七一話 核兵器
サブタイトルで駄目な方は飛ばして貰っても構いません。
次の話からの理解が難しくなるため、なるべく読んで下さるとありがたいです。
目を開けると土が見える。
無事だったみたいだ。
地面を這い上がり、蓋を開ける。
辺り一面更地になっていた。
もし、ビルの中に籠ったままだったら死んでいただろう。
すぐに蓋を閉めて隠れる。
あれほどの破壊力はたぶん核クラスのものだろう。
放射線を避ける方法は魔王拳にはない。
魔法を使えば何とかなるだろうが、今は使えない。
一週間もすれば、かなり減るはずだ。
……待つ訳ないだろう。
放射線は遺伝子を傷つける能力がある。
なら、ここを攻略した後にいくらでも修復可能という訳だ。
穴から出て、思いっきり走る。
ダメージを実感できないのは少々恐ろしいな。
瓦礫を抜けた先には真っ赤な葉をつけた世界樹が生えていた。
よし、あとは妖精とやらに葉を貰えば終わりだ。
「おめでとうございます。私は東の最果ての妖精であります」
赤髪の少女に敬礼をした状態でまるで軍隊的な言葉で称賛された。
「貴官が今回の妖精ですか。葉っぱを少し分けて貰えるとありがたい」
面白そうなので俺の中の軍隊風で返した。
「そうでありますか。了解しました。これが目的の品ですな」
血のような葉っぱを受け取った。
これで四つ揃ったな。
「これで、、本官は四つの葉っぱを取得しましたが、どうすれば、ダンジョンに到着できるでありますか?」
「おお、流石であります」
後は世界の中心とやらに行くだけだが、世界の中心は何処か分からない。
「ここはスキルと魔法の使用が可能であります。まずは残りの三枚を提示して下さい」
【アイテムボックス】から、三枚を出す。
すると、四枚の葉っぱが光始めた。
黒、黄、白、赤の四色の葉が一枚に纏まって行く。
「その葉は終焉の葉という名を持ち、ラストダンジョンに入場するためのチケットのようなものであります」
「世界の中心は何処にあるのでしょうか?」
「それを見つけるのも大切な要素であります」
急いでいるのに中心を探すなんてする気はない。
北と南で線を引いて、西と東で線を引いて、重なった場所が世界の中心と言えるだろうか?
「よし、ここが世界の中心。異論は認める」
「は?」
試しにここが世界の中心だと心から信じてみる。
「流石に何も反応しな……え?」
地響きが発生し始めた。
もしかして、正解だったのか?
地面から、ニョキっとダンジョンの入り口が生えてきた。
「流石、貴官はすばらしい」
「本官は大至急攻略してくるであります」
最後に敬礼して、ダンジョンに入った。
――――――
一階層目はただの一本道。
二層目、三層目、四層目も一本道だった。
五層目はダンジョンボスの扉があった。
ここまで、引き伸ばされたら、どんな強い奴か楽しみだ。
部屋に入る。
「透明の魔物か?」
誰もいない。
【魔力感知】にも何も反応が無く、魔物なら相当の隠密能力があるな。
渾沌魔剣ボールトを引き抜く。
そして、能力の一つである斬撃を使い部屋を何度も切る。
しかし、なにも変化は無かった。
「階段がある。もしかして、魔物はいないのか?」
疑問を隠せないまま、階段を降りた。
「攻略おめでとう。私は悪魔統括の者です」
「どうも」
虹色の服を着た男がいた。
ここのダンジョンマスターだろう。
ダンジョンマスターとは、ダンジョンを作った悪魔、もしくは天使の事を指す。
たまに〈嫉妬(ジェラシー〉みたいに神が関わっていたりする。
そもそも、ダンジョン自体が神々の娯楽なのだ。
いい趣味をしているよな。
全部、嫉妬の邪神レヴィから聞いた事なので、真実かはよく分からないが……。
「あなたの目的は神鉱石でしょう」
「多分それだな」
神鉱石。かっこいい名前だな。
「それではこちらへどうぞ」
通路を進み、一つの部屋に到着した。
部屋には大量の黒光する鉱石がある。
「これが、神鉱石・邪です」
「かっこいいな」
一個を掴み、感触を確認する。
本気で握っても潰れそうにないな。
「これは、まだ最初の段階です」
「段階?」
「はい。ここに七罪の邪神の方々の力を込めて頂ければ、神鉱石・神邪となります」
今の状態でも生身の俺の本気を耐えれる硬さなのに更に強くなるのか。
『七罪の邪神を集めておくね』
『ありがとう』
シュウのためなら神に頼ってもいい。
「いくらでも持って行って下さい」
「助かる」
多めに俺の体、四つ分位を持っていく。
「次の神鉱石を紹介する前に替わります」
まだ、あるのか。
「私は天使統括の者です。それではこちらにどうぞ」
同一の奴が天使と悪魔を統括しているのか?
そのあたりはいつか、レヴィに聞くしかないな。
隣の部屋に移動すると、今度は白光りする鉱石があった。
「これは神鉱石・聖です。これも、七徳の聖神の方々に力を込めてもらうと神鉱石・神聖になります」
今度は美徳の方か。
邪神は交友関係があったから、簡単に頼めるが聖神とやらには出会ったことすらない。
『そいつらなら、私の下僕だから集めておくね』
『そうなのか。助かる』
下僕の部分は少し興味があるが、これで全て揃ったな。
「これも好きなだけどうぞ」
「じゃあ、遠慮なく」
神鉱石・邪と同じぐらいの量を貰っておく。
「それでは、何をしますか」
「お前とも話をしてみたかったが、ちょっと急いでいるから帰る」
「いつでも来てください」
「じゃあな」
転移で王城に戻った。
――――――
【超再生 十】で壊れた細胞を治しているとスキルが進化した。
【超高速再生 一】
スキルのレベルが十に達した状態で使い続けると進化や派生をするスキルがある。
更に強くなっても意味が薄い気がするな。神と戦う訳でもあるまいし。
外を見ると、月が沈み始めている時間帯。元の世界なら二時とかそのあたりの時間だった。
部屋にはシュウしかいない所を見るとまだパーティーは続いているのだろう。
それにしても上手く再生しないな。
完全に壊されてないせいだ。
「体を火に替えるイメージ。《炎化》」
体が赤い炎で包まれる。
中途半端に壊れた細胞が燃える事により、壊れていく。
新しく魔法を作った。
意外と作成するのは簡単だ。
勇者の時は既存の魔法を使った回数より、その場で作った魔法の方がよく使った。
知らないとは恐怖なのだ。
発想で次第で作れる魔法は魔導より優れている。
表面の皮膚が完全に入れ替わった。
魔法を解除する。
【超高速再生 五】に成長していた。
「お腹空いたな」
再生した影響でエネルギーを使い過ぎた。
シュウの腕と目が腐ってないかを確認した後にパーティーとやらに行きますか。
ベットを捲ると少女がシュウに抱きついていた。
――なんとなくで分かってしまった。
これは、シュウの魔剣だ。
腕と目は大丈夫だな。
ベットをこっそり戻して、部屋を出た。




