不安定な観覧車
空が暗くなり、僕は目を閉じる。
また明日。
ゆっくりと目を開け、鮮やかな風景に包まれる。
「ここはどこだろう?」
僕は周りを見渡して、高いところにいることがわかった。
立ちあがろうとすると、グラッと揺れる。
それにびっくりして僕は座ってしまった。
ここは観覧車の中。
僕は窓から下を見ました。
「すごく高い」
それはすごく高くて、見下ろすだけで足が震えてしまうほど。
「高いのは嫌いか?だが、安心しろ。落ちはしないさ」
その時、横から声が聞こえた。
僕が確認すると、全身が真っ黒で顔のない人の形をした影がいます。
「君はだれ?」
「俺か?俺はお前だ」
影は僕にそう言いました。
でも、うん。納得できる。 見た目は怖いはずなのに、全く怖いって気持ちがないんだ。
「君はずっとここにいるの?」
「いいや、ご主人が困ってるから、今回だけ助けに来たのさ」
影はそう言って、少し笑いました。
「僕が困ってる?」
「あぁ、気づいてないのか? ここに、なんかあるだろう?」
影は僕の胸に指を当てながら言いました。
「なにか?」
僕がそういうと影は少し笑いました。
「まぁいいや、詳細を説明すると難しくなっちまうからな。手短に」
影がそう言って、僕は頷いた。
「観覧車ってのはな、ずっと回ってる。繰り返し繰り返し、ずっとだ」
「うん」
影は窓から下を見ています。
「故障しても、修理したらまた繰り返す」
「うん」
影は次に僕を見た。
「どんな選択肢を選んでも、どんな結果になっても、最後は日常になって繰り返すんだよ」
「・・・うん」
「まぁ、なんだ。だから、あまり気にするな」
影は僕にそう言言いました。
夢の中だからかな。自分が何に悩んでいるのかがわからない。
でもきっと、目が覚めたらわかるよね。
「不安定さを隠しながら、ゆっくりとゆっくりと回り続ける」
影は僕に笑いながら言いました。
「ほれ、もう一番下まで来た。 扉が開くぞ、降りる準備をしろ」
影にそう言われて、僕は立ち上がる。
扉が開いて僕は降りる。
後ろを見ると影が手を振っていた。
「君は降りないの?」
「あぁ、ご主人に呼ばれて眠ってないからな」
影はそう言いました。
「ごめんね、僕のせいで」
「いいさ、いいさ。気にするな。でもあと10年は呼ぶなよ? じゃあ、俺は寝るからな」
影はあくびをしながら僕に手を振る。
「うん、ありがとう。おやすみなさい」
僕は影にそう言った。
「おう、おやすみ。 あ、そうだ」
影は僕に何かを言おうとした。
僕は振り返り影を見る。
「おはよう。ご主人」
ピピピっと目覚ましが鳴り、目を覚ます。
どんな夢を見たんだろう。
「早く起きなさい! 学校遅れるよ!」
ママが僕を呼ぶ声が聞こえる。
「はーい!」
僕は布団から出てママがいるリビングに向かう。
どんな夢かは覚えてないけど、きっといい夢だったんだと思う。 なんでかって?
心がスッキリしてるからだよ。
そして僕はリビングにはいる。
「おはよう!」
またいつもと変わらない1日が始まる。
読んでいただきありがとうございます。
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人生初の短編なので、読みにくい場面などがあったかもしれませんが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!!