死蔵される少女のイメージ
縦書きPDFで読むと改行がびしっと決まって美しくなるはず。お時間ある方はぜひお試しを。
死蔵される少女のイメージ
に忠実に象られる人形の家
は幾たりものもの言わぬ体
を収めて静まり少年の足音
だけがイメージを擾乱する
もの言わぬ体に語りかける
少年のあこがれは完全な体
血を流さなぬ痛みを知らぬ
汗一つかかず白磁の肌持つ
すべすべした個体を所有物
にしておくのが夢だったが
自身もまた白磁の肌をもつ
の少年は死蔵された少女の
硬質な肌に触れておののく
己が皮膚の下に流れる体液
を恥じながら祈りの言葉を
つぶやき熱い血を迸らせる
バラバラにされ糸を切られ
さなかに少年のとどまらぬ
愛撫と陵辱と再生のさなか
にも完全さを損なわれない
非可傷の少女達を幾たりも
収める人形の家は新たなる
コレクションを手に入れる
股間に刻みまれる一筋の傷
は撤去された記念碑の基礎
死蔵される少女達が生命と
分裂を停止した後の魂の痕
だった