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七八話 反抗期

 皆が待っている部屋に戻った。


「何をして来たんだ?」

「ちょっと家族の所にな」

「さっき、レイから聞いたが俺の子孫らしいな」

「そうだな」


 俺はガイゼルの子孫ということになる。


「俺は素直になれなくて、親に迷惑かけたな」

「反抗期ってやつだな。……多分、俺も同じ状態だ」


 あの息苦しさは反抗期に入っていたせいなのか。

 前世では反抗という反抗をしたことが無かったせいでよく分からなった。


 親よりも妹が 邪魔だっただけかも知れないが。


「ジョンはどこに隠れてるんだ?」

「あいつなら『一秒でも早く有名になって、世界を平和にしてくる』って言って、飛んで行ったぞ」

「正義感凄いな」


 残念ながら、俺にはそんな綺麗な思想は無い。

 気に入らない奴は殺す。それが俺だ。


「じゃあ、この子たちの指導の方針でも話し合おうじゃないか」

「そうだな。レイは隣の部屋で待っているから、俺たちも行くか」


 別室に移動した。


「面白い部屋だな」


 真ん中が空いた大きな丸い机が置かれた重役会議をするための部屋だった。


 丁度、会議をするにはいい部屋だ。


「じゃあ、第一回、化け物製造の会議を始めるか」


 席に着きながらかっこつけてみた。


 ――――――


 太陽が完全に顔を出した頃に会議は終わった。


「じゃあ、今日から頼む」

「分かった」

「分かったのじゃ」


 二人が部屋を出ていく。


 会議中に教えて貰ったが、この家には特殊な部屋が何か所かある。


 明らかに家よりも広い部屋や異常気象を起こせる部屋など他にもたくさんあるみたいだ。

 俺にすら再現が出来ないほどの技術の部屋があるのは驚きだ。


 勿論、利用させて貰う。


 俺も隣室で寝ている子供たちを起こしに行くか。


 隣の部屋に転移する。

 そして、威圧を出す。


 これで、六人の少女の目が覚めた。

 才能の差は怖いものだ。


 たった一人の少年マクロを蹴って起こした。

 甘やかす必要は一切ない。


「よし、全員起きたな。ついて来てくれ」


 有無を言わせぬ表情で歩いた。

 《洗脳》により、俺の事を師匠だと思っているので、簡単についてくる。


「ねえねえ、師匠。今日は何をするんっすか?」


 まるで、気の知れた後輩のような喋り方をしてくるのは、灰色の髪の鼠。インだ。

 意外と覚えているもんだな。


「今日は、新しい師匠を紹介する。それと、本格的な修行を始める」

「そうっすか。楽しみっす」


 全く、朝から元気すぎる。


 賢者と剣聖が待つ部屋へと向かった。


 体育館の様に広い部屋に着いた。

 そして、少女たちを横一列に並べる。


「この二人が、新しい師匠だ」

「賢者レイ。魔法を教える」

「俺は剣聖ガイゼル。剣を中心とした近接戦闘を教える」


 自己紹介が終わった瞬間。

 黒い尻尾を持つ狐のコンがガイゼルに突進をした。


 戦闘狂な性格を持っていることは今知った。

 それにしても、何も教えていないのに尻尾をフェイントに打撃を仕掛けるとは。


 才能とは恐ろしいものだ。


 ガイゼルがコンの体を掴み、体をのけ反らせた。

 まるで、プロレス技であるような技だ。


「筋はいい。だが、全体的に遅い」

「流石、師匠が認めた男」


 圧倒的な才能があっても、レベルの差や経験をひっくり返すのはかなり難しい。


「ついでに、俺が担当する子を言っておくか」

「やりたいっす」


 インが積極的に参加を希望した。


「この二人とそこの銀髪のドワーフ」

「はい」


 エネはインとは対照的に消極的である。

 個性が分かれる弟子を持つのはガイゼルにとっては楽しい事だろう。


「次は儂の魔法」

「私。やりたーい」

「……」


 白髪のネンが元気よく挙手した。

 エルフのシザはレイをじっと見つめるだけ。


 どちらも意欲は十分だ。


「その二人じゃ」

「あれ、僕は」


 残りはマクロとドワーフのデンだ。


「残りの二人は俺が教育する」


 各自で自分たちの師匠の元に向かった。


「じゃあ、俺たちは別の場所に行くぞ」

「「はい!」」


 元気な声で返事をしたマクロと共にある場所に転移した。


 ――――――


 リュウが転移した後にガイゼルは三人の少女たちに襲われていた。


 三人は剣を持っており、一斉に掛かっていたが、それをガイゼルは素手で裁いていた。


「イン。スピードはいいが、軌道が単純すぎる」

「はいっす」


 インは指摘された箇所を一瞬で直した。

 すると、ガイゼルの頬を傷つけた。


「よし、いいぞ。あと、防御も忘れるな」

「痛いっす」


 腹部を殴られたインは床に転がった。


「エネ。お前の見えない様に切るのは上手い。だが、攻撃回数が少ない」

「すいません」

「謝るな! 弱点を直せ」


 逆手に持っていた短剣の片方を順手に変え、防御と攻撃を両立した。


「よし、いいぞ。俺も負けられないな」


 倒れていたインも攻撃に戻った。


 三人は徐々にガイゼルを追い詰めていった。


 ――――――


 一方魔法を教えるレイのサイドは魔法や魔素の知識を軽く二人に教えた。


「魔力を出してみるのじゃ」

「これだよね。ししょー」

「手に集めた」


 五百年前を操るには最低でも数か月掛かる所をほんの一瞬で終わらせた。

 流石のレイも驚いた。


「よし、じゃあ次は火を無詠唱で出してみるのじゃ」

「うーん」

「これですか」


 集中しているネンとは違い、エルフのシザはすぐに火の球を出した。

 まさか、ここまでやるとはレイも想像していなかった。


「次は各属性の球を……」

「出来ました」

「じゃあ、電気を……」

「出来ました」


 指示の途中で勝手にシザは魔法を使った。

 完璧に近い形で。


「次は……」


 レイが次の指示を出そうとした瞬間。シザが倒れた。


「魔力切れなのじゃ」


 魔法行使力が高いが、その分、魔力をあまり持っていなかった。


「やっと出た」


 少し遅れてネンも炎の球を出した。

 しかし、球の大きさはシザの比では無かった。


「すぐに圧縮するのじゃ」

「はい」


 体育館クラスの広さを埋め尽くさんとするほどの大きさの火が広がった。


「邪魔です」


 剣の訓練をしていたコンが火の玉を切った。

 ただし、真っ二つにではなく、みじん切りに。


「コン。流石にやり過ぎっすよ」

「ごめん」

「私たちも魔法使いたい」


 さっきまで、ガイゼルの元で訓練をしていた三人が魔法組の所に来ていた。


「ガイゼル」

「休憩中だ。それに魔法も出来ていた方が便利だもんな」

「交代してみるのじゃ」


 気絶しているシザを回復させ、剣を持たせた。

 

「「よし、訓練の再開だ(のじゃ)」」


 休憩の間もなく、化け物製造が始まった。



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