六二話 新ステータスカード
夕食に服を着て行った。
いつもと違う服で少し驚かれていたが唯それだけだった。
部屋に戻って考える。
もし、馬鹿な貴族が俺にちょっかいを掛けてきたらどうしようか?
そもそも同じ種族の同い年位の奴に出会うこと自体が今世では初めてだ。
あれ。もしかして、俺って世間だと引きこもり的な存在だったりして。
兵士には顔を知られていることが驚きだったが貴族に俺の顔は知られているのだろうか?
服に宝石などの派手な装飾をやれば上級貴族を証明できるが動きにくそうだから止めておく。
どうせ、一週間後の事だしそこまで考えなくていいか。
――――――
「出発の準備は出来ているか?」
ロイが馬車の前で点呼を取っている。
一週間は早いものだ。
家族と護衛役の使用人数名が馬車に乗る。
残念ながらユミナは乗っていない。
代わりにルーミスが乗っている。服が破れた時の要員だそうだ。
「兄さん。ステータスを比べよう」
「それいいですね。私もぜひリュウにいのステータスを知りたいです」
シュウとシーが俺を挟むように座り話かけてきた。
二人とも今年六歳になり今日ステータスカードを貰う予定だ。
本来、他人にステータスを見せるものでは無いが。
「いいぞ。あまり参考にならなくても良ければ」
「「ありがとう(ございます)」」
良い声の被りだ。
今回ステータスを見せる気になったのは追いついて欲しいから。
すでに人間とは思えない数値を教えることになるが、それでも俺に追いつこうとするなら楽しみだ。
二人の驚く顔を想像しながらにやけているとロイに話かけられた。
「ステータスカードと言ったら最近新しいのが配布されているぞ」
「どんなのですか?」
新しいステータスカード。どんな機能が追加されているのだろうか?
「≪体力≫と≪魔力≫の部分が細かく分類されているのとあと……。まあ、町に着けば俺のステータスが貼られているから見るといい」
「貼られて?」
「ああ。剣聖の強さを示すために貼りたいってあいつから言われてな。スキルの欄さえ見られなければ別にいいと思って許可をした」
「強さを示すですか」
今までステータスカードを個人情報として親にも伝えなくても良かった国が剣聖の強さを示すために開示を求める。
怪しい気もするが本人がいいのなら俺が口を出す必要は無いな。
「それより、リュウも教会に行って新しいカードを貰ってこい」
「分かりました」
「なら、僕たちが精霊契約するところも見てよ兄さん」
「ついでにな」
シュウが身を乗り出して俺に提案をして来た。
精霊契約をする所を見て欲しい。
もしかして、俺の精霊数が一体だから大量に召喚して見下そうとしているのか。
流石にそれは無いはず。
馬車に揺られる事、一時間。
長い列が見えてきた。
今日、気付いたがこの馬車は速い。歩いて行ったら寝る時間も考慮すると四日かかる道を一時間で進んでいる。
流石は貴族用の馬車というべきだな。
六歳の時に来た時はすんなり通れたが今回は貴族用の列にも十台ほど並んでいた。
「これは時間が掛りそうだな」
本当に貴族かどうかを慎重に調べているせいで一人当たりの時間が長い。
あれ、前来た時はロイの顔パスで行けたのに他の貴族は違うのか?
のんびり待っていても時間の無駄だな。
「お父様。私たちは先に教会に行ってますので列に並んでいてください」
「どういう意味だ?」
「こういうことです。兵士の方にちゃんと伝えてくれるとありがたいです。あ、あと勝手に見つけて戻りますのでお気になさらずに。それでは」
隣に座っている二人の手を握り、転移をした。
――――――
教会の近くの路地裏に到着した。
「あれ、兄さんさっきまで馬車にいたのに」
「転移だ。不法入国だが別にいいだろ」
法を犯そうが知った事ではない。
――ばればきゃ犯罪じゃない。
それだけだ。
「よし、教会は少し歩いた所にあるから行くぞ」
「はい。分かりました」
シュウは未だに落ち着いていないが、シーはやけに冷静に対応してきた。
転移の能力を元から知っていた様な反応だな。
二人の手を引きながら教会へ辿り着いた。
途中。シーを狙った誘拐犯が来たので気付れる前に魔法を使って、地面に埋めた。今頃、窒息死でもしているだろう。
「早く行こう。兄さん」
「おい! 待てシュウ」
教会に入るとシュウが俺の静止を聞かずに一番空いている受付。
婆さんの所に速足で向かった。
「ステータスカードを貰いに来ました。あと精霊契約もお願いします」
「分かった。ついて来な」
「三人ですがいいですか?」
「一人も三人も手間はかからん来な」
速攻でやる事が決まった。
今から何を言っても仕方がないので今回も婆さんが担当になった。
「シーそろそろ手を離すぞ」
「わ、分かりました」
手を離してから婆さんの後を追った。
「ほらよ」
ステータスカードを投げ渡された。
シュウとシーがカードを眺めているので俺も自分のステータスカードを見る。
≪名前≫ リュウ・ローゼン
≪種族≫
≪レベル≫ 三四九
≪生命力≫ 測定不能
≪筋力≫ 測定不能
≪魔力≫ 測定不能
≪魔攻≫ 測定不能
≪魔防≫ 測定不能
≪スキル≫【魔力感知 十】 【魔呼吸 十】 【鑑定 十】 【剣術 十】 【体術 十】 【念話 十】 【夜目 十】 【全耐性 十】 【最硬化 十】 【超再生 十】 【狂化 十】 【龍纏】 【魔剣召喚】 【限界突破】 【アイテムボックス】 【全スキル習得可能】 【全魔法使用可能】 【プラハスからのメッセージ】
≪称号≫ 創造の愛護 消滅の愛護 狂人 嫉妬の親友 傲慢の尊敬 化け物
……突っ込み所、満載なステータスだな。
【鑑定】を使って調べる。
≪生命力≫――命の数値。無くなると死ぬ。
≪筋力≫――力の強さ、頑丈さを表す。筋肉を表すわけでは無い。
≪魔攻≫――魔法または魔導の攻撃力。
≪魔防≫――魔法または魔導に対する耐性。
測定不能――最新式のステータスカードは最大一〇〇〇万まで測れるがそれ以上だった。
【狂化 十】――自我を狂わせる代償に限界を超える。
【プラハスからのメッセージ】――ステータスカードをタップすると発動する。
≪称号≫――神によって与えられる。特に効果の無いものが多い。
創造の愛護――創造を司る神に愛されている者。
消滅の愛護――消滅を司る神に愛されている者。
狂人――己の狂気を制御し、自在に操る者。
嫉妬の親友――嫉妬の邪神レヴィータンと対等に話し、友と認められた者。
傲慢の尊敬――傲慢の邪神???に一方的に尊敬されし者。
化け物――人間の域を遥かに超えた者。
≪称号≫の欄からそっと目を背ける。
愛護されるのは嬉しいが名前が名前だ。創造? 消滅? 気にしたら負けだな。
狂人。俺の中にある狂気とは一体なんだ。
考えても分からないな。
邪神については完全に無視をする。残念だったなレヴィと名前が分からん奴。
さて、スキルに面白いものがあった。
【プラハスからのメッセージ】の部分を触る。
目の前に【鑑定】を使った時のように文字が広がった。
『リュウ、お久しぶり。創造神プラハスです。
本当は出会ってじっくり話したかったけどこれで我慢します。
転生してどうですか? 神界から見ると、とても楽しめているように見えます。
辛くなったらいつでも死んで下さい。私が魂を回収してずっと一緒にいましょう。
あと、いつも姉がお世話になっています。リュウがこの手紙を読んでいる時は私の姉、創造龍は神界にいますがそろそろ戻るそうです。
消滅龍さんも魔界から同じ位に戻るらしいです。
二柱とも龍が名前にあるけど龍神より圧倒的に格が上だから気を付けてね』
随分と丁寧な文章だな。
それにしても、デリデリとエリエリが最近話しかけてこないと思えば神界と魔界に行っていたとは予想外だった。
「リュウにい。次、行きますよ」
「分かった」
じっくり読みたがったが妹に催促されたせいでメッセージを理解する前に連れていかれた。
「これが精霊契約用の紙だ。血を一滴垂らせ。ほれ、針も貸してやる」
二人に針と紙が渡される。
俺に出来ることは何も無いのでのんびり観察でもするか。
「リュウにい。針を自分で刺すのは怖いのでやって貰っていいですか?」
「ああ、いいぞ」
シーから針を受け取る。
確かに針を刺すのは勇気がいるな。
「兄さん。先に僕がやるから見ていて」
「それでいいか」
「はい。勿論」
深呼吸をした後、シュウが指に針を当てた。
血が紙に垂れる。
光が集まり吸収されていく。
まさかこの光が。
「目を瞑れ!」
咄嗟に叫びシーの目を手で塞いだ。
暴力ともいえる光が部屋を包む。俺は目を瞑り切れず光を直接見てしまった。
視界が真っ暗になった。
これは目がやられたな。腕より複雑な目は潰されたら再生に二十秒はかかる。
徐々に前が見えてきた。
目の前には四色のパチンコ球位の精霊がざっと千以上はいた。
一体を除きシュウの心臓あたりに一列に並んで入って行った。
残った一体の色は赤色。大きさはバレーボールほどで明らかに他の精霊とは違う。
「火の精霊王? 名前を決めて? 何にしようかな」
シュウが独り言を言い始めた。
心あたりがある。
俺がクウを召喚した時も【念話】をしたがそれも口に出していれば周りから見れば独り言だ。
クウならあの赤い精霊を知っている可能性がある。
『シュウの精霊は何だ?』
『火の精霊王ですね。ちなみに私も空間の精霊王ですよ』
どんな原理かは分からないが精霊王クラスは会話が可能らしい。
「分かった。君の名前はヴェリトラだ」
ヴェリトラ。
……俺よりネーミングセンスがあるな。
空間の精霊だからクウにした自分が少し恥ずかしい。
クウとの出会いを思い出しているとヴェリトラと名付けられた精霊が光った。
「ありがとう。マスターの為に頑張るからよろしくね」
「う、うん。よろしく」
際どい服と大きな胸。男を誘惑する淡い赤髪をした美女が出てきた。
擬人化が発生していた。
『クウ。絶対に擬人化するなよ』
『なんでですか?』
『目指している生き様に反するからな』
『そうですか。いいですよ。私はリュウの精霊ですから』
恩師のお言葉に『普段一人でいても人に好かれる人間はかっこいい』がある。
普段一人でいるためには体の一部ともいえる仲間が擬人化をされると達成できない。
他人にとやかくいう必要は無いのでシュウの精霊がいくら何体、擬人化しても俺には関係ない。
「次はシーの番だな」
「痛くない様にお願いします」
「分かった」
痛覚を遮断する闇魔法《無痛》を使う。
更に【限界突破】を使う。
脳のリミッターが解除され情報処理能力が上がる。
塵の一つ一つがとてもゆっくり動いて見えた。
十分の一秒も掛けずにシーの指に針を刺した。
「血を出したから、目を開けていいぞ」
「え、いつの間に」
「早く紙に垂らせ」
「はい」
シーの血が紙に染み込んだ。
シュウの時みたいに光が吸収され始める。
いや、十倍は光が集まっている。
「目を伏せろ!」
今回は余裕をもって言ったので俺も目を隠した。
シュウはヴェリトラに胸で守られている。こんな所でそんな事をするとは。
さっきよりも暴力いや殺しに来ている光が部屋を支配した。
数秒経った後に光が収まる。
魔法陣の書いてある紙からビー玉サイズの球が一万以上は出現し始めた。
最後に二人の男が跪いた状態で出てきた。
高身長で片方は青色の髪で黒い執事服。
もう片方は水色の髪をしている白い執事服を着ている。
元から人の状態で出て来るとは前例を知っていないとただの変な奴だ。
「主様の召喚に応じはせ参じました。水の精霊王です」
「同じく、氷の精霊王です」
二人が顔を上げると案の定イケメンだった。
別に他人がどこで何をしようと俺の知った事ではない。
「名前は?」
「失礼ながら、まだ名を持ち合わせておりません」
さあ、命名だ。
シーは俺よりネーミングセンスはあるのだろうか?
「青髪の水の精霊王はティマトア。氷の精霊王はブルヘイムでどうでしょう」
「「ありがたき幸せ」」
ティマトアとブルヘイム。
どうしたら、そんなにかっこいい名前を付けれるんだ?
「早速、命令を下します。あの男に少し傷をつけてきて」
!?。俺の方を指さして言っている。
なんか、シーに対して酷い事したか?




