第二十話:中級依頼(後編)
皆が馬車に乗り込み、再びラッカーナへ向かっている。
周りはオレンジに染め上げられていた。
「もう日が落ちてきたし、そろそろ野営の準備をしようか?」
ジーニーが馬車を止めて皆に呼び掛ける。
「そうですね、みんなで準備しましょう!」
メニイが答えた。
皆でテントの入った布袋や食料などを馬車から運び出し、作業を進める。
そうして三十分程でテント二つを設置した。
夕食を終えて片付けると、ジーニーが三人に言う。
「明日も朝から移動だし、そろそろ寝ようか?」
「そうね、じゃあ行きましょう?」
ミリィーは返事をするとゼイルの手を引いてテントに入る。
かと思われたが、メニイは見逃さなかった。
「ミリィーさん、何でゼイルさんと一緒なんですか?」
「何でって・・・そんなの決まってるでしょ?」
ミリィーは顔を赤らめる。
するとメニイは顔に青筋を浮かべて、叫びに近い声量で言い放った。
「ふざけないでください!! ゼイルさんも何で一緒に行くんですか!?」
「ごめん、あまりにも動きが自然だったから・・・」
メニイはゼイルのもう一方の手を掴むと引っ張る。
「ミリィーさん、早く手を放してください!!」
すると
「ほ~~ほっほっほっほ~~、ほっほ~~・・・」
とジーニーの笑い声が響き、皆が注目した。
「もてる男はつらいね、ゼイル君?」
「いえ、そんなこと・・・」
ゼイルが口ごもるとジーニーが続ける。
「それなら三人でそっちのテントで寝るかい?」
「ジーニーさんまで何を言い出すんですか!?」
「からかわないでください!!」
ゼイルとメニイが赤面しながら言った。
「私は構わないのに・・・」
ミリィーが呟くと
「あなたは黙っててください!」
きつめの口調で言うメニイと、ミリィーにゼイルが要求をする。
「それより二人とも手を放してくれないかな? 腕がもぎれるよ・・・」
二人はゼイルを引き続けていた。
結局メニイとミリィー、ゼイルとジーニーの二組で分かれて寝ることになった。
まだ薄暗い早朝にゼイルは肌寒さで目を覚ます。
テントを出ると何か音が聞こえる。
’ヒュッ トンッ ヒュッ トンッ ヒュッ ヒュッ トンッ・・・’
何気なくそちらへ向かうと、ミリィーが真剣な表情で十メートル程離れた木に向かって何かをしていた。
「おはよう、ミリィー」
ゼイルに気付くと作業を止め、挨拶を返す。
「ゼイル、おはよう。恥ずかしいところを見られちゃったわね・・・」
そう言ってミリィーは右手に持っていた物を隠すように、両手を後ろで組んだ。
「それはボウガンだね?」
ゼイルに問われると彼女は白状する。
「これは、パンタンで買ったの。ボウガンなら学院で扱ったし・・・。わたしっていつも戦闘で役に立たないじゃない? だからこれがあればと思って・・・。結構 的 に当たるようになってきたのよ。すごいでしょ?」
「そんなに気負うことないのに。・・・ミリィーはパーティーに無くてはならない存在だよ」
ゼイルはミリィーに優しい口調で話した。
するとミリィーは首を横に振ってから言う。
「わたしは二人の役に立ちたいの・・・。おかしいかしら?」
「そんなことないよ。こんな短期間で出来るようになるなんてすごいよ!」
ゼイルに激励されるとミリィーが笑顔になる。
「ありがとう、もう少し続けるわね。あと、メニイには内緒にしてくれるかしら?」
「うん、わかった」
ゼイルは返事するとテントに戻った。
日が昇って朝八時半ごろ。
皆、支度を済ませて馬車の定位置についていた。
「じゃあ出発しようか?」
ジーニーはそう言うと、景気よく馬を前進させる。
道中に何度かモンスターと遭遇したが、三人の活躍により遅滞なく二日でラッカーナに到着することが出来た。
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