第十三話:好敵手
三人は洋服の詰まった袋を持って店を出ると
「次はどうします?」
メニイに問われてゼイルが答える。
「俺は装備品を見たいかな。ここなら良いものが手に入るかも・・・」
「そうね、見てみましょうか?」
ミリィーも了承すると皆で武具屋に向かう。
鎧のマークが入った看板の店を見つけると、早速入った。
やはりこの店も品揃えが良い。
「さすがだな~」
ゼイルが感心して品物を見ていると店員の声が聞こえる。
「いらっしゃいませ」
客が入ってきたようだ。ゼイルは何気なくそちらを見ると
「あれ・・・師範様御一行じゃないか?」
フォルスが三人にゆっくり近づきながら言った。
「君も買い物かい?」
ゼイルが質問すると
「そんなことより、明日から武闘大会が開催されるのは知っているか?
今日がエントリーの締め切りだ。お前も出場しろ 」
フォルスの自分勝手な物言いにミリィーが怒りを込めて言う。
「ちょっと、あなた何様なの!」
ゼイルは落ち着いた様子で彼女を制止すると、フォルスに尋ねた。
「大会の内容は?」
「・・・武器も魔法も使用可。相手がダウンするか、降参したら勝ちだ
トーナメント方式で、ある程度の功績を持った者しか参加出来ない
お前は師範の称号があるから、参加資格として十分だろう 」
「何処で受付をしているんだい?」
「街の中央にある役所さ。でかい建物があるだろ?」
確かに、そんな建物を移動中に見たように感じた。
「わかった。俺も大会に参加するよ」
「・・・ふんっ、逃げるなよ」
フォルスはそう言い残すと店の奥へと歩いて行った。
「二人ともごめんね。勝手に決めてしまって・・・。彼は一度決めると、
聞かなくてね 」
ゼイルは申し訳なさそうに詫びを入れる。
「私は構わないけど・・・」
ミリィーはメニイの方に視線を向けながら言った。
「良いんじゃないですか? 大会で優勝しちゃいましょうよゼイルさん!」
メニイに言われて答える。
「ありがとう。メニイの言う通り、参加するからには優勝を目指すよ!
そうと決まればまずは装備を整えないとね 」
三人は早速、ゼイルに最適な装備を選び始めた。
装備を整えた一行は店を出て、役所を目指す。
少し歩くと、街の中央に青い屋根の白い大きな建物があるのが見えた。
「あの青い屋根の建物が役所よ」
建物を指差しながらミリィーが言った。
建物に到着すると、その高さに二人が驚く。
「まあ、判ってましたけどね・・・」
メニイが呟くとゼイルを先頭に三人は役所に入った。
「いらっしゃいませ~。本日のご用件は?」
ドアの近くには受付カウンターがあり、席についている女性が柔らかな物腰で聞いてくる。
「明日から開催される武闘大会に出場したいんだ。手続きをして貰えるかな?」
ゼイルは答えた。
「では、これまでの功績を証明するものの提示をお願いします」
「これでいいかな?」
そう言ってゼイルは手のひら大のカードを差し出す。
「っ!? アルバルト流剣術師範の称号をお持ちなのですね。承知しました
残りの処理はこちらで致しますので、明日の午前十時までに、町の南にある
コロシアムにおいで下さい。ではよろしくお願いします 」
ゼイルの出場手続きを終えると、三人は宿に戻って休むことにした。
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