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三話 専属メイド

 転生してから大体三か月が経った。


 一日の内に何回も気絶をしていると日にちの感覚がおかしくなるな。


 今日まで、《身体強化》発動させ魔力を使い果たし、そして【魔呼吸】で過剰回復の痛みによる泣きを繰り返してきた。


 あと、何回も授乳があったが全てで意識を失っている。

 勝手にやってくれるのは意外に助かった。


 実の親を変な目で見たくない。


 今、俺は新しい修行に入ろうとしている。

 体外に出す魔法の訓練だ。


 魔法には、《身体強化》のような体内で発動するものや、火の球を出す《火球》や水の矢を出す《水矢ウォータアロー》等の体外で発動する魔法がある。


 今までは体を強くするためにも《身体強化》を使っているが、そろそろ、体外に出す魔法をやってもいい時期だろう。


 でも、流石に火を出すのは危ないし他の人に魔法を使っていることを知られたくない。

 ここは一番誤魔化しが利く水を出す魔法にしよう。


 体の外に魔力を放出する。

 そして、その出した魔力が水になることをイメージ。

 

 一応、イメージを補足をするために詠唱をした。


「ぶびべーとぼーた」


 クリエイトウォーターと言おうとしたが駄目だった。しかし、魔法は発動した。


 俺の下半身あたりが冷たくなる。

 今の魔法は《クリエイトウォーター》という生活魔法の一つ。

 

 効果は少し水を出す魔法だ。


 魔法には階級がある。

 俺が()()()()()()は五段階ありまあ、とこんな感じだ。



 初級――簡単な魔法、《火球》や《水球》などがある。《生活魔法》もこれに分類される。


 中級――少し難しいが普通、学校に行っている人なら大抵が使える。《火槍ファイヤーランス》や《水槍ウォータランス》や《雷撃ライトニング》などがある。


 上級――宮廷魔術師レベル。《大爆発》や《高圧水流(ウォーターカッタ―)》などがあり、使える人が限られてくる。


 最上級――当時は俺や賢者マーティンや魔族の数人が使えていた。村一つを消し去るレベル。


 神級――もし、発動させたかったら、当時なら、俺、賢者、魔王が手を組んでやっと発動が出来るレベルで国が地図から抹消することが出来る。



 この五段階だ。

 ちなみに学校は元の世界と同じで義務教育制になっていた。


 なので、盗賊以外は大抵の人が中級まで使える。


 自衛ができる商人はかっこいいと勇者だった時は思った。

 

 いろいろ考えていると、授乳の時間が近づいた事を(腹時計)が知らせる。

 ドアが開く。母親のクレアと父親のロイが入ってきた。


「そろそろ、貴族の奴らにはうんざりだ」

「そうわね、なんでみんな生まれたばかりのリュウ君に求婚するのかしらね」


 この三か月間、親の会話を聞いていると今の俺の地位や国についてある程度だが分かった。


 まず、この家は公爵家らしく階級的には王の次らしい。

 だから、さっきの話に出てきた俺への求婚がたくさんある。


 しかし、二人はそんなことを知らずに。


「貴族ってそんなに赤ん坊が好きなのか」

「さあ、私には分かりませんね」


 この有様だ。なんで、そんな結論に至った? 

 玉の輿狙いとか考えるだろう。


 貴族についてそんなに知識がない俺の考えの方が普通だ。


 少し親の弁護をするとこの家は一代目だ。

 つまり、今現在。変な考え方をしている、ロイ。いや、ロイ・ローゼンが初代当主ということだ。


 ローゼンという名前を聞いた時に一瞬、違和感を覚えた。


 かつて、魔王討伐の時に俺と共に戦ってくれた仲間の一人。

 剣聖ガイゼル・ローゼン。あいつの名前と同じだ。

 

 どうやって、一代で公爵まで成り上がったかはまだ分からない。


 でも、ロイがこの時代では剣聖と呼ばれ、世界で一、二を争うレベルということは知っている。

 

 この情報は授乳が終わった時に『いっぱい飲んでパパみたいに強くなってね』と毎回言ってくるのでその時に理解した。


 俺が生まれた国は〈アーツ王国〉という国だ。

 なんと、一回だけだが、国王が俺を見に来た。


 でっぷり太った豚のような男ではなく。

 服の上でも筋肉がかなりあることが分かるレベルの男だった。


 勝手な偏見だが、きっといい奴なんだろう。

 

 最初は、は? なんで王が来るの? と思ったが会話から見るにロイと王は冒険者というものをやっており、お互いが良きライバルでとても仲がいいらしい。


 初め冒険者ってなんだ? と疑問に感じた。


 俺が勇者だった時にはなかった職業だ。

 悩んでいるとクレアが教えてくれた。


「リュウ君。冒険者というのは魔物の相手をする仕事でね。〈ダンジョン〉を攻略する人たちよ。命の危険があるからリュウ君にはなって欲しくないな」


 ダンジョンと言う単語が出てきたが今の持ってる知識にはない。

 勘だが冒険者と言う職業は俺に合っている気がする。


 もう、()()()()()()()()()のは精神的に厳しい。

 

 授乳が終わったらしい。

 毎回意識がないうちに終わってしまう。今日はロイまで来ているな。


「今日は、あまり飲みませんでしたね」

「そろそろお粥を食べさせようか。あと、クレアも仕事があるからリュウの専属メイドが必要だよな」


 部屋のドアが開き白いメイド服姿の金髪の少女が入ってきた。


「今日からこの子がリュウの専属メイドだ。自己紹介をしてね」

「はい、私は今日からリュウ様のお世話をする専属メイドになりました。ユミナです」


 ユミナがクレアに頭を下げた。

 よし! 美少女だ。個人的にうれしい。

 

「私にではなくリュウ君に挨拶しなさい」

「はい」


 ユミナが俺にお辞儀をしてきた。そして、寝ている俺を覗き込むように覗いて来た。高校生ぐらいだろうか? 胸は服の上から見てもあまり無い。


 しかし、俺は女性を胸で見ないタイプだ。


「あー」


 一応、返事をしておく。この3か月で俺は、ばびぶべぼ以外に『あー』と『うー』を言えるようになった。


 新しい専属メイドとの挨拶? も終わり、俺の両親が出て行った。


「それでは、リュウ様。私は部屋で待機をしております」

「あー」


 ユミナが部屋の中にあるイスに座る。


 え、ずっとこの部屋にいるの? 

 マジかこれでは魔法を使ったらばれてしまう。


 せっかくの強くなれる時期に強くなれない。


 どうしよう。


 ……よし、こうなったら、少しずつ魔法を使ってばれないようにしよう。

 だが、基準が分からない。


 ユミナがもし、魔法に精通していたらほんの少しの魔力でも感知される。


 こうなったら、今回の訓練はユミナの【魔力感知】のスキルの精度を調べよう。

 【魔力感知】とは名前の通りで魔法を使うために必要な魔力を感知する事が出来るスキルだ。

 

 俺の魔力を少し背中から出してみる。魔力は手だけではなく体の意識したところから出すことが出来る。もちろん。出しやすさが人によって違う。俺は手から出すのが一番楽だ。


 今、少し出しているがユミナ気にしていないのか反応をしない。ここは一気に二倍に増やそう。

 感知出来る上限を知るためだから多少は無茶をしてもいいだろう。


 流石に気づいたかな。

 そう思いユミナを見た。しかし、俺に反してユミナは反応一切していない。


 なんで、これでも気づかないのか? 

 【魔力感知】を習得することが出来ない人は少なからずいる。


 多分、ユミナは【魔力感知】を習得してないのだろう。

 

 よし、これで魔法の訓練は自由にできる。

 考えながら、俺は魔力が尽き意識を失った。



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