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七話 精霊契約

 俺の前には一つの光の球がある。多分、こいつが、精霊なのだろう。


「一体だけか、まあそこまで落ち込むことは無い。一体とも契約を出来ない人もいるんだ」


 婆さんが慰めてくれる。

 しかし、そこは問題ではない。


『こいつが今回の契約者はこの人間か、ちいと試させてもらうで』


 頭のに直接男性の声が入ってきた【念話】のスキルに似ている。精霊って喋り掛けて来るのか。しかも、大阪弁っぽい感じで他の人も精霊と喋ったりするのだろうか。

 いろんな疑問があるが『試させてもらう』の言葉が一番疑問になった。


『どうも、初めまして、僕はリュウって言うものです。試させてもらうとは一体どうゆうことでしょうか』


 精霊相手に【念話】が出来るかは知らないが、勇者の時に使ったスキルの感覚を思い出しながら話掛けてみた。


『なんで、口を動かさずに喋れるや、まだ契約すらしていないのに、まあ、そんなことは今はどうでもいい、ちょっと移動するで。  異次元へと通ずる道よ開け《転移門ワープゲート》」


 頭の上に魔力を感知した。名前からして転移系の魔法だ。俺の魔力は使われていないので精霊本来の力なのだろう。

 何も、抵抗せずにバレバレの魔法をくらった。


 ――――――


 目を開けると真っ白い空間にいた。転生する前に来た空間にかなり似ている。


 それにしても、こんなところに来たら、教会の婆さんから見ると突然消えたように見るだろう。

 心配して探したりは……しないかもなあの婆さんなら。


『外の世界を心配しとるようやが、安心せい。ここは時間軸が違う。元の場所に戻った時は、人が瞬きした瞬間ぐらいしか時間は経ってへん』


 こんな、空間に人を一人を飛ばせるレベルの精霊。どんな力を持っているのだろうか。相棒になるかもしれない相手に変な口調になる必要はないな。


「それは良かった。まだ、スキルを習得出来たか分からなかったから、確認できる所をくれて、ありがとな」

 

 俺はステータスカードを見る。そこには新しく【念話】一 のスキルが表示されていた。


『素はそっちか、下手に敬語を使いやがる奴はあまり好かん』

「俺は傲慢な奴が嫌いだけどな」


 この精霊かなり偉そうだが、契約をしてくれるのだろうか。でも、いつもこんな偉そうな態度をしてくる奴が近くにいるのは勘弁してほしい。


「俺は帰らさせてもらう」


 正直。帰り方なんて知らないが魔力を放出して軽く円を作ってみる。特に意味はないが相手が勘違いしてくれればという気持ちでやってみた。


『もしかして、あんた魔力を自分で操作出来るんか。え…詠唱無しでこんなに早く。あり得ない。さっきまで偉そうな態度を取ってすいませんでした。ちょっとまだ、帰らないでください」

 

 いきなり、喋り方と態度が変わった。ハッタリが予想以上に効いた。

 そんな事より、この会話は精霊契約について話すために来たんだった。話を戻しておこう。

 

「そういえば契約を…」

『します。いや、させてください。お願いします』


 俺の言葉を遮って答えてくれた。契約する意欲はあるみたいだ。

 前みたいに傲慢じゃなければ、別に断る理由もないし、一体も契約出来ていないと魔導と称して、魔法を使うことが出来ない。


「よし、これからよろしくな」

『本当にすいません。これから誠実にやっていきますので契約を……え。いいのですか」

「別に怒ってないし、偉そうでなかったら、元に戻してもいいと思っている。

『こっちが素なんで大丈夫です』


 結構大阪弁っぽいやつもあれはあれで、好きだったが演じていてあの喋り方やったらしい。この空間で俺を試すと言っていたが何をするつもりだったのだろうか。まあいいか。


「こんな空間に人を転移させるほどの精霊がこんなにあっさり認めてくれていいのか」

『僕。実は空間を司る精霊でして、対象を移動させるのが得意です。世界に一体だけの種類のレアな精霊という肩書があります。しかし、無詠唱であんなに美しい魔力の放出。約五百年前に見た最強と言われた勇者と同じレベルです。憧れでして、こんな強い人と契約したいなと思っていましてあなたが今まで一番似ていました』


 敬語が強くなってきているがまあいいか。ていうか俺この精霊に目を着けられていたのか。


 勇者の時は敵対する視線だけに敏感で憧れの視線なんて気にしてもいなかった。あの時は自分の力ではないチートで強くなっていたので、憧れられてもあまりいい気がしないし面白くなかった。


「精霊契約ってどうやってやるんだ」

『実はもう契約は済んでいます。あの魔方陣から出てきてこの人と契約したいと思ったら契約完了です』


 初耳だ。魔方陣から出てきていても契約が出来なかったんだな。


「そろそろ、帰りたいんだが試すのなら今してくれ」

『一応。やるのが楽しみの一つなのでやらさせてもらいます。ルールは僕が闇魔法で作った黒い球を放つので、躱しても相殺してもいいです』

「闇魔法も使えるのか?」

『空間以外は複雑な魔法以外なら大丈夫です』


 よく考えてみたら、白い球が黒い球を出す。なんか、シュールだな。

 でも、真っ白い空間だから黒い球は見やすい。


『じゃあ。始めます』

 

 黒い球が前から飛んで来た。速さは野球の軽いキャッチボールぐらいだろう。遅いぐらいだ。

 しかし、この球に集中していたら、後ろにから来ている球に当たってしまうな。【魔力感知】を習得していないと発見するのに大変だろう。


 左へ躱した。ジャンプをして躱したら、躱す方法がかなり限られてしまう。


『どんどん行きますよ』


 顔が見れたらきっと無邪気な子供の笑顔な気がする声がする。普通の子供だと一発目のフェイントで終わっていただろう。


 ――――――


 この後、精霊の攻撃の密度とスピードが上がって行き。俺も《身体強化》を使って躱した。


『ふう。ありがとうございました。久しぶりに全力を出せました』

「楽しかったぜ。俺も昨日のことが無ければ久しぶりに疲れた」


 避けるだけをするのは、久しぶりだ。ちなみにこの精霊は俺の魔力をまだ一切使っていない。俺の魔力を使ったら、凄いことになりそうだ。 

 

 正直。精霊を舐めていた。こんなに楽しい奴がいるなんて思わなかった。これで一人ボッチになっても寂しくないな。


「じゃあ帰ろうぜ」

『え、ちょっと待ってください。僕の魔力がまだ回復していないので、《転移門ワープゲート》が使えません』

「俺の魔力を使えばいいんじゃないか」

 

 魔導を発動させる要領で俺の魔力を使えば発動できるはずだ。


『そうですね。しかし、あなたが魔力を僕に流してくれたら早く楽に発動させれます』

「そうか。あと、俺の名前はリュウってんだ。あんたの名前は?」


 魔力については分かったが、精霊の名前を知らなかった。会話するときに面倒臭くさい。

 聞いている間に魔力を精霊に流しておく。


『僕の名前ですか。まだ無いですね。空間の精霊とは呼ばれていますが、名付けて下されば嬉しいです』


 命名センスなんて無いんだが、考えてみる。一応本には精霊には性別が無いと書いてあったが両方で使える名前にしよう。

 

「空間を司っているから、クウっていうのはどうだ」


 他にも考えたが、選ぶのが面倒臭いので一番初めに浮かんだ名前にした。


『クウ。いい名前ですね。今度から僕のことはクウと呼んでください』


 もし、ダメだったらレイと相談して決めようと思っていたがあっさり認めてくれて良かった。


「じゃあ、クウそろそろ戻れるレベルまで回復したんじゃないか」

『はい。戻りましょう。《転移門ワープゲート

 

 前は変な詠唱していたのに今回は魔法名を言うだけになっている。俺が考えているうちに教会に戻っていた。


 ――――――


 リュウが教会に転移した時。クウはまだ真っ白い空間に居た。


『まさか、この人間がクソみたいな時代でリュウみたいな化け物がいるんだろうか。転生者の可能性が高いけど、最近の他の転生者もスキルはいいけど魔力を一切動かせていない。分からない』


 クウはリュウについて考えていた。最近の人間は魔力を自分で動かせていない。だから、契約すると相手の魔力を体から出す所からやらないと魔法を使えず精霊にとっては重労働だった。

 

『あの変な口調を辞められただけ良しとしますか』


 あの喋り方をすると転生者と他の人では反応が違うのでわざとあの喋り方をしていたのだ。


『それにしても今回も僕は一人だけか。まあいいか、リュウを助けられる精霊は僕だけだ。リュウは僕しかいない。いいそれで、他の精霊どもより僕を選んでくれたんだ』


 クウは嫉妬心が強い。自分じゃない精霊は嫌いなのだ。


『そろそろ、僕も戻るか、リュウの魔力供給は自然すぎて分からなかったな《転移門ワープゲート》』


 クウも教会に戻った。


 ――――――


 時間的には本当に一瞬だったみたいだ。教会の婆さんは驚いても慌ててもいない。何も変わっていない。クウも魔方陣の上にいる。


「精霊を体の中に入れられるか」


 婆さんが聞いてくる。精霊って体の中に入れられるのか。


『クウ。体に入れるか』

『入れます。他の精霊どもが居ないんで入りやすいです』


 光の弾が俺に入ってくる。本によるとすごい人だと、百体ぐらいが体に入ってくるらしい。チート持ちの転生者だろうな。

 

「じゃあ、儀式は終わりさ、戻るならついて来な」

 

 別にやることも無いので婆さんについて行く。


 教会の入り口に着く。

 受付から出る。すると、いきなりロイから質問された。


「精霊は何体だった」


 そういえば、精霊の質よりも数を気にする時代だった。一体しか契約をする事が出来なかったので、人差し指を一本立てた。


「一体だけか、しかし、お前の剣術があれば何とかなるだろう」


 これで、差別されるようなら嫌な気分になったが良かった。


「帰る前に王都にあるダンジョン見ていくか?」

「いいのですか。行ってみたいです」


 ダンジョンに行って見たかったので丁度いい。


「いいぞ、でも、これを着ておいてくれ」


 フード付きのマントを貰った。どうやら、これで顔を隠せということらしい。


「僕も久し振りだから、わくわくするよ」


 ロイは貴族になる前にダンジョンに潜っていたらしい。

  

「もう。いっそのことリュウの冒険カードも作ろうか」

「お願いします」


 冒険カードはよく分からないが冒険者には持っていて当たり前の物なのだろう。


「よし、冒険者組合に行くぞ」



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