第二十二話:ラッカーナ(後編)
三人は食事を終えて、満足した表情で食堂を出る。
「あ~、定食うまかったね?」
「はい、あのアジの叩きはまさに・・・」
ゼイルが食事の感想を述べるとメニイが論評を始めた。
「もう! そういうのはおしまいって言ったでしょ?」
しかし、ミリィーに止められる。
「・・・ただ定食の感想を言ってるだけなんですが」
メニイはまだ物足りないというような表情を浮かべた。
「それよりこの後どうする?」
ゼイルの問いに二人が思案していると、不意に前から歩いてきた冒険者風の男に声をかけられる。
「あれ~? ミリィー? ・・・なんだ、やっぱりミリィーじゃん」
三人がその男に視線を移すと、ミリィーの顔が強張った。
「久しぶりね、ポリー・・・」
ミリィーが金髪で細身の冒険者に返事する。
「何でここにいるの?」
ポリーがミリィーに質問した。
「今、仲間達と旅の途中で・・・」
ミリィーが答えていると、遮るようにポリーが言う。
「よく、戻ってきたな? ここでは・・・」
「この人はミリィーの知り合いかい?」
すると耐えかねてゼイルが仲裁に入る。
「・・・ミリィーの仲間ね? せいぜい怪我しないように気を付けた方が良いぜ」
ポリーはそう言い残して去っていった。
「ポリーさん、というんですか?」
メニイがミリィーに問いかける。
「うん、宿に戻ったら話すわ。最初に出会ったときに一人でいた理由も・・・」
そうして三人は宿に戻ることにした
宿に戻ると皆でミリィーとメニイの部屋に移動する。
席に着くとミリィーが語りだした。
「二人と出会う少し前までは、私も別のパーティーに所属していたの。ある日そのパーティーでダンジョン探索をしたんだけど、そこは罠が多くてね。シーフは私しかいなかったから、罠の解除を任されたのだけど・・・。一つの罠を解除するのに手間取ってしまって。危ないから待つように言ったのに、皆が先に行って・・・」
「罠にかかったの?」
ゼイルが質問するとミリィーが消え入るような声で答える。
「・・・・・うん、それで、私は・・・パーティーを・・・・・」
「そんなの自業自得じゃないですか!」
メニイが、自分の太ももを拳で叩きながら言った。
するとゼイルが優しい口調で話す。
「ミリィーは何も悪くないよ。大丈夫だよ。それに今は俺とメニイがミリィーの仲間だ。心配することなんてないからね?」
下を向いていたミリィーは、ゼイルに抱き着き、泣き始めた。
三人はしばらくそのまま、部屋で過ごした。
翌朝、ミリィーとメニイは寝巻きから普段着に着替えて支度すると、宿の食堂に移動する。
するとテーブル席にゼイルが座っていた。
二人は挨拶をする。
「おはよう、ゼイル」
「おはようございます」
「二人ともおはよう。ミリィー、気分は落ち着いた?」
「ええ、だいぶ落ち着いたわ。ありがとう」
三人は朝食を済ませると、腹ごなしに町を散歩することにした。
潮のにおいのする街をのんびり歩いていると、前から金髪の男が血相を変えて走ってくる。ポリーだ。
「ミリィー・・・」
ミリィーを庇うようにゼイルが前に出ようとするが
「大丈夫よ、ゼイル。ありがとうね」
ミリィーが顔を近づけて軽くウィンクしながら、耳元でささやく。
ゼイルは’ドキッ’とした。
するとポリーが三人に助けを求める。
「大変だ、洞窟ダンジョンのモンスターが出てきた! この町まで来ちまう!!」
「どういうことですか?」
メニイが問うと焦っているポリーの代わりにミリィーが答えた。
「この町の近くにダンジョンがあるのよ。恐らくそこからモンスターが出てきたんじゃないかしら・・・」
「ダンジョンからモンスターが出てくるなんてことがあるんですか!?」
驚いているメニイにゼイルが言う。
「今は話をしている場合じゃない。とりあえずダンジョンに向かおう! あんたはどうするんだ?」
ゼイルがポリーに声をかけると
「もっ、もちろん行く!」
そうして四人は洞窟ダンジョンへ向かった。
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