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六六話 貴族

 二時間考えたが、答えに辿り着けなかった。

 考えれば分かるはずなのに分からない。一番モヤモヤする問題だ。


 前世は結構あったんだけどな。異性として意識した事は何度もある。


 異世界に来たから?

 いや、美少女を見た時は体が反応していた。今ほど無関心では無かったはずだ。


 もし、病気だったらかなり厄介だ。

 特に勉強したことが無い分野だと薬の開発すら不可能。


 生まれつきが一番有力である。

 今度、シュウに相談でもするか。


 案をいくつも考えていると周りが赤くなっていた。

 夜にパーティーがあるから準備をしないとな。


 ――――――


 結局する事も無くのんびりソファーに座っていた。


「暇だー」


 声に出るほど何もすることが無い。

 一人で嘆いてしまう。


「おい! 次期剣聖の名を懸けて僕と勝負しろ!」

「へ!? き、君は誰かな?」


 警戒も何もしてなかったので、急に話しかけられて驚いてしまった。

 すぐに冷静を装い話しかける。


 扉を急に開けてきた無法者は俺と同じ位の身長で一、二歳位、年は上だろう。


「聞いて驚け。僕は四大公爵の一人、アーボン家の長男ミペア・アーボン。君の事は知っている」

「そりゃあど……私をご存じですか」


 つい、いつもの口調になりかけたが、貴族同士の戦いは言葉遣いから始まるらしい。

 面倒臭いが暇つぶしには丁度いいな。


「さあ、僕と戦え!」

「いいですよ」


 こいつに負ける確率は万に一つもない。


「闘技場に行くぞ」

「分かりました」


 自身満々の顔が絶望に歪むのを想像すると笑顔になってしまった。


 ――――――


 昼に使った闘技場にまた来た。

 違う所は観客の数ぐらいか?


 叫び声や変な分析がやけに耳に響く。


「負けたら、剣聖の名を貰う」

「どうぞ。ご自由に」


 本当は剣聖の名を懸ける権利は俺にはない。

 だが、俺に勝てれば人類最強は確実なので剣聖でも何でもなられるだろう。


「審判は私がします。両者構えて」


 この人はシュウの試し斬りの時に審判をしていた奴だな。


 それにしても、ルールの確認は無しか。


「宝剣ヴァリヤスはミスリル以下の硬度を抵抗なく切れる。精々、死なないようにするんだな」

「ミスリル以下は?」

「切れない! だが、お前にミスリル以上の硬さの物を持っていまい。今なら降参すれば、少し痛い目を見るだけで済むぞ!」


 宝剣はダンジョンで採れる魔剣みたいなものだ。

 【魔剣召喚】を使えるのは剣聖の血を受け継ぐ者だけだが、魔剣自体はダンジョンの宝箱で運が良ければ入手可能である。


 宝剣ヴァリヤスの能力はミスリル以下の硬さを簡単に切れるというもの。

 オリハルコンは当然能力の対象外。


 魔剣を構えようとしたが、その必要は無くなった。

 右手を手刀の形にする。


「お前。ふざけているのか? その腰の持っている剣を使え!」

「あなたにはこれで十分です」

「舐めやがって、あとで後悔しても知らないぞ」


 観客も騒めいているが関係ない。


「始め!」


 宣言と同時に接近する。

 俺の速さに反射的に剣で身を守った。


 間違った行動ではないだろうな。

 だが、すべて計算通りだ。


 手刀と宝剣が打ち合う。


「宝剣ヴァリヤスに素手で触れたぞ!」


 観客の一人が叫んだ。

 今、やっている事は俺にとっては単なるパフォーマンス。遊びでしかない。


「インチキだな!」

「全身兵器は当然ですよ」


 話しかけるまで、余裕を取り戻されたようだ。

 後ろに跳んで距離を取る。


「今度はこっちから行くぞ!」


 今度はポケットに手を突っ込む。

 《魔装》で服を守る。()()()()()()()


 ミペアが何度も切りかかるが、服を乱す事すら叶わない。


「服に仕掛けがあるんだな」


 今度は顔や手。服で守られていない場所を叩いてくる。

 まあ、意味は無いが。


「流石に目は止めろ」


 眼球に突きをされたが、観客に配慮をして手で弾いた。


「目が弱点だな」

「それ、常識な」


 目を集中的に狙い始めた。

 人差し指を使い、弾く。


「真面目に戦え!」

「真面目真面目。はいはい」

「ふざけるな!」


 威力が少しだけ増している。

 まあ、大した差ではない。


「私には弟子がいるんですけどね」


 全くの反応を示されないが、勝手に話を続ける。


「あなたはこれに耐えられますか?」


 骨を折る程度の強さで殴った。

 軽く十メートルは飛ぶ。


「痛い! 痛い! 痛い!」

「まだ、続けますか?」


 魔剣を出して戦うに値するかの確認だ。


「僕の負けでいいです。だから、治してくれ!」


 審判の方を何度も見るが、勝敗を言わない。

 もう少し、叩くか。


 一歩一歩に絶望を感じさせるように音を出す。


「ひっ。来るな」

「ルールって何だろうな」

「ぼ、僕を誰だと思っている!」

「家を出すのはダメでしょう」


 《ショック》で気絶させる。

 これで、勝ちじゃなかったら殺人闘技場に早変わりだな。


「勝者! リュウ・ローゼン様」


 観客が更にうるさくなった。

 クールに去りながら、怪しい観客の声を聴く。


「あれが剣聖。しかも、まだ子供だぞ」

「アーツ王国と戦争すると剣聖一族だけで、軍は壊滅だろうな」

「報告せねば」


 戦争を回避したみたいだ。

 国一つぐらい俺だけで壊滅可能である。まあ、精神的に厳しいが。


 部屋に帰る途中に女性に囲まれた。

 美少女や美女ばっかりだったが、残念ながら体は何一つ反応が無かった。


 しかし、面白い奴は居た。


「ドゥーユーライクウドン?」


 急に英語でうどんが好きか聞いてくる少女だった。



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