表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/32

第19話 ゲームの真相

第19話 ゲームの真相

■ユナ 視点


深夜の渋谷。ネオンの明滅が映るカフェのテラス席で、ユナは無言でアイスコーヒーを口に運んだ。向かいに座るのは、父・ヒサシの元マネージャーであるモリヤマ・ケンジ。


「……この話は、お前にしかせぇへん」


そう前置きしたモリヤマは、古びたICレコーダーを差し出した。そこには、事件報道の数日前に録音されたヒサシの肉声が残っていた。


『……“ゲーム”って言葉、最初に言い出したんは後輩や。“接待やなくて遊びや”ってな。ワシは、ただ流れに乗っただけや』


『けど、やったことにされたんは、ワシだけや』


■録音の真実


再生された音声には、ヒサシの哀しげな声が確かに記録されていた。


『証拠? あるにはある。でも業界は守ってくれへん。“お笑い”がウケてるうちは味方でも、滑ったら敵や。それが“芸人”やって、ようわかってた』


ユナの表情が歪む。


「父は、共犯の“盾”にされたってこと……?」


モリヤマは苦く頷いた。


「せや。“大物芸人”って看板があったからこそ、“主犯”に仕立てられた。下っ端のやらかしは、全部ヒサシの責任になったんや」


■配信:ゲームの真相


タイトル:《“ゲーム”という報道が作った物語》


ユナは画面越しに語りかける。


「今日は、父が“スキャンダルの主犯”にされた“ゲーム”の真相について話します」


映像には、防犯カメラの記録、当時の週刊誌記事、そしてモリヤマが提供した音声が順に映し出される。


「父は“主導者”ではなかった。証拠もある。だけど、記事が欲しかった週刊誌は“一番名前のある人間”を撃った。“真実相当性”という名のもとに」


■コメント欄の反響


【ヒサシだけが潰された理由、これか】【やっぱり名前がデカいほど狙われる】【業界の闇が見えた】


一方、冷静な意見も。


【聖人扱いは違う】【一部は事実じゃないの?】【報道を全部否定しても前に進まない】


ユナは、そんなコメントを読みながら、ひとつだけ応えた。


「私は、父の過ちを否定する気はありません。ただ、“壊され方”には順序がある。公平さが必要だった。それがなかったから、父は死んだのです」


■ミナト・マサノリ 視点(元相方)


録音を見たミナトは、独りごちる。


「ヒサシ……お前は最後まで、後輩をかばってたんやな。でも、その優しさが命を削った」


彼は一枚のネタ帳を開き、最後にヒサシが書いたと思しき一文を指でなぞった。


——「笑いは、人を救える。でも、人を殺すこともある」


■ユナ 視点


その夜、ユナは父のノートの隅に新たな言葉を書き加えた。


——“父が報道に殺されたなら、私は“自分の意思で”終わらせる”


そしてカメラに向かって、ただ一言。


「責任を取る世界。その中心に、私自身を置いていい。父が選べなかった結末を、私が選ぶから」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ