澄咲奏という完璧な美少女
キーンコーンカーン
――やっと三限目が終わった。
ねみぃ。
疲れた。
「あの夢」を見た日は日中、体がしんどくて仕方がない。
この学園の授業は正直、東京で通っていた高校よりはかなりレベルが低い。
とは言え、勉強が好きでも特段得意でもない俺にとっては、どこの学校だろうが授業が面倒なことには変わりはない。
「進堂くん、大丈夫?」
机に突っ伏していると、右から俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「……ん?」
「今日は、いつにもまして眠そうだったけど……」
そう言って、隣の席に座る女生徒は立ちあがって、正面から俺の顔をのぞいてきた。
「あれー?全然ノート取れてないみたいだけど……」
ロングヘア―をさらさらと揺らして、顔を近づけてくる。
ち……ちかい……。
くりくりの大きな瞳に、艶やかな唇。
女の子の顔が、20センチ……いや、15センチ先に……。
「澄咲……その……別に大丈夫だから……」
「だーめ!ノート取ってなかったら、テストのとき苦労するでしょ?私の見せてあげるから、ほら、写していいよ」
「別にいいって……」
「だーめーでーす。私は進堂君の教育係なんだから!」
――澄咲奏、この二年三組のクラスメイト。
「しんどう」と「すみさき」。
50音順で席が隣だったため、転校生の俺の教育係に抜擢されたのが澄咲だ。
澄咲奏は……超絶美人だ。
誰もが目を奪われるほどの端正な顔に、読者モデルのようなスラっとした体。
東京にいた頃でも、これほどの美少女はなかなかお目にかかれなかったぞ。
しかもなんかすげえ良い匂いするし……。
そんな澄咲が教育係なんてスーパーラッキー!と、言いたいところなんだが……
「澄咲さん、
「奏~。数学の宿題うつさして~」
転入してきて一か月も経つというのに、澄咲はいまだに色々と世話を焼いてくる。
澄咲の凄いところは、女子にも慕われているところだ。