転生女王の真っ黒覇権~ヒロインって大いに利用価値がありますよね~
転生王女の真っ黒政権の続編です。こちらを先に読むことをオススメします。
もう、真っ黒と言うか完全に悪役で悪魔のような主人公です。
どうも皆様。
私はとある国で最近女王になったシスティーナというものです。
いわゆる転生者でいろいろと見通す目を持っていまして。
最近頑張って女王になることが出来ました。
これも私の日ごろの行いが良いおかげですね。
おかげで、たまたま、王太子だったお兄様は破滅しましたし。
たまたま、有能な部下がたくさん手に入りましたし。
たまたま、お姉さまが駆け落ちして大きな派閥が誤解しました。
そしてたまたま、多くの人が私の味方になってくださり、お父様を王の座から引きずり降ろして女王になることができました。
いやー、ここから見る景色は素晴らしいものですね。
私の命令一つで目の前のゴミを掃除してくれるのですから。
おかげで見るも絶えないゴミどもを一層して多少は綺麗にすることが出来ました。
これ以上やると潔癖症と呼ばれかねないので我慢いたしましょう。
もちろん掃除したゴミは最終的には焼却処分です。
まあ、その前に民衆の前で一大イベントを行いましたが。
彼らはきっと新たな時代を迎えることになると思うことでしょう。
民衆だけでなく貴族もね。
さて、一応の掃除は済みましたし、そろそろ外の掃除をいたしますか。
最近ちょろちょろとうっとうしいですしね。
我が国は歴史ある大国です。
つまり長い時間をかけて内部が腐っていました。
そんな国を他国はどう思うでしょうか?
食べ物って腐りかけが一番おいしいっていいますしね。
もう、あちらこちらで戦端が開かれようとしていました。
まあ、どこかのオカマさんが神がかったかのように回避していましたが。
しかし、オカマさんが対処している国だけが隣国ではありません。
どこかのヤンホモさんが英雄のごとき働きで小競り合いに勝っていましたが。
もちろんそれだけでは手が足りず、って言うか周りが敵だらけです。
周りがこの国がもっと弱らないかと待っていたおかげで未だに無事ですが。
しかし、私が女王になったことで状況は変わりました。
ぶっちゃけ私は小娘です。
そんな私が女王になれば周りはどう思うでしょうか。
答えはなめられます。
もう、外交でがんがんに足元が見られます。
もうその兆候が見られています。
やばいですねー。
どうしましょうか?
今の所めんどくさい国がいくつかあるんですよね。
なんとかしないといけませんね。
まあ、なんとかなるでしょう。
なんせ私っていい子ですし。
いつも通りたまたま! 私に都合がいいようになるでしょう。
ふふふ。
ー▽ー
とりあえずめんどくさいのは俗に帝国と呼ばれる国です。
頂点に帝王が君臨していて、この世界は我の物だ! とか頭がおかしいことを抜かしている人です。
しかし、厄介なことにとても優秀なんですよね。
どんどんと隣国を征服して領土を広げていっています。
兵士からも信頼されていてとっても強い軍国です。
隣国なのに未だに私の国が潰されていないのは、この国はその内勝手に自爆すると分かっていたからですね。
それに下手に戦争しても兵を無駄に損傷するだけですし。
待てば簡単に手に入るならそれの方がいいですしね。
そして待ったかいがあり、みごと私のような小娘が女王になりました。
裏で私を操っている人がいるだろうけど、私のような小娘が女王になれるくらい内部が荒れている。
これならばそろそろいいだろうと思い圧力を強めてきている訳ですね。
最近大粛清もあったわけですし。
軍力も大幅に弱体化したとみた訳ですか。
まあ、大正解ですね。
内部は荒れていましたし、軍力も弱体化しています。
もし、数値にして見たらですが。
とにかく、このまま放置していたら確実に先端が開かれます。
方や征服を繰り返す軍事国家。
方や腐った大国。
勝負は眼に見えています。
あー嫌ですね。
全てを投げて逃げたくなります。
まあ、そんなことを言っていても始まりませんね。
お仕事を始めましょう。
正面から戦っても勝てないこともありませんが、帝王さんもしたようにやっぱり兵士の損傷はないに越したことはありません。
ところで、権力者って美女に弱いですよね。
美女が原因で滅んだ国は数知れず。
美女を取り合って、散財でなどなど。
実は、帝王さんって心に闇を抱えていまして。
帝王さんにはとっても仲のいい友人がいまして。
その方も心に闇を抱えていまして。
その方は帝国の英雄であり、帝王さんの右腕でして。
そして、征服して回っているようなくらい強欲な方々でして。
きっと惚れた女がいればどんな手を使ってでも手に入れようとするでしょう。
たとえ親友の女だとしても。
しかし、それは悪い事ではありません。
それくらいその女の人を愛している訳ですしね。
ええ、ええ。
本当に素敵なことですね。
本当に悪いことではありません。
私にとってね。
ふふふ。
ー▽ー
「おひさしぶりですね」
という訳で早速お仕事です。
ここは薄暗い牢屋。
そこには目に光を失った女性がいます。
名前は確かマリアベルさんでしたっけ。
そうです、ヒロインちゃんです。
この人は他国とつながり元王太子のお兄様にすり寄ってこの国を乗っ取ろうとした恐ろしい方です。
本来ならば即座に処刑ですが、私はこれに待ったをかけました。
虐められていたのは半分事実ですし、お兄様の事は本当に愛していました。
他国とつながっていたのは父親ですし、この方は利用されていたにすぎません。
どうしてそのような方を処刑することが出来るでしょうか!?
私にそのような恐ろしいことはできません。
この方にはちゃんと働いていただいて名誉挽回の機会を与えませんと。
え、私のせいでこのようなことになっている?
いやですね。
そんなことありませんよ。
私の手駒が近くにいてちょっといろいろと囁いただけです。
実際に行動したのはヒロインさんですしね。
閑話休題。
機会を与えると言ってもこの通りヒロインちゃんはボロボロです。
絶望しているといってもいいでしょう。
お兄様への愛なんてとっくに失くしています。
それどころじゃないですしね。
そんなヒロインちゃんのいる牢屋の中に入り優しく抱きしめます。
「え?」
ヒロインちゃんの目が開かれます。
「もう、大丈夫ですよ」
今までここで散々ひどい目にあいましたからね。
肉体的にも精神的にも極限まで疲弊していますからね。
「ここから出てゆっくり休みましょう」
「なん、で」
そんな絶望的な状況下で表れる希望。
「私はあなたを勘違いしていました。あなたは愛に深い人でした。これからは仲良くしましょう」
それが自分をこんな状況に追いやった原因の一つであっても手を取らずにはいられない。
「あ、ああ」
ヒロインちゃんは涙を流します。
彼女はどうやら私の事を女神のように見えているようです。
こんな状況から救い出してくれる救いの女神に。
さあ、次に愛する人を用意してあげます。
大丈夫です。
私の言う通りにしていればいいんです。
あなたは愛に深い人です。
だから愛する人が複数人いても問題はありません。
分かっています、お兄様の事は本当に愛していましたしね。
もっとも、お兄様だけではありませんが。
そして今、彼女には愛を超える存在を見出しました。
私のためなら愛する人も裏切ってくれるでしょう。
ふふふ。
ー▽ー
さて、事前に用意した帝国にいる私の信者にヒロインちゃんを養女として引き取っていただきます。
そして、まずは帝王さんの右腕であるリョフェルさんに引き合わせます。
まあ、リョフェルさんも帝王さんの右腕です。
それはそれは綺麗どころの女性がよって来るでしょう。
しかしそこはヒロインちゃん。
彼女はハニートラップの天才です。
なんせどこかの大国の王太子とその側近を惚れさせている実績がありますからね。
しかも今回は私のサポートが十全にある。
もはやヒロインちゃんにとってこのミッションは難易度イージーでしょう。
それに並行して帝王さんにも近づけます。
帝王さんもリョフェルさんも心に闇を抱えていますからね。
それを晴らせば簡単にヒロインちゃんに惚れてくれました。
いやー、かっこいいですね。
「あなた以外、僕には何もいらない」
とか。
「お前に世界を与えてやろう」
とか。
もう、お二方ヒロインちゃんしか見えていないようですね。
そろそろですかね。
ヒロインちゃんに大切な話があるとリョフェルさんを呼び出します。
なんとそこでリョフェルさんはヒロインちゃんにプロポーズしました。
いやー、とっても素敵ですね。
「あなたが隣にいれば僕は誰にも負けない。だからどうか僕の隣で生きて欲しい」
ですって。
しかしそこでヒロインちゃんは泣き出します。
どう見ても嬉し涙ではありません。
なんとヒロインちゃんはリョフェルさんの求婚を断ってしまったではありませんか!!
動揺したリョフェルさんは何故だと聞きます。
そこで驚くべき事態をリョフェルさんは知りました。
なんとヒロインちゃんは帝王さんに求婚されていたのです!!
ヒロインちゃんが本当に好きなのはリョフェルさん。
しかし、帝王さんに求婚された手前ヒロインちゃんは断ることが出来ません。
そう、卑劣にも帝王さんはその権力をもってヒロインちゃんを手に入れようとしています。
これにヒロインちゃんは逆らえません。
それに帝王さんは欲しいものは何が何でも手にれる男。
たとえ親友の女であっても俺の物は俺の物、お前の物は俺の物とジャイアニズムを発揮することは長年の付き合いであるリョフェルさんはわかっています。
ここでヒロインちゃんリョフェルさんと離れたくないと泣きつきます。
これにはリョフェルさんの心は燃え上がります。
何としてでも帝王さんからヒロインを取り戻さないといけないと。
そう思いました。
その後もリョフェルさんとヒロインちゃんの密会は続きます。
しかし、その密会は帝王さんに知られてしまいました。
帝王さんもヒロインちゃんのことが好きですからね。
いかに親友といえども許すことが出来ません。
ヒロインちゃんにも問い詰めますが、ヒロインちゃんから帰って来たのは驚きの言葉。
リョフェルさんに妹を人質に取られ、私も父も逆らえない。
これには帝王さんも激怒します。
そして、すったもんだの末、帝王さんは暗殺されてしまいます。
やったのはリョフェルさんです。
さらにそこからリョフェルさんはヒロインちゃんを連れて逃げ延び、反帝国勢力を作り上げます。
こうして帝国はたった一人の女性を巡って2つに分裂しました。
全て計画通りです。
私がしたことはヒロインちゃんを舞台に放り込んだことと最後にリョフェルさんに伝えたくらいです。
帝王さんの暗殺の仕方を。
さて、ここからは我が国が誇る将軍であるヤンホモさんの出番ですね。
帝国は2つに分かれました。
それだけではありません。
急激な征服によって領土を広めたため反乱分子は大いに存在します。
反乱はいろんなところでたくさん起こります。
帝王さんが死んだことが原因です。
もちろんこれに帝国は対処しなければなりません。
そしてそこは私の国から見れば帝国の反対側です。
そう、私の国の国境側はがら空きになります。
ヤンホモさんはそこから正面突破。
帝国の首都、そしてリョフェルさんの拠点を制圧します。
さらにそこを拠点に反乱がおきている側を沈めます。
これで帝国は手に入ったも同然ですね。
そしておかえりなさいヒロインちゃん。
おかげさまで簡単に帝国を潰し、ついでに手に入れることが出来ました。
ご褒美に頭を撫でてあげましょう。
恍惚の笑みを浮かべています。
確かに彼女は帝王さんもリョフェルさんも愛していました。
ある意味才能ですね。
しかし、だからこそそれを犠牲にしたのです。
私のために。
私に褒めてもらうためだけに彼女にとって価値のある愛する人を犠牲にしたのです。
それほどに彼女は私の事を崇めています。
本当に愚かでかわいいですね。
もっと可愛がってあげましょう。
だからもっともっと私の役に立ってくださいね。
傾国のヒロインちゃん。
ふふふ。
やっぱり書いていてとても楽しかった。
もうコメディじゃないですよね。
何のジャンルかわからない。
評価や感想待ってます。
登場人物紹介
システィーナ:主人公。心すら見通す能力を持っている。もはや真っ黒どころかやっていることは悪魔そのもの。利用するものは何でも利用する。今回はヒロインちゃんを追い詰めてから自分に心酔させた。
ヒロインちゃん:名前はマリアベル。幸せの絶頂から主人公によって一気にどん底へ。肉体的にも精神的にも追い詰められた時に主人公に手を差し伸べられ女神のごとく崇めるようになる。それが意図的だとは知らずに。今回も帝王もリョフェルも確かに愛していた。だからこそ主人公のために犠牲にした。
リョフェル:帝国の英雄。帝国の覇道は半分はこの人のおかげ。心の闇をヒロインちゃんに晴らされて惚れた。そして帝王と仲違いして暗殺。ヒロインちゃんを連れて逃げ延びるが、ヤンホモさんに負けて戦死。
帝王:ジャイアニズムの権化。どっかの元王太子以上に俺様。しかしかなりの有能。実際に世界征服ができる器があった。主人公の策略によってヒロインちゃんに惚れ、手に入れようとするが親友であるリョフェルに裏切られて死亡。
ヤンホモさん:前作に出てきたハーゲイ伯爵。夜中にはどこかに消えているらしい。