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七四話 奴隷

 他国の城下町に来ているが、道が分からない。


 一応、焼鳥の屋台は見つけた。

 しかし、それ以外の店は全然分からない。


 路地裏で寝ているボロ衣を着ている男に聞いてみるか。


 一枚の金貨をあえて、音を立てて弾き男の前に落とす。


「少し、聞きたいんだが奴隷は何処で買える?」

「奴隷商会ならあそこの角を曲がれば、すぐです」

「ありがとな」


 金貨をもう一枚男に投げて、言われた場所に向かって歩き始めた。


 ――――――


 奴隷商会とやらの外観はは汚い感じは無くそこそこ綺麗だった。

 食堂をやっていると言われても分からない位だ。


 店に入る前に白金貨を数枚ポケットの中に入れておく。

 扉を開けた。


「いらっしゃいませ。……ガキかよ」


 早速、否定の言葉を頂いたが、ここで白金貨を三枚ほど取り出し、見せびらかす。


「これじゃ足りないですか。分かりました。()()の私は帰ります」

「すいません。先ほどは当店のものが失礼しました。後ほど厳重に処分しますので、どうぞこちらへ」


 偉そうな奴がさっき応対をした人間を蹴り飛ばし、丁寧に対応してきた。

 一五〇万円をポケットから軽く出せる人間が冷やかしだとは思わないはずだ。


 歩きながら質問をする。


「今日はハーフ系の種族を買いに来たんだが、居るか?」

「勿論です。しかし、ハーフ系は……」

「呪われている。知っていますよ。研究材料にいいんですよ」

「それはそれは、お若く見えて博学なのですね」


 別種族同士の親を持つものをハーフ系と言って、世の中では呪いを持っていると言われている。

 クソみたいな風習だが、これが今の世界なのでしょうがない。


「予算は二万ゴールドを考えているが、いい物があれば更に払おう」

「分かりました。それではこちらの部屋でお待ち下さい」


 部屋の中に入ると商談用のソフャと机が置いてある装飾も凝られている。

 更に警備兵が天井に潜んでいて、警備体制もいいみたいだ。


 ソファに腰かけながら、息を吐く。 


 今回。ハーフ系にしたのには理由がある。

 俺の技術や魔法を伝授するのと、国を作るためだ。


 アーツ王国の全種族を受け入れる。

 これは、悪くはない。だが、王が人族のせいで胡散臭い評価を受けている。


 一番迫害を受けている種族が国を作ってこそ価値があるだろう。

 勿論、裏で手を引くのは人族である俺になる訳だが。


 予定を考えているとさっきの男が一人で部屋に戻ってきた。


「今回紹介する奴隷は少々ハーフということもあり、傷物が多いです。その分、扱いは自由なのでご了承ください」

「分かった」


 男が手を叩くと扉が開き、十人のボロボロの服を着た子供が入ってきた。

 歩き方や仕草で武への才能を見る。


「現在、当店にはこの十体のハーフがいます」

「男が二体しかいないのは何故だ?」

「忌まわしきハーフであっても、国の労働力にはなります。大変申し訳ございません」

「いや、大丈夫だ」


 頭をかきながら、見ていく。

 なんで、少女ばかりに才能があるのだろうか?


「説明を頼めるか?」

「はい。分かりました。お客様の右から七番目までが獣人と人間のハーフ。八と九番目はドワーフと人間で一番左にいるのは珍しいエルフとのハーフです」


 ドワーフ以外は見た目で分かる。


 獣人とのハーフは頭に獣の様な耳が生えており、それぞれの動物の尻尾が短く生えている。

 エルフは耳が少し尖がっている。


「右から三番目の黒い尻尾が多い女は何とのハーフなんだ?」

「狐の獣人とは資料にあるのですが、突然変異と言われるものですかね?」

「呪いだな」

「え!?」


 買うやつは決めた。

 後は適当に値切るだけだ。


 今までは客目線で話を進めていたが、口調を変えないとな。


「俺は呪いについて研究していてな。最近の研究で髪の色が本来決まっているはずの種族で別の色が出てしまうと、不幸の呪いが掛かっているんだ。本人も勿論不幸だが、周りにも不幸を感染させる。あなたも最近不幸な事がありませんでしたか?」

「そういえば、最近、友と呼べる人間が死んでしまいました」

「ここにあれを置いておくのは危険だ。私なら呪いをどうにかできる」


 研究とかは嘘だ。

 しかし、あの少女に呪いが掛かっているのは嘘ではない。


 まあ、俺でも解呪可能な非常なまでに弱い呪いである。


 それにしても、最近嘘をよく使ってしまっている気がする。気を引き締めないとな。


「この商会にも不運が染みつくと大変でしょう。ちょっとしたことで大きな失敗になって、信頼を失う。商人さんも大変ですね」

「奴隷を引き受けてくれるだけでもありがたいのに。そこまでして貰えるとは、なんとお礼をすればいいか」


 ここで大切なのが、値切りについて一切言わない事。

 この商人はかなり優秀だ。金を使ってでも関係を築くことが重要だろう。


「いや、お気持ちだけで充分です。私も自分の研究が試せて、あなたは呪いから解放される。お互いに益がある話ですから」

「そう言って下さるとありがたいです」

「それで、買う奴隷についてですけど……」

「ここにいる十体なら、無料で提供いたします!」


 にやけるのを抑える。

 まだ、この商人は俺を信用しきっていない。


 安物の奴隷だから、簡単に無料で提供しているのだろう。

 解呪がデマならデマでいくらでも対処するすべをこの商人は持っている。


「あなた様のような人に協力できるだけでも、ソーフスは商人として大変光栄です」

「ソーフスさん。ありがとうございます。それと私はリュウと言います」

「分かりました」


 上辺だけの交渉はこれで終わりだ。

 次はソーフスとの信頼を築けれられればいい。


 さて、約束は果たさないとな。


「今から、呪いを消しますがここに血を垂らしてもいいですか? 儀式が終われば、すぐに消えますから」

「遠慮せずにどうぞ」


 魔剣を抜き、腕を切る。

 勢いよく地面に血が広がった。


 魔力を使って、血を魔法陣っぽい感じに広げる。


「《解呪》」


 血が光り、そのまま消えた。

 本当は詠唱や魔法陣なんて必要ないが、難しい儀式をしているように見せるためにやった。


 これで、約束は果たした。


「これで大丈夫です」

「何だが、運が上がった気がします」


 こっそり、温風を当ててそれらしい気分にした。


「じゃあ、そこの獣人の姉弟以外は全員を買います」


 金貨五十枚を机の上に置いた。


「お金は……」


 天井にいる監視員にばれないように耳打ちをする。


「殺処分をした事にして下さいませんか? こちらにも都合がありまして、それとこのお金はお家族で美味しいものでも食べるのにでも使って下さい。これからも良好な関係を築きましょう」


 ソーフスは納得したように頷いている。

 家族については勘で言ったが、正解みたいだな。


「普通なら、ここで主従契約を行いますがどうしますか?」

「大丈夫です」

「じゃあ、これはお渡ししますのでお好きにどうぞ」


 首輪を八個貰った。

 【鑑定 十】を使う。



 奴隷の首輪――服従した相手に付けることにより、命令を守るようにさせる。比較的多くの量が出回っている。所有者か奴隷のどちらかが死ねば再使用が可能である。



 大体、想像通りの物みたいだな。


「また、来た時もよろしくお願いします」


 奴隷たちの方向に向く。


 『まとめて、賢者の元に転移をしてくれ』

 『あの家ですね。分かりました』


 輪投げの様に魔力を買った八人の奴隷に向かって投げる。

 その魔力がクウによって、転移の能力を持つものに変わった。


 俺が転移すれば、移動は完了だ。


「紙を貰えますか?」

「はい。どうぞ」


 受け取った紙に腕に残っていた血を当てて、魔力を込める。

 適当な魔方陣を作って、完成。


「これを渡しておきますので命の危険などがあったら破って下されば、すぐに私が来ます。それでは」

「魔道具を—―」


 何か言われる前に転移した。



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