫んだ。

「ゼイル、メニイ! 洞窟の穴の左側壁まで道を作って!!」

 直後、ポリーも対抗するように叫ぶ。

「今、攻撃の手を緩めたらモンスターが溢れるぞ!! ミリィーを信じるな!!」


 ゼイルとメニイがどう行動するかは決まっていた。

 

 ”バリィ バチィッチィ”

 穴の左側壁近くに集まっていた敵が、今までよりも強力な雷撃によって吹き飛ぶ。

 

 それを合図にミリィーが木から飛び降りて、穴の左側に向かって駆けだす。

 

 するとミリィーの前にモンスターが一体、立ちはだかった。

 が、ゼイルがものすごいスピードと勢いで突進して突き飛ばす。


 するとミリィーは洞窟の壁まで到着し、据え付けられたパネルのようなものをいじり始める。

「少し時間を稼いで! お願い!!」

 ゼイルとメニイが、剣と魔術でミリィーを守るようにモンスターを倒してゆく。

 

 他の溢れそうになる個体は、ポリー達四人に対応を任せていた。


 そうして十秒程経った時、洞窟の穴の上部に空いていた横長の隙間から、分厚い鉄板が落ちてくる。

 ’ドッスーン’

 完全に穴が塞がっていた。

 もうモンスターが穴から出てくることはないだろう。

 

「後はこいつらを片付けるだけよ!!」

 ミリィーがその場にいる全員に叫んだ。


「さすがですね、ミリィーさん・・・」

「さっすが~」

 メニイとゼイルはミリィーに感謝すると共に、勝利を確信する。


 案の定、七人の冒険者は数分で残りのモンスターを片付けることができた。



 冒険者達は町に戻ると酒場へ向かった。

 酒場に到着すると、マスターに洞窟ダンジョンの件を報告する。

 

 するとマスターは深刻な顔で言った。 

「そうか、それはダンジョンブレイクだね・・・」 

「ダンジョンブレイクとは何ですか?」

 メニイが質問するとマスターは話を続ける。

 

「ダンジョンブレイクというのは、洞窟ダンジョンで起こったような、モンスターがダンジョンから溢れる事象のことさ。原因はダンジョン内に存在する魔力量の増加だ」

「どんな時に魔力量が増えるんですか?」

 セイルが問いかけた。

「二つの要因がある。一つは、ダンジョン周辺に魔力が集まった時に偶然起こる一時的なもの。そして二つ目は・・・・・魔王やその配下である魔族の魔力による影響によって発生するもの・・・・」

 

 皆が静まり返る。


 沈黙を破ったのはミリィーであった。

「魔王って二百年くらい前に勇者様に討伐されたんじゃなかったかしら?」

 ポリーの仲間の一人も同意する。

「そうだぜ、魔王だなんて・・・・縁起の悪い・・・」


「原因はどちらかということだよ。恐らく一時的なものだと思うが、酒場連合本部に報告はしておくよ。あと、今回の報酬も出すから後で受け取りに来てくれ。しかし助かったよ。みんなありがとう」

 

 =酒場連合とは、冒険者をサポートするために全世界で設立された組織である。

  収益性と情報収集の為、酒場という形態をとっている。

  旅人には必須の重要インフラである。                 =

 

 そうして皆が散り散りになっていくなかで、ポリーがミリィーに近づく。

「ミリィー・・・・・済まなかった」

 それだけ言うとポリーは酒場から去っていった。


 ポリーの背中を見ていたミリィーにメニイが笑顔で語りかける。

「良かったですね?」


 するとミリィーはニンマリして、メニイを抱きしめる。

「ちょ、ちょっとどうしたんですか?」

 ミリィーは焦っているメニイの頭を優しく撫でる。

「メニイは可愛いわね~~~、猫なんかよりずっと可愛いわ」

「もう、ミリィーさんったら・・・・・」

 メニイは頬を少し赤くすると、いつの間にかゼイルが近くにいることに気付く。

「こっ、これはミリィーさんが・・・」


「仲良きことは素晴らしきかな!」

 ゼイルはそれだけ言うと酒場から去っていった。

 するとメニイが叫ぶ。

「ちょっと、どこ行くんですか!!」

 

 そうしてメニイは、しばらくミリィーに抱きしめられたまま過ごした。



 三十分ほど経ってゼイルが酒場に戻った時には皆、冷静になっていた。


「この後はどうしましょうか?」

 メニイが二人に問いかけるとゼイルが答える。

「実は今、町を回ってたら’海館’があったんだけど、どうかな? 二人は水着とか持ってる?」


 この世界の海にはモンスターがいるので、遊泳は難しい。

 それで港町には海館という遊泳施設が設置されていることが多いのであった。


「実は私、パンタンで水着買っておいたの。次はラッカーナに向かうって言ってたから・・・」

「実は私も買いました・・・」

 ミリィーに続いてメニイも返事した。

「実は俺も・・・」


 ということで翌日、皆で海館に行くことになった。



 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


 もしよかったら次話もご覧ください。

 よろしくお願いします。

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