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三九話 試練と攻略

 竜人の里に来てから、一週間が経った。この一週間の間で、いろんな事があった。


 二日目には子供たちと仲良くなり、更にダンジョン[龍の巣]を発見し、情報も手に入れられた。

 三日目に仲良くなった子供の一人、ドクが【憤怒】を発動させて、対処をするためにダンジョンに転移した。更にダンジョンで初めて、宝箱を見つけた。

 四日目には道場に行き、不意打ちをしてくる奴を倒し、ドクを弟子にして、レイと共にグラウンドを作った。 


 後の三日間も、午前はダンジョン攻略。午後は子供たちと交流を深めたりして、何かしらしていた。


 結局、ゆっくり出来たのは初日位だ。


 お陰で、[龍の巣]は九層目まで進んだ。

 魔物が弱くなったのは五層までで、六層目から、格段に強くなった。


 六層目は固定砲台の様に火球を放ってくる竜だった。しかし、こいつはタメがかなり長かった。


 そして、七層目には四層目と見た目が同じ、竜だったが、切ったら、すぐ転がるという弱点が、無くなり、動きも突進だけでは無く。尻尾を使った攻撃も仕掛けて来た。


 八層目には五層目と同じ爪の生えた竜だった。一撃しか攻撃出来ない弱点がこいつも無くなって、横に振るのはもちろん、なんと、フェイントを織り交ぜた攻撃をしてきた。


 九層目は六層目みたいに火球を放って来たが、タメがほとんどなかった。

 確かに強くなったが、どの階層も俺に対応出来るレベルの強さだった。


 今日は[龍の巣]の十層目を進んでいる。まだ、魔物に出会っていないが、どんな奴だろうか? 

 都合のいいことに魔物が現れてくれた。


 見た目は四層からいた竜だが、雰囲気が違う。これこそ、本来の竜だ。


 竜は俺たちに気付いた瞬間。ものすごい勢いで、突進して来た。早い。四層目の奴は自転車なら、こいつは自動車のスピードがある。


 とりあえず、ユミナの前に出て、剣を構えた。相手が突っ込んでくるなら、カウンターを決めればいい。


 ぎりぎりまで、引き付けて躱し、竜を切った。そこまでは、良かったが、剣が抜けなくなった。どうやら、嵌められたみたいだ。

 尻尾を俺に向かって、振った。


 すぐさま、剣を離し、【アイテムボックス】の中に埋まっていた。昔、盗賊から、奪った斧を取り出し尻尾をめがけて振り下ろした。

 切断までは行かなかったが、尻尾に深い傷が出来ていた。

 

 竜が怯んだ一瞬を見て、剣を抜き、何回も竜を切った。切っている途中に竜が口を開き火を出そうとしていたが、出される前に倒した。


 いつも通り、地面に溶ける様に消えた後、鱗が十枚落ちていた。このダンジョンのドロップは鱗固定で階層分の枚数が出る。


 十層目の竜は相当強かった。次の階層はきっともっと強いドラゴン系の魔物が出てくる気がする。


 ――――――


 洞窟みたいな道を竜を倒しながら進み、ついに、目的地に着いた。しかし、階段は無く、大きな扉だけがある。


「この扉はダンジョンボスの部屋か?」

「はい。確かにそうみたいですね」


 確認を取り確信した。ここはダンジョンボスの前の扉だ。

 ダンジョンボスとはダンジョンにあるダンジョンコアを守る魔物の事である。


 すなわち、このダンジョンはこの階層で終わりという訳だ。残念ながら、次の階層が無い。


「今日、ダンジョンボスを倒そう」

「え、今日ですか?」


 別に今日、ダンジョンボスを倒す必要は無い。明日でも、明後日でもいい。


「明日は子供たちとここに潜る予定だからな。それに早く攻略しておきたい」

「私はリュウ様が良ければ、どちらでもいいのです」


 ここで、悩んでいても仕方ないので扉を開け、入った。


 扉の奥は部屋みたいに四角い空洞が広がっていた。異常に広い部屋だ。ざっと、縦横は一キロはありそうだ。高さは五十メートルはある。

 とりあえず、広い。


「ギュルオー!!!!」


 叫び声が聞こえた所を向いた。そこには、翼の生えた、竜。いや上位種である龍がいた。

 ダンジョンで発生している魔物は竜なのに、ダンジョンボスは龍なのか。


「ユミナ。今から【竜化】出来るか」

「できます。スキル発動【竜化】!」


 ユミナの体が、発光し形を変えながら、徐々に大きくなり、竜になった。


『完了しました』

「よし、乗らせてもらう」


 竜の背に乗ると、竜騎士になった気分になる。

 俺が、ユミナに乗った理由は一緒に龍を倒すことにある。


 このダンジョン[龍の巣]の攻略したときに手に入るスキルは【龍化】だと言われている。もし、俺のみの力で攻略して、ユミナが【龍化】を入手しても、実力が伴っているか分からない。

 しかし、一人で戦わせると今度は俺が楽しくない。


 なので、この竜騎士みたいな体制をとった。これなら、俺とユミナ二人で戦える。


「俺の事はいないと思って動いて、いいぞ」

『分かりました。全力であの龍を倒します』


 俺は、これまた盗賊から、奪った槍を構えた。


 龍対竜。普通なら、見るまでも無い戦いだが、竜の上に、俺が乗っていれば話は別だ。魔法による援護と槍による追加攻撃が可能になっている。

 さあ、楽しい戦闘の始まりだ。


 ――――――


 ユミナが龍に突撃を仕掛けた。それに対して、龍が息を吸うモーションをした。これはブレスを放つ前振りだ。

 龍は、広範囲へ火を噴いた。


「《水膜ウオーターカバー》ユミナ突っ込め!」


 この魔法は対象に水の膜を張る。名前そのままの魔法だ。しかし、意外とすごい魔法だ。

 龍が出したブレスを物ともしない様に、ユミナは進んだ。


 ユミナが横回転をしながら、龍に接近し、当たった。このままだと、ただの体当たりで終わりだが、俺を忘れたら、困る。

 龍に近づいたときに、何回も槍で突いた。


 しばらくはユミナが龍に突進を繰り返す作業が続いた。

 十回体当たりをしたら、龍の方から、行動パターンを変えてきたが、ユミナは柔軟に対応した。


 近接戦を仕掛けられた時は離れて、ブレスを放ち、龍が同じ事をしようとしたら、妨害をする。

 敵の土俵で戦う必要はない。これは試合では無く。生死を掛けた戦いなのだから。


 俺の支援もあったお陰で、龍を後一歩の所まで追い詰めた。

 しかし、ユミナの方もそろそろ体力の限界みたいだ。


「俺は降りるから、この戦いは試験みたいなものだから」


 流石に最後まで、俺が手を貸すと【龍化】を手に入れるための試練にならない。

 この龍はそこそこ強いが、本当の龍はもっと強い。


 ここからは俺の予想になるが、このダンジョンは【龍化】を手に入れるための試練みたいなものなのだろう。勝手な予想だがな。

 ダンジョンがどうやって、作られているかは知らないが、今、考えても仕方ないな。


 最後の瀕死の状態の龍を疲れ切った状態で倒せれば、いい気がする。


 この後の戦いは、見ていて楽しかった。体の大きなドラゴン系同士の激しい戦いはお金を取れるレベルの面白さと迫力があった。


 激しい乱戦の末、最後に勝ったのはユミナだった。しかし、圧勝とは言わず、体から、大量に血が出ており、瀕死の状態だった。

 勝ちは確実になったので、魔法を使って、ユミナを回復させた。


 ユミナの体が光り、人の姿に戻った。


「何とか、勝てました」

「お疲れ。よし、ダンジョンコアの所に行こう」

「はい」


 ダンジョンボスを倒したら、戦った部屋の何処かに階段が現れているはずだ。

 部屋が広いせいで、面倒臭かったが、発見出来た。


 階段を降りると、今度は小さい部屋の真ん中に豆電球みたいな光を出している球が浮いている。


「ダンジョンコアですね」

「とりあえず、触ってみようか」

 

 俺にスキルを入手する資格は無いので、ユミナに先に触れさせた。


「なんのスキルを習得した?」

「りゅ【龍化】……です」


 嬉しそうな仕草をした。

 予想通りのスキルだが、実際に習得すると、相当嬉しいのだろう。


 これで、今日のダンジョン探索は終わりだ。クウに頼んで、家に戻った。

 ユミナは疲れていて、寝てしまった。


 ダンジョンの探索(、、)は終わりだが、今から、龍をソロで倒して、俺もスキルを手に入れてこよう。


 また、クウに頼んで、[龍の巣]十層目のダンジョンボスのいる扉の前まで転移した。



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