夏休みの始まり
初心者なのであまり面白くないかもしれません。
「平凡」この言葉は、僕の人生を一言で表せる素晴らしい言葉だと思う。
今まで一度だって殴り合いの喧嘩をしたことなんてないし、ましてや犯罪を犯したこともない。
作文用紙に自分のこれまでの人生を書けと言われれば、多分5分で書き終える自信がある。
要するに、とても平凡だってことだ。
2019年7月19日
僕は夏が大っ嫌いだ。冬なら服を着込めば寒さを凌げるが、暑さだけはどうにもならない。
空から肌を刺すような陽射しと、蝉が耳を貫くような鳴き声を響かせる中、僕は額に滴る水滴をぬぐいながらいつも通り高校への通学路を弱弱しく歩いた。
校門へ着くと、校長先生が門の横に立ち、通りかかる生徒や教員に挨拶を交わしていた。
確か年齢は64歳と言っていた気がする。もしかすると、18歳の僕よりも元気があるかもしれない。
そんな事を思いながら、いつも通り教室へ入り、いつもと同じ席に着く。いつも通りの完璧なまでに平凡な朝だ。
8時45分。担任の先生が教室のドアをガラガラと開け、教室に入ってきた。
起立、気をつけ、礼の号令の後、クラス中におはようございます、という声が響き渡る。
しかし今日のあいさつは、みんないつにも増して元気だった。
それもそのはず、今日は待ちに待った終業式。そして明日から夏休みだからだ。
先生が出席をとり始めた時、後ろの席の藤田が声をかけてきた。僕の席は教室の一番後ろの窓際の席だからか、私語をしていてもばれなかった。
「なあ永瀬、お前今朝のニューズ見た?太陽のやつ」
「うん。まあ」
「何かSF映画みたいですごいよな」
「でも、そう簡単に無くならないと思うけどね」
そう。今朝からニュースではこの話題でもちきりだった。なんでも、来月の31日。つまり、「8月31日に太陽が消滅するかもしれない」といったものだった。
僕はこういった話は現実味がなさすぎて信じないし、正直周りも信じていなかった。
「次、永瀬」
「はい」
いつも通り先生の出席確認の声に返事をし、終業式を終え、いつもより少し早めの時間に学校が終わり、いつもと同じ駅から電車に乗り、いつも通り何の事故やケガもなく家に着いた。
いつも通りの、平凡だがどこか幸せな僕の日常。
しかし、心のどこかで本当に太陽がなくなってしまったらどうなるのだろうという不安が、何故かあった。
頑張ります。