第一話 変身
初めて投稿します。拙い部分があると思います。思ったことはどんどん指摘してほしいです。続きは評価が良ければ書こうと思っています。
過去を生きた君へ一言だけ贈ろう。
「過去は変えられなくても未来は変えれる。」
僕、東郷勇氣は今を生きる中学二年生だ。いや、正しくは中学二年生だったと言うべきかもしれない。今は3/27の18:45。部活が少し長引いた帰り道だ。後、数日後には中学二年生の僕は消え、新たに中学三年生となるのだ。僕の中学校は田舎なのでクラス替えなんてものは存在していない。なので新しく変わるものはせいぜい学年だけだろう。僕はそんな悠長なことを考えながら家路に着いた。今日の晩御飯はなんだろう?なんで帰りが遅かったのか聞かれるだろうか?なんて…おかしい。家に人の気配がない。今日は家族全員で晩御飯を食べれるね。と意気込んでいた母の言葉を思い出した。玄関は…開いている。漫画のみすぎの僕はこの状況を疑わざる負えなかった。誰かが家に忍び込んだのかもしれない。
カサ…………カサッ…
寝室からそんな音が聞こえた。そこに皆、もしくは空巣、最悪の場合殺人者がいるのかもしれない。ゆっくりと除き込むと
そこには腕が6本ある人型の化物が母を切り殺していた。
僕は、東郷勇氣だ。それ以外は何も思い出せない。おそらく記憶喪失というものだろう。気づいたら道端で寝ていた。東郷勇氣はホームレスだったらしい。それにしてもここはどこなのだろう?基本的に地図は把握しているのだが、流石に森林に囲まれたこの視界ではここをどこか特定するのは厳しそうだ。
とりあえずここをどこか特定するためにここ一帯を散策しよう。そう思い森林を出た僕の前に広がっていたのは朽ち果てた町の成れの果てだった。人の気配はおろか生物一匹の気配すらない。すると背後から
「勇氣君?久しぶりだね。」
と話す水色の髪の毛のおかっぱの女性が現れた。スーツを着ているため子供ではないと分かるのだが、幼い顔立ちと低身長なので着られている感が否めない。
「貴方は?」
「人の名前を聞く前にこの服を着たらどうだい?」
服を着て、全裸からジャージになった僕は改めて
「貴方は?」
と聞く。すると彼女は
「私は上戸真。君の姉だ。」
「姉だったんですか!?」
「嘘だ。」
「……。」
なんだこの人。会話のペースがつかめない。
「君に頼みたいことがある。いや、雇うと言った方が正しいのかもしれないね。」
この瞳に既視感を覚えこの人は信用していいと本能がそう告げたような気がした。
「……内容は?」
「君に世界を救ってもらいたい。」
「…返事の前にこの町の状況を説明してくれますか?これと世界を救うことは関係があるんですよね?」
「あぁ。少し長くなるが聞いてほしい。」
そして上戸さんは今、何が起こっているかを話してくれた。
「3/27の午後、この町の少し離れた研究所で火災が起こった。そして、そこに閉じ込められていたある細胞物質がこの町で解き放たれた。その細胞物質のことを我々は「クリーム」と呼んでいる。クリームは生命体の細胞と同化してその細胞を侵食し、その生命体の擬態をする。擬態…いや、進化態へとなる。そうしてクリームに侵された生命体を「クリーカー」と呼ぶ。元々厳重に守られていた研究所を内部から何者かに破壊されたらしい。そこで君の出番だ。君にクリーカーハントを頼みたいのだよ。」
世界の危機みたいなのを淡々と話され、キャパオーバーになりかけたその時、
「マダイキノコリガイタトハ…ニンゲン…。」
後ろから聞こえたその声の主は瞬く間に僕を殴り付けた。
「大丈夫かーい?まだ説明は終わっていないけど返事はどうする?」
「上戸さん!どうすれば奴を狩れるんですか!」
「よしきた。これを使いなさい!」
そうして投げられたのは試験管のような爆弾スイッチのような形をしたものだった。
「あまり長くは説明できないが、それは「クリームチューブ」。そのボタンを押せば君には力が手に入る。だが、それ相応のデメリットも伴う。最終的には君の判断しだいだ。どうする?」
彼女はカワウソの見た目をした怪物にライフルで応戦していたが、そろそろ限界らしい。僕が選ぶのはもちろん…
「変…………身!」
そのボタンを押すと皮膚が強化スーツのように生まれ変わった。
「今、生きます!」
そう言って走り出した僕のスピードは人間とはかけ離れていた。そして、僕はカワウソの怪物を殴り付けた。
「覚悟を決めたみたいね。」
ボロボロの上戸さんはそう言う。
「そんな対した事じゃないです。目の前で真ちゃんが傷つけられていたら見過ごせなくて…………。」
真ちゃん?僕は自然とその言葉が出てきた事に神経を使うことなく、颯爽と目の前のヤツとバトルをした。
「オマエハ、ナンダ?」
「僕は……」
「クリーカーハンターオルバースよ。」
そう真ちゃんが告げた。
「オルバース…ナツカシイナマエダ。」
「敵と馴れ合うつもりはない!」
そうやってヤツを突き飛ばすと僕は全力で走り、全力の飛び蹴りをした。それは幼い頃に見ていたあのヒーローのようだった…。
倒した…僕にこんな力を出せるなんて…そもそもこれはなんなのだろうか。デメリット…なんてものが何なのかも考えずに変身したが大丈夫だったのだろうか?
「あの真ちゃ…」
質問をする前に彼女は消えていた。幽霊…ではないだろう。この手にある力がその証拠だ。きっと彼女とはまた会える。それよりも…
「まずは衣食住だなぁ。」
そう思い見上げた空は真っ赤に染まっていた。不気味なくらいに綺麗な茜色に…。
これから待ち受けている敵や仲間を探すために僕はまた歩き出す。戦いは始まったばかりだ。