表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

第1部 僕の道

プロローグ


帝国歴299年 ロンド


僕の名前はアレク。孤児院でたくさんの家族と一緒に暮らしている。

まぁ、孤児院で暮らすくらいだから、みんなアレコレ事情があったりもする。


そしてそんな生活が明日をもって終わる!


なぜ終わるかと言うと、この国では15歳になると、大神殿で洗礼を受け、精霊を身体に宿すんだ。

その宿す精霊には様々なクラスがあって、そのクラスに応じて、何かしらの能力が付与され、それによって生きていく。


この能力は本人の意に反して、人生が極端に大振れするので、みんな陰ではクラスとギャンブルを掛けて、クランブルなんて呼んだりします。


そして僕のクランブルは明日なのです…!



第1章 旅立ち  第1部 僕の道


『今まで育てて頂いて、ありがとうございました!』

今、この瞬間、僕たち3人は孤児院からの卒業となった。


元々涙もろい司祭さまは大泣きで、とっととこの場を去りたいくらい、大変な事になっていた。


一緒に卒業したのは、金髪で獅子のような性格と見た目のレオン。同じく金髪で勝ち気な性格のアン。


三人とも同じ誕生日だったので、卒業も同じ日、洗礼も同じ日となってしまう。


そして運命のサイを振りに行く!



運命の日


大神殿で大司祭さまから、洗礼についていろいろな説明があった。


曰く、精霊のクラスによって職業やスキルが決まる事

曰く、職業やスキルによって、入るギルドに制限がある事

曰く、ギャラリーにはギルドの関係者がおり、そのまま入会の手続きが可能である事

曰く、レアクラスを引いた場合、王宮への出仕が義務づけられる事

曰く、神錫が輝く。光は、金>銀>赤>黄>青>緑>白>黒に輝き、相応のクラスが割り振られる。確率は1段階上がる毎に10%下がる

曰く、訂正や修正は不可能であり、これからの人生はここから枝分かれする事


など、一発勝負のクランブルについて、若者たちは恐怖心をひたすら煽られたのであった。


大神殿なのになぜギャラリーがいるのかと思ったら、就職斡旋のスカウトらしく本気で驚いた!


今日の洗礼は全部で8人らしく、貴族の子息や商人の子息も混ざっている。

親から受けるプレッシャーは相当激しいようで、トイレで吐いている子も見かけた。


この場合、僕たち身軽な孤児院出身者は、ただ都合の良い展開を祈るのみで気が楽だね。


ついに1番の子から洗礼が始まった。孤児院出身者は最後のトリを飾るようで後回し。


1人目、騎士の息子らしい。ゴツい父親が泣きそうな顔で祈っている。この顔を小さい子供が見たら泣くくらいの迫力だった…。


大司祭さまが何かを唱えると、神錫から激しい光が放たれた。


シュフィーン!という音と共に、神錫は〈白〉に輝いた。

その瞬間、本人は盛大なガッツポーズ!

父親は喜びで泣いていた。10%の当たり引いた感動で涙腺が壊れたらしい。

父親の同僚がお祝いを賛辞し、一層酷い顔になっていた。


2人目、商人の息子らしい。父親は輝きが〈黒〉と分かった瞬間、怒って帰って行った…。

引いた本人は、帰る父親の後ろ姿を見つけ、なぜだかホッと一安心の表情に見えた。

何か事情がある家族のようだった。


その後もずっと〈黒〉が続き、何事もなく洗礼は進んでいく。


そしてついに仲間の番がやってきた。

6人目はアン。


大司祭さまが何とかの呪文を言い終えても、なかなか神錫が光らないと思ったら、なんと〈黄〉く輝いた!!

これは1万人に1人の超激レアだ!!!


『おぉー!!』みんな思わず声が漏れ、神々しく輝く光に包まれたアンを皆で見つめた。


大司祭さまが誰かに話しかけ、ギャラリーから身なりの良い人が壇上に上がった。

「私はバプール侯爵。今日この場に居合わせた幸運を神に感謝します。彼女が歴史に名前を残す人物となるよう祈りましょう!」

『感謝します!!』

その場のギャラリーも神に祈る。


1万人に1人の栄冠を掴んだアン。どうやら〈黄〉は、王宮への出仕も付いて来るようであった。

そんな輝く未来に包まれた彼女を僕とレオンは素直に喜んだ。


大司祭が場を一旦静粛に戻した。


7人目レオン。

僕達の世代のリーダー的な存在で、面倒な事も率先して行ってくれた、恐ろしく面倒見の良い仲間。


神錫が輝く前、レオンは若干不安そうに神錫を見つめていたが、僕とアンは良い輝きを本気で祈った。


結果は〈金〉であった……




ここまで来ると、もはや幸運というよりは〈勇者の証〉保有者の誕生という別の意味であり、数百年に1度現れるという魔王に対して、神に選ばれし者の誕生を祝う祭典だった。


その後は大変だった…。

バプール侯爵が王宮へ知らせを送り、なんと陛下が直々に皇族を伴って大神殿にいらっしゃった。


僕としてはあまりに高レベルのロイヤルガードが会場にいた為、思わずチビりそうだったわ。


大司祭を真実の宝玉で〈金〉の輝きを確認した後、陛下はレオンとアンを伴って帰って行った。


その後、大神殿に残された僕たち6人に、大司祭さまから〈金〉の祝福について追加説明があった。



曰く、〈金〉と同一日同一場所の洗礼はランクアップされる。1000年前の前回は、1ランクアップが4人、2ランクアップが1人いた。確率の配分は分母が小さ過ぎて不明。との事。


特に〈白〉を引いた騎士の息子らしい子の喜びは凄まじく、ガンガン泣いていた。

泣きやむと走って帰って行ったので、会場に残された皆も嬉しそうに帰って行った。



あの……


僕の順番まだなのですが………



クラス 村人

職業  無職

レベル  1

HP  12

MP   5

物攻   5

物防   3

魔攻   3

魔防   2

体力  10

機敏   4

運    7

所持金 80ゴールド



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ