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第弐楽章


   第弐楽章



「タルタルちゃん! 昨日はご相伴に預かりました! 有り難う御座いましただよ!」


 てくてくてくてく……。


「いえいえ、こちらこそ! 新作の、貴重な御意見頂きました(ペコリ)」


 ペコリ、ペコリ。

 てくてくてくてく……。


「タルタルちゃんのフィッシュアンドチップス、流行ってるもんな! 何時も、行列出来てるじゃん!」


 てくてくてくてく……。


「そんなことないよ! ガンバ〜るちゃん! 聞いて見るんだけど?」


 てくてくてくてく……。

 ぴたっ! ぴたっ……。


「なになに! タルタルちゃん! 聞いて聞いて!」


「ずっと気になってたから、聞くよ! 壱番忙しい時、狙ってきてるよね! ガンバ〜るちゃん!」


「えっ! そんな事ないよ!」


「ほんとに〜っ?」


「ほんとほんと! じやあ、行こうか? この先だよ!」


「……う、うん?」


 てくてく てくてく……。


「ここの巣窟だよ!」


「ここなんだね! 螢火の灯り、片側だけど。結構奥まで、灯ってるね!」


 てくてくてくてく……。


「うっひゃ〜っ! ここ、ひんやりするよね〜っ! はあ〜っ、はあ〜っ……息、白いもん!」


 てくてくてくてく……。


「だよね!」


「あ〜っ! あ〜っ! あ〜っ! めっちゃ、響くし!」


「ガンバ〜るちゃん、恥ずかしいよ! ここの奥で、合ってるの……? 段々寂しい感じに、なってるんだけど?」


「うんうん……あってると思うけど……? なになに、タルタルちゃん! 怖いの! あはははは、心配性だよね!」


「嫌な感じ! ガンバ〜るちゃんが、気にしなさすぎなんだよ!」


「そうかな〜っ?」


「そうだよ! この先……もうちょっと行って、違ったら……引き戻すよ! いいよね?」


「そうだね! でも! 大丈夫! 大丈夫! いざいざ、すっすめ〜っ!」


「大丈夫って根拠が、全然(ぜんっぜん)分からないんだけど?」


「タルタルちゃん! 出逢った時から、気になってるんだけど! 聞いていい……そのっ? 背負ってる樽、重くない?」


「大丈夫! 慣れてるから!」


「ああ! 大丈夫……そうなんだ?」


「よ〜こそ〜っ! おいでぇっえぇ! まぁっ〜せぇ〜っ!! ここですよ〜〜〜〜〜っ!!」


 ぶんぶんぶんぶん……。


「あっ!! デキャンタちゃんだ! ここで、あってるあってる!」


「そう、でも……まだ、姿見えないよ?」


「あっちからは、見えてるんじゃっ……ないかな?」


「そうだね! ようこそって、言ってるもんね?」


 てくてく てくてく。


「ここだよ〜っ!」


 ぶんぶんぶんぶん……。

 てくてく てくてく。


「めっちゃっ、手振ってる? デキャンタちゃん!」


「急ごっ!」


「うん!」


 タッタッタッタッタァッ……。


「ほ〜ら! 大丈夫だったじゃん!」


 ドンッ!!


「ふ〜っ……!! そうだね」


「デキャンタちゃん! お呼び頂きまして、有り難う御座います! 始めまして、ガンバ〜るモッチーです! そして、お供さんの……タルタルちゃんです!」


「あっ……わたしも、始めまして! タルタルモッチーです!」


「はい! 始めまして! デキャンタモッチーです。宜しく!」


「宜しく、お願いします!」


「あっ、わたしも宜しくお願いします」


「ようこそ 我らの巣窟へ! じゃ〜ん! 今期の樽達で〜す」


「じゃ〜ん? だって」

 ちらりと、ガンバ〜るちゃんを見て……。

 

「大きな樽ですね!」


「ジャ〜ンの事、突っ込まないんだ?」

 ガンバ〜るちゃんを、ガン見して!


「近くで見ると、本当に大きいな! ちょっと、タルタルちゃん! 合わせてよ?」


「えっと……すっご〜い!」

 慌てて、合わせるタルタルちゃん。


「今ね! 今季の玖ヶ月分の、足踏み葡萄酒がここに入ってるの。神無月、霜月、師走の分は今期、伍零期記念ボトルで出すのね!」


「今年、ここ伍零期なんですか! おめでとう御座います!」


「有り難う! 後は、契約書で謳ってるから。パパッと説明するね……でね、今、ある分は、来たる陸零期……つまり、陸零期ワンサイクルで壱週期でしょっ?」


「そうですね! 壱周期ですよね! ああっ! これ、その分何ですか?」


「そうなんだ?」

 タルタルちゃんが、ぽつり……。


「そうそう、そうなのよ! ここからは、壱周期に向けて……壱期事の、カウントダウンボトルで出すのね?」


「へぇ〜っ! カウントダウンボトルか〜! プレミアムで、お目にかかれない奴だ!」

 タルタルちゃんが、樽を見上げなから。


「おお〜っ……よ〜く見とこ。眼福眼福!」

 ガンバ〜るちゃん、キラキラした目で樽を見ています。


「ここからが、本題!」


「あっ……ここから、何ですか?」

 やっと、ガンバ〜るちゃん。話しに、意識が戻りました。


「ん……?」

 大丈夫なの? と、眉間にシワを寄せ、不安が(つの)るタルタルちゃん。


「そうそう! この子たちで〜す! じゃっ、じゃ〜ん!」


「じゃっ、じゃ〜んだって!」

 ちらりと、ガンバ〜るちゃんを見て。


「だね!」

 素っ気ない、ガンバ〜るちゃん。


「この樽たちに、お願いしたいのよ!」


「樽にですか?」

 キョトンと、返事を返す。ガンバ〜るちゃん。


「ガンバ〜るちゃん! おかしくない? 大丈夫?」


「そうよ、この子たちにお願いしたいのよ!」

 きっぱりと、言い切るデキャンタモッチ〜。


「あの〜っ……本当に、応援するんですか? ここで……?」

 ちゃっかり空きスペースを、確認しながらのガンバ〜るちゃん。


「この子達ちって……言ってるよ! ガンバ〜るちゃん! ガンバ〜るちゃんたら〜っ!」


「そうよ! えっ? 今更、断わるとか? 無しだよ? もう、先払いで振り込んでるわよ! 壱回、拾萬ラックコインじゃっ……もしかして、不服? やっぱり、少ない……かな!?」


「いやいやいや、十二分に貰い過ぎ何だけど? そう言う事じゃ無くて? ですね!」

 

「じゃあ! 何? やってくれるの? くれないの? どっち?」


「断ろうよ!」


「やります! やります!」


「えっ! マジッ?」

 ビックリ顔の、タルタルちゃん。


「ほっ! なら、いいわ!」


「はい! 済みません! 頑張らせて頂きます!」


「どう、どう、どうっ……どうするのよ! ガンバ〜るちゃん!」


「これは、コラボ共同企画だと、捉えてもらって! 一向に、全然(ぜ〜んぜん)構わないわ!」


「コラボですか?」


「コラボって? 何の事?」


「そうよ! 何驚いてるのよ! 契約書に、書いてあるわよ!」


「はぁああぁっ! コラボって……何? ガンバ〜るちゃん? 聞いて無いよ!」


「あなた達、この状況? 呑み込めてる?」


 ぶんぶんぶんっ! 首をふるふる、タルタルちゃん!


「はい……? ゴックンです!」


「……? 何言ってるの?」


「進めるわよ……それで……あなた達の、取り分が捌%! プラスして、ネーム料の弐%上乗せの、壱零%お支払いするわ! わたしたちに出来る、目一杯だから……いいわね! これ以上の譲歩は、受け付けないから!」


「はいっ?」


「ガンバ〜るちゃん!」


「分かってます? コラボの事、了解頂きましたよね?」


「はい……コラボですね?」


「……?」


「そう!」


「あの? ネーム料ってのが……(はてな) 何ですが?」


「今更、何聞いてるんだよ?」


「そのままよ? この一周期記念ボトルの銘柄、ガンバ〜る応援団! あなたの心に応援歌!! なの? 伝えてる、筈よ!」


「あ〜なるほど? それで、わたしたちが呼ばれたんですね!」


「そう、ご明察!」


「ご明察、だってさ?」


「だね!」


「ガンバ〜る応援団の、ネームを使わせてもらうじゃ無い」


「使って頂ける事に、御礼もうしあげます!」


「ん……? ガンバ〜るちゃん、本当に分かって言ってるの? 何か……会話が微妙に、噛み合って無い気がするんだけど?」


「そんなことないよ! タルタルちゃん!」


「そうかな?」


「ガンバ〜るちゃん! ちょっと、良いですか? もしかして、何だけど?」


「もしかして、何? ですか?」


「……?」

 黙り込むタルタルちゃん。


「契約書サインして、送ってもらったけど? もしかして、だけど……読んで無く無い……とか? 真逆とは、思うんだけど?」


「エヘヘへへッ……」


「ガンバ〜るちゃん、それ駄目だよ! マジでっ? マジでっ!!」


「御免なさい……反省しま〜す!」


「はあ〜っ? でも、契約成立してるし、プロジェクト動いてるのよ! このまま行くわよ!」


「お〜る、おっけ〜で〜す!」


「あ〜っ……やっちゃってるよ〜っ?」


「後で、簡単に説明するから! 良いですか?」


「お願いしま〜す!」


「わたしも、一緒に聞きます!」


「そうね、賢明な処置だと思うわ! ちょっと面くらってるけど? 良いわ!」


「済みません、以後気お付けさせますんで!」

 ペコリ。


「タルタルちゃん、お願いね!」


「了解で〜す!」


「ガンバ〜るちゃん! 私の台詞だよ!」


「葡萄のまんま! って、聞いたこと……ないかな?」


「知ってます! 超レアレアな、師走期の終わりから閏月にだけ販売される。幻の葡萄果汁水ですよね! 私のお店にも置けたらな!」


「タルタルちゃんが、遂に沈黙破った!」


「何ボケた事、言ってるの……? ずっとわたし、話してたでしょっ?」


「えっ? 喋ってた?」


「自分に関係無いと、思ったら直ぐスル〜だもんね!」


「そんな事無いよ! ちゃんと、聞いてるし!」


「聞いて無いから、言ってるんでしょっ!」


「パンッパンッ! はいはい、それぐらいにしてよね! こんなとこで言い争ったら、この子たちの熟成に悪影響だから……しっ! 良いですか?」


「済みません」


「反省させますんで!」


「進めて、良いわね?」


「ど〜んと、行きましょう!」


「マジでやるんだ? 仕方ないか……乗りかかった泥船、だもんね!」


「タルタルちゃん! セッティング行けそう?」


「セッティングも何も、樽タンタンするだけだから。何時でも行けるよ!」


「準備オッケーで〜す!」


「そう! じゃあ、お記録です。準備するからね!」


「これ、噂に聞くお記録ですか?」


「タルタルちゃん! 興味シンシンだね!」


「一つ、壱ラックコインよ!」


「えっ? もっと御高いだと、思ってました?」


「そうだね!」


「でもね? 壱お記録、壱回再生の使い捨てだから」


「壱ラックコインでも、壱お記録か……? 微妙だな?」


「使い方次第だと、思うわよ!」


「そうだよ! 使い方次第で、お得だよ! きっと!」


「うちらには、必要無いかな?」


「壱回再生でも、切らなければ丸壱日連続再生出来るのよ!」


「お〜壱日ってすっご〜い!」


「五月蝿いだけじゃ……ないかな?」


「わたし達には、うってつけだから。良いんだけどね!」


「あっ! わたしたちの、応援! 録音(とる)んですか!」


「この状況! 録音(とる)気まんまんじゃん!」


「だね! タルタルちゃん! 樽のベスト位置決めて!」


「良いけど? カンバ〜るちゃんが、メイン何だから! ベストポジションに、立ってくれたら。合わせるよ!」


「何言ってるの? タルタルちゃんが、メインだよ! 早く、決めてよ!」


「いやいやいや……聞いてないし!」


「わたし昨日のお試し会の時? 明日、タルタルちゃん頼むねって! 言ったじゃん!」


「言ってたけど……何時も見たいに、カンバ〜るちゃんの相の手だと……思ってたんだけど?」


「何時も通りなんて、私が面白くないじゃん!」


「いやいやいや……其れはガンバ〜るちゃんの勝手だし!」


 パン! パン! パン!


「はいはい! 痴話喧嘩は、後でやってくれる! 白、紅、ロゼの参窟分、合わせて玖零個分、お記録ですよ。準備出来たわよ! 後は、此れ! 空耳ワワ〜で、送信すれば! お記録開始よ! 何時でも、どうぞ!」


「も〜っ! 何時もこうだよ! オッケー! 此処で良いよ!」

 目にお怒り満々の、タルタルちゃんが。ぶっきらぼうに、そう言いました。


「全然、アドリブ入れてもらって! 構わないからね!」

 へっちゃらのへ〜で、ニコニコワクワクのガンバ〜るちゃん。


「ガンバ〜るちゃん! オープニングで何時もやる奴、アドリブで延ばすよ! ふ〜っ……何時でも良いよ!」


「タルタルちゃん、ガンバ! デキャンタちゃん、お願いしま〜す!」


「頼むわね! 最初ね! お記録ですですから、参回だったかな? 確か、音が出たら、お記録開始されるから……いくわよ、お記録……開始! ポチッ!」


 お記録ですから、ピッ! ピッピッ! ピッピッピッ!

 お記録が、開始されます! ピ〜の後にどうぞ!


「……」


「……」


「……ピ〜は?」


「可笑しいわね? ちょっと待ってね」


「タルタルちゃん、緊張してる」


「してないし」


「時間が……ん〜? 数が多いから繋がるのに、時間がかかるのかな〜? 可笑しいわね?」


「ガンバ〜るちゃん! 終わったら、私のお店で反省会だからね!」


「やった〜! 御馳走してくれるの!」


 ぴ〜〜〜〜〜〜っ! お記録開始ですよ、慌てない慌てないで。どうぞです。ぴんぽ〜ん!

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチッ……。

 玖零個のお記録ですが、一気にお記録開始しました。


「はあっ! 御馳走はするよ! 覚えてろって言ってるの!」


「タルタルちゃん! 始まってるよ!」


「何よ! ガンバ〜るちゃん! 着いて来てよ!」


「任せて任せて!」


 タンッ!


 タンッ!


 タンッ!


 タンッタンッ!


 はっ! はっ!


 タンッタンッ!


 はっ! はっ!


 タンッ!


 はっ!


 タンッ!


 はっ!


 タンッタンッ!


 はっ! はっ!


 タンッ!


 はっ!


 タンッタンッ!


 はっ!はっ!


 タンッ!


 はっ!


 タンッタンッタンッ!


 はっ! はっ! はっ!


「いっくよ〜っ!」


 トンッ トト〜ン トトトッ

 トンッ トト〜ン トトトッ

 ト〜ン ト〜ン ト〜トトトト〜ッ

 がんば〜れ!

 がんは〜れ!

 タンタタ〜ッ タタタァッ

 タンタタ〜ッ タタタァッ

 タンタン タァ〜タ

 タンタンタ〜ン

 がんば〜れ!

 がんば〜れ!

 トント トント〜

 ト〜ント

 トント トント〜

 ト〜ント

 トントン ト〜ント

 トントン ト〜ン

 がんば〜れ!

 がんば〜れ!

 タンタカ〜 タンタ〜ンカ

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタン タンタカ

 タンタンタ〜ン

 へ〜い!

 もう一丁!

 もう一丁!

 タンタンタ〜ン タンタカ

 タンタンタ〜ン タンタカ

 タンタン タンタ

 タンタン タ〜ン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタン

 タンタ タンタンタ〜ン

 もう一丁

 もう一丁

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタン タンタタンタ〜ン

 タ〜ン

 がんば〜れ!

 がんば〜れ!

 も一つオマケに、がんば〜れ!

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタンタン

 タンタンタ〜ン

 タンタ タンタ

 タンタンタ〜ン

 いくぞ〜!

 い〜ち に〜

 さ〜ん

「カンバ〜るちゃん逆だよ〜!」

 タンタカ タンタカ

 タンタカ タンタカ

「御免!」

 タンタカ タンタカ

 タンタカ タンタカ

 タンタカ タンタカ

 タン!


 はい!


 タン!


 はい!


「仕切り直しだ〜! いっくぞ〜!」


 ピィ〜〜〜ヒョロロロロ〜〜〜ッ!

 ペェチィッ!!


 タンタカ タンタカ

 タンタカ タンタカ……


「あっ! 御免、お記録時間……終わったみたいだね?」


 タンタ タンタカ

 タンタカ タンタカ……ぴたっ……。


「まだ途中だけど……? もう一回、やり直すけど……?」


「いい、いい! 一回、お記録だから! 十分よ! めいいっぱい、応援してくれたんだから!! オッケーだよ!」


「そう? なら、いいけど? だいたいの、お記録時間分かったから! 次はいけると、思うんだけどな? タルタルちゃん、オッケーだってさ!」


「うん! 不完全燃焼なんだけど?」


「それはまた来月に、とっといてね」


「わたしは、今回だけなんで……すいません!」


「何言ってるの? タルタルちゃん、ここメインで樽叩いてもらってるじゃん!」


「騙し討でね……? お店忙しいから、今回だけって約束じゃん!」


「可笑しいわね? 契約書には、タルタルちゃんのサインもあったわよ?」


「わたし……サイン何かして無いけど?」


「タルタルちゃん忘れてるんだよ! 今年の年始めに、此処の応援の参加申し込み書に。新しい樽の新調の、申し込みのついでに書いてくれたじゃん! 忘れたの?」


「参加申し込みだよ? 契約書じゃ無かったよ?」


「きっとあれが、契約書だったんだよ! きっと」


「嘘……酔っ払ってたからな〜!」


「いい、じゃあ来月もね! タルタルちゃん」


「はい? はあ〜……」


「もう少しお手当て、増やした方がいいかしら?」


「これ以上は荷が重いです! ねっ、タルタルちゃん!」


「わたしに、振らないでよ! カンバ〜るちやんが決めてよ!」


「このままで、良いです……けど? 閏月は調整月だから、お手当ていらないよ?」


「そうは、いかないわよ! 閏月も、大事な壱月だよ! 疎かに、考えたら駄目ですよ!」


「御免なさい!! でも、有り難う。年間契約、助かります!」


「こちらこそ、宜しいくね!」


「はい! 宜しお願いします!」


「あと、壱弐回分ね! 全部違う応援でお願いね!」


「タルタルちゃん! いけそう?」


「わたしは全然大丈夫だよ!」


「いけるみたいです! 主体の、タルタルちゃんが太鼓判です!」


「じゃあ、お願いねタルタルちゃん!」


「えっ? わたし?」


「そうだよ! どうしたの、急にびっくり顔?」


「あははは……?」


「今回は、一発撮りだったけど。来月からは、赤の窟、白の窟、別撮りでもいいよ! その分ちゃんと、お手当て出すけど……どう?」


「タルタルちゃん! どうする?」


「ガンバ〜るちゃんが、決めなよ!」


「わたしは! タルタルちゃんの、意見が聞きたいんだ!」


「ふ〜ん……分かった! ここで、一発撮りで!」


「ロゼの窟だけで、いいの? わたしとしては、どちらでもいいんだけど?」


「ロゼの窟で、一発撮りでお願いします!!」


「気にいったわ、あなた!! 一発撮りでも、白、赤、ロゼ、参窟分出すわ!」


「まじか? あの〜っ……この樽、置いといても良いですか?」


「いいわよ、預かりますよ」


「来月、新調して新しい樽、持って来たいんで!」


「お〜っ、タルタルちゃん! ちょう本気モード全開じゃん!」


「誰のせいだ!!」


「えっ……わたし? アハハハハ……」


「カンバーるちゃん、わたし何かド〜っと疲れたよ……帰ろ」


「そうだね! カンバ〜る応援団第弐楽章、これにて終了で〜す! 撤収!!」


「それ、言わなきゃ駄目なの……?」


「あっ、ちょっとまって! それでね、別口でお願いがあるんだけど?」


「まだ、別口があるんですか?」


「カンバーるちゃん、あんまし請け負うと……大変だよ? やめときな!」


「ツルマキマキまんまる葡萄王国に、応援団派遣出来ないかな?」


「出来ます! 出来ます!」


「そんな、喰い気味に?」


「じゃあ、また詳しい事は連絡するから? 決まりで良いわね?」


「はい! 了解です!」


「タルタルちゃんは、どうされます?」


「わたしは……パスかな?」


「え〜っ! どうして〜っ! 駄目なの〜っ! タルタルちゃ〜ん!」


「駄目に決まってるじゃん!! わたしの、タルタルちゃんのフィッシュアンドチップスも、あるし……わたし、参曲しか……レパートリー無いんだからね!!」


「そんなの、パパッと作れちゃうよ〜っ!」


「わたしは、こちらに専念させて頂きます!!」


「え〜っ……ぶ〜ぶ〜だよ〜っ!!」


「え〜っじゃない!!」


「じゃあ、タルタルちゃんはロゼの窟専属で!」


「はい!」


「カンバーるちゃんは、葡萄王国もお願いするね」


「はい! 頑張りま〜す!」


「タルタルちゃん?」


「はい……何ですか?」


「もし、だけど……タルタルちゃんのフィッシュアンドチップス。新店舗増やしたいとか……あるんだったら、わたし……あちこち色々な取引先抱えてるから、良いタニマチさんとか……紹介出来るけど……?」


「ほっ、本当ですか?」


「タルタルちゃんも、わたしの事言え無いよ……今、すんごい喰い気味だったけど!!」


「あっ、乗り気だね!」


「お願いします!」


「じゃあ、こっつんこしとこうか?」


「はい!」


「よ〜し、いくよ〜っ」


「こっつんこ〜っ!」


 コツン! コツン!


「良かったね! タルタルちゃん!」


「うん! 一歩、夢に近付いた!」


「じゃあ、お弐匹さん……改めて宜しくね!」


「はい!」


「宜しくお願いしま〜す!」


 アハハハハ……。

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