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幼馴染の出逢い

「やぁーい!化け物女!」


「「バケモン」」


「うぇ~ん!」


私は小さい頃からいじめを受けていた。


髪は銀髪でまるで雪女みたいだと、赤色の瞳は吸血鬼みたいだと。


「うわこいつ泣いてやんの。あはは!」


クラスの男の子たちも女の子たちも大声で笑う。


先生たちは見て見ぬふり。


今思い返して見ればよく保護者に露見しなかったか不思議だ。


でもそんな中。


「おい、何笑ってんだよ」


一人の男の子が私と私を虐めて男の子の間に入る。


「は?何ってこのバケモンが変な顔をしてるから」


「はあ~」


その男の子は溜め息を吐きながらやれやれと首を振る。


「君たち最低だね」


男の子は大きな声ではっきりと先生たちにも聞こえる声で言う。


「はっ?」


虐めてた男の子は不機嫌そうに男の子を見る。


でも男の子は全く気にせず。


しゃがみ私の前に手を出した。


「大丈夫?」


「う・・・うんうん」


私は首を横に振った。


すると男の子は私をおんぶした。


そして彼は無言のままクラスを出て管理室に行った。


「すみません」


「はい」


彼が声を上げると一人の男の先生が来た。


「どうしたのかな?」


「この子が気分が悪いみたいだから、この子のお母さんかお父さんに電話して欲しい」


彼がそう伝えると男の先生はすぐにお父様に電話してくれて私は帰った。




次の日



私は緊張と不安、恐怖を感じながら保育園に向かった。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


みんな私と目を合わせようとはせずそっぽを向く。


けど、そんなみんなとは違い周りの雰囲気を気にせず一人黙々と本を読んでる子がいた。


昨日私を助けてくれた男の子だ。


私は彼に近づく。


「あ、あの・・・」


私が彼に声をかけると彼は顔をこちらに向ける。


「ん?あ~君は昨日の、大丈夫だった?」


彼はすぐに私に気づき更には私の心配をしてくれていた。


「ん、うん」


私はゆっくりと首を縦に振った。


「そっか、良かった」


彼はそう言いまた本を読もうとする。


「あ、あの!」


私は咄嗟に彼を呼び止めた。


「ん?」 


「き、昨日はありがとうございました」


「あー、はは、気にすんなって」


彼は何事なかった様に笑い飛ばす。


「そういえば名前を聞いてなかったな。僕は篠木薫。君は?」


「わ、私は九重涼音です」


「涼音か、いい名前だな」


「えっ」


その時、私の思考は止まっていた。


今まで同年代から名前すら呼ばれなかった私の名前を呼んでくれて。


しかも褒めてくれた。


私は自然と涙が出てきてしまった。


「お、おい、なんで泣いて」


「あ、ありがどう」


私は喉を詰まらせながらお礼を言う。


「なまえ、よんでぐれで」


「そんなことで泣くなよ」


彼はそっと私の頬に垂れる涙をすくう。


「ほら、やっぱりお前に泣き顔は似合わないな」


多分この時からだと思う私が薫を好きになったのは。薫に全てを奪われたのは。


「やーいあいつバケモン泣かした!」


その時、昨日私を虐めていた男の子が煽り始めた。


私は彼に悪いと思って咄嗟に彼から離れようとしたけど彼は私の腕を掴み自分の方に引っ張って自分の膝の上に座らせた。


「モブキャラの言葉を気にする必要はない」


「ほんとだあの女泣いてる!」


「目真っ赤!気持ち悪い!」


彼らは更に増長する。


「いたっ!」


薫君はすぐさま私を守る様に抱きしめた。


彼らは床に落ちてるプラスチック製のブロックを投げつけてきた。


「化け物退治だー!」


「化け物を倒せー!」


「僕たちがみんなを怪物から守るー!」


それから更に人は増えていきついには私たち二人を除いて全員が私たちを虐める。


「大丈夫だよ」


薫君が優しく私に声をかけると彼は私を離して立ち上がり彼らを見る。


「君たちこんなことしていいと思っているのかい」


「僕たちはヒーローだー!」


「悪いカイブツを倒してるんだー!」


薫君は彼らの答えを聞いて笑った。


「ふっ、なら君たちにはあるんだよね。同じことをされる覚悟が」


薫君はそう言い目の前に落ちてたブロックを拾うとそれを思いっきり投げた。


「グハッ!」


そのブロックが当たった子は鼻血を出した。


「い、いだいよ~!」


そしてそのまま泣き出した。


でも薫君はやめない。


次々とブロックを投げて同じ様に鼻血を出した子は泣きその恐怖に耐えられなかった子も泣き出した。


そんな時


「何してるの!?」


先生がクラスに入って来てその惨状を見て叫び鼻血を出した男の子に寄る。


「ぜ、ぜんぜい」


「何があったの」


「あ、あいづが」


男の子はそう言い薫君を指さす。


その先生は後に来た他の先生にその子を任せて薫君に向かってきた。


「薫君!君は一体!何をしたか!わかってるの!」


先生は薫君に怒鳴るが薫はあっけらかんと答える。


「はい、理解してますよ?」


「なら!なんでこんなことしたの!」


「なんでって?それは簡単ですよ。それが僕にとっての正義だからです」


「かおるくっ!」


先生は諦めたのか。


「兎に角、保護者の皆様に電話を、薫君はこっちに」


薫君は先生に連れて行かれて行った。



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