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四九話 侵略の可能性

 森の中に着いた。透明な龍から飛び降る。


「久しぶりの帰宅だな」

「そうですね。またメイドとして働きます」

「無理はするなよ」


 ユミナが緩い金髪を揺らしながら、笑っている。

 仕事に生きがいを感じている人はすごいな。


 のんびり森を歩いていると実家である屋敷に着いた。


「あれ、今日は訓練をする日のはずなのに」


 三日に一度の模擬試合をやる日なのに、剣がぶつかり合う音がしない。

 少し、疑問を抱きつつも扉を開けた。


 殺気と共に急に剣が飛んできた。


 アイテムボックスから剣を出し、ガードをする。

 瞬間、剣が()()()


 強化をしていなかったとはいえ、鉄の剣が真っ二つになるとは。

 相手の剣の威力は落ちてるが、このままだと切られる。


 右腕を《身体強化》で馬鹿みたいに強くする。

 更に、魔力を腕の周りの魔力を出し鎧をイメージする。《魔鎧》という防御用の魔法を使う。


 剣を人差し指と中指で挟み()()


「いきなり、息子を殺す気で切りにかかるとはお父様。どうしましたか?」

「なんだ。リュウか」


 俺を切りつけてきたのは親であるロイだった。


「悲しいですね。私は殺されかけたのに謝罪も無いとは」

「悪かったリュウ。事情については後で話す。ついて来てくれ」


 訓練の成果を見るために襲ってきたと思っていたが、違う理由があるのか。


 ロイのの後ろを歩く。


「リュウ。また腕を上げたな。この剣はミスリルで出来ているのに素手で折るとはな」


 ミスリル。この世界では三番目ぐらいには固い鉱石だ。


「レベルを上げましたからね」


 現在の俺のレベルは五二。平均ステータスは知らないが、相当強いはずだ。


「じゃあ。この部屋に入ってくれ」


 大食堂の扉が開く。


 この家には食堂は二つある。

 一つはいつも使っている小さい食堂と大きなパーティー用のこの大食堂。


 部屋の中を見ると、家のメイドなど使用人や俺の家族が全員いた。


 不安そうな顔から察するには楽しいことでは無いらしい。

 考えても分からないので聞くか。


「何があったんです?」

「リュウが居ない間にゴブリンの大群の襲撃を受けた」


 ああ、あの話か。

 シュウが変なモンスターに殺されかけていた。


「襲撃は分かりました。しかし、これと何の関係が?」


 モンスターが襲ってくることは別段不思議な事ではないはずだ。


「あまりの数。謎の統率、何かが操っていた可能性が高い。多分、ソーネット帝国が差し向けたのだろう」

「ソーネット帝国」


 勿論、帝国の事は知っている。


 この屋敷は王都から西の森に建っている。

 更に西に進むとソーネット帝国という現在は停戦中の国がある。


 剣聖は今の世界では一、二を争うほどの力を持っている。

 その力を使い、けん制役として、ここに住んでいる。


 正直、お国の為にいつでも死ぬ覚悟を持てよと言われているようなものだ。


「面倒臭い事になりそうですね」

「リュウにも防衛を頼みたい」

「いつまでですか?」

「国の兵士が来るまでだ」


 使用人たちを観察する。

 【鑑定】のスキルレベルがあれば相手のステータスを見れるが、普通に観察した方が経験も知れるので役に立つ。


 ……こいつら、守る必要あるのか?


 別にスパイやクズがいたとかでは無い。

 使用人一人ひとりが強い。


 剣やら槍を背中に隠している奴や魔力が多い奴がゴロゴロいる。

 金属バットや鞭などの変則的な武器を持っている奴もいるな。


 体の軸もぶれていない。相当訓練をしたんだろう。


「私は家の周りを索敵します」

「頼んだ」


 通った道を引き返す。

 あの集団なら大抵の敵なら倒せる。それにユミナもいるしな。


 帰って来てから、すぐにこんな事をする羽目になるとは。


「《作成土兵(クリエイトゴーレム)》 収集ネズミ(スパイモルモット)


 今回作ったのは情報収集の能力を持っているただのネズミだ。

 まあ、百体ぐらい作る。


 ネズミはどこに居ても不思議ではない常識を生かし、スパイする。

 (ゴキブリ)先輩のバージョンを使ってもいいが、なんか嫌だ。


「さて、帝国は何を隠しているか楽しみだな」


 すでに命令は組み込んであるネズミが一斉に西に向かっていく。


「念のため張っておくか《結界》」


 屋敷を丸ごと包む結界を作る。


 ここまでの魔力消費はたったの百。まだまだ余裕だが—―。


 ――やる事が無い。


 それにしても、なかなか警備が来ないな。


「迷子になっているんだろうか? 《大地操作》」


 俺の立っていた地面が盛り上がり、高く昇って行く。


 かなり、速いペースで空へと向かっていく。元の世界にだと逆バンジー? の感覚だ。


 急に上昇を止める。

 慣性に従って俺の体は雲よりも高く飛んでいく。


 加速が止まり、一気に落下する。

 そして、土の柱の頂点に着地する。


「やべえ。これ楽しい」


 子供の脳みそを持っているせいか、こんなスリルがある物を楽しいと感じている。


 これを崩して、もう一度やろう……。

 いや、()()()()


 そもそも、アトラクションとは他人に提供されるから楽しいのだ。

 自分でやっても、そこまで楽しくない。


 空からの景色を見る。

 ユミナの背中から見た時とはまた違った感じがする。


 今、太陽は西に沈んでいる。その先には帝国。その反対にはアーツ王国がある。

 どちらも目視できないが、確かに存在する。


 動きながら見ると現実味があるが、止まった状態で見ると、まるでミニチュアの様な小さな()に見える。


 さて、いつ頃戻ろうか?



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