第十八話:初心者卒業
武闘大会から数日後の朝、パンタンで十分休息をとった三人は酒場に来ていた。
「どんな仕事がありますかね?」
メニイの問いにゼイルが返答する。
「武闘大会の賞金も出たし、そんなに無理しなくてもいいんじゃない」
するとミリィーが釘を刺した。
「路銀はいくらあっても困らないわ。むしろ無くなったら終わりよ」
「そっか~」
ゼイルは少しテンション低めに答える。
「おはようございます。仕事の依頼はありますか?」
メニイが眼鏡をかけた初老の男性、酒場のマスターに冒険者証を提示しながら質問すると、柔らかな物腰で返事した。
「はい、おはよう。・・・ああ、三回依頼を達成したんだね。では今日からは初級冒険者に格上げだよ」
マスターはそう言って冒険者証を専用の機械にかざしてから、メニイに手渡す。
カードを確認すると、以前はビギナー冒険者と表示されていたところが、初級冒険者と新たに記されていた。
「ありがとうございます!」
メニイが嬉しそうにお礼をすると、ゼイルもカードを差し出す。
「俺の冒険者証の更新もお願いします」
マスターはカードを受け取ると、再度機械にかざす。
「はい、どうぞ」
ゼイルはマスターからカードを受け取り、記載内容を確認した。
「あれっ? 俺の表示は中級冒険者になってる」
するとメニイもゼイルのカードを覗き込む。
「君はこの前、武闘大会で準優勝した子だろう? 冒険者証はこなした依頼の数だけじゃなく、難易度や実績によっても格上げされるんだよ」
マスターは三人に丁寧に説明する。
「因みに私も中級冒険者よ」
ミリィーが少し胸を張りながらそう告げると、メニイは鼻息を’ふんっ’と吐いて自分に言い聞かせるように言った。
「そうなんですね。わたしも頑張らないと・・・」
「君達なら中級冒険者用の依頼を受けられるけどどうする?」
マスターに問われて三人は相談する。
「どうしようか?」
「良いんじゃないかしら。メニイもかなりの使い手だし」
「じゃあそうしますか」
会話を聞いていたマスターはそれとなく中級用の依頼表を三人に開いて見せた。
「今ある依頼はこれだけだね」
三人がどれにするか思案していると、メニイが声を上げる。
「これなんてどうですかね?」
指差しているところを二人が見ると、ミリィーが一瞬ギョッとするが、ゼイルは気付かずに会話を始めた。
「ああ、コンハの北東にあるラッカーナまで移動する、馬車の護衛ね。ちょっと遠いけど、いいんじゃない?」
「・・・ちょっと遠すぎない?」
するとミリィーがやんわり反対する。
「でも、近くじゃ中級にならないんじゃないですか?」
メニイが言うとゼイルも賛成する。
「ミリィー、大丈夫だよ。俺たち連携も取れてるし、心配することないよ!」
「う~ん、・・・まあそうね」
少しテンション低めにミリィーも了承した。
「じゃあこの依頼でいいのかな?」
マスターから問われると三人で答える。
「「「お願いします」」」
「因みに・・・依頼者は商人のジーニーさんだね」
マスターの呟きに皆が反応する。
「ああ、ジーニーさんか」
「また一緒に旅することになるとはね」
「縁があるのかもしれませんね?」
「じゃあ、明日の朝八時半には店の前に集まるようにね?」
マスターから伝えられると、三人が返事する。
「「「はいっ」」」
その日ゼイル達は、ラッカーナへの出発の準備を整えることにした。
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