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side 堕天使 傲慢 一

視点が違います。でも、読まないとリュウパートで理解が厳しくなるかもしれません。


 この世界には天使や神が住んでいる()()と悪魔や邪神が住んでいる()()がある。


 双方、基本的には地上に不干渉を貫いていた。つい、五十年前までは。


 始まりは何処かの神が信仰を高くするために別の世界から、死んだはずの魂を連れて来たのが事だ。


 別に魂を連れて来ること自体は問題では無かった。

 異世界の勇者とかもほどんどの神が承認して、持ってきている訳だし。


 なら、何が問題だったか? 簡単だ。神の目的が上手くいきすぎたんだ。


 とある神から力を分けて貰った転生者はどんどん強くなった。そして、国を作り、神に感謝をして、布教に努めた。


 そこからは、大乱戦だ。


 創造神クラスやその側近レベルの神は信仰なんてなくとも強いらしいが、大体の神はそうではない。


 信仰の数や思いの強さによって、格が決まる。


 まあ、言わずもがな他の神も転生者を手に入れようと天使に魂を持って来いと命令した。


 力を与える奴もいれば、他の神の名前を勝手に使って、復讐をさせる奴まで、いろいろ出て来た。

 勿論こんなことをすれば、抗議の声を上げる奴(神)もいる。


 別世界の神だ。数十年に一回位の魂の移動は気にしていなかったが、異常だったんだろうな。


 神がそんなことをやっている時、俺は世界の狭間で怪しい行動をしていた天使を殺していた。

 別世界の奴と言っても、強い奴と面白い奴以外は来て欲しくない。


 天界でも大好評だった最強の勇者ぐらいだ、俺を楽しませ、認めたのは。

 ただの天使なんて、俺にとってはただのザコに等しい。


 ある日、転生者を探す天使をまた殺した。神はよくも、飽きずに天使を送り込むもんだ。

 別世界の神が送り付けてきた、誰が転生したか分かるリストを久しぶりに見た。


 今年、転生したのは三人。


 名前を見ても、俺には興味が無いので、年齢や備考の欄を見る。


 〈二五歳 男性  生前は非常に怠けており、転生しても何も出来ないだろう〉

 〈三十歳 女性  死ぬのを恐れ、転生を受け入れた。特に大きな欲望は無いと思われる〉

 〈十四歳 男性  ハーレムを作りたい少年。大きな事件は起こさないはず〉


 こんな感じに書かれている。まあ雑だ。今回は面白そうなやつはいないな。


 正直、俺は仕事をするが面白そうなこと以外には手を出す気はない。

 そもそも、神を含めて、下界に直接、手を出すことは禁止ダブーになっている。


 ――――――


 また、一年が過ぎた。俺は相変わらず、天使を殺していたが、最近、悪魔も見かける様になった。


 俺の仕事は天使を殺す事なので、悪魔は面白そうな奴以外は無視をしている。


 久しぶりに取り逃した転生者のリストを見た。今年は二人だ。


 〈五分 ???  ???????????????????〉


 変な表示になりやがった。とうとう、壊れたかと思ったが、次の表示を見て、納得した。


 〈この魂の情報は創造神クラスによって隠蔽されています〉


 しょうがない。流石の俺でも創造神クラスには何も出来ない。

 諦めよう。次の奴だ。


 〈二百歳 男性  〈クレスタニア〉から神の手を借りずに別世界に転生。時間軸を弄った〉


 面白そうな奴が居たもんだ。自力で別世界に行くなんて、とても正気では無い。

 でも、嫌いじゃない。


 〈クレスタニア〉の天使ザコ殺しの仕事がなければ、すぐに追いかけたのにな。

 変な表示がされた奴の隠蔽が解けるのを気長にのんびり、待つか。


 ――――――


 あの、創造神クラスの隠蔽があって、六年が経った。

 天使ザコが来る頻度が少なくなって来たが、その代わりに、悪魔の数が増えた。


 面白い奴が何匹かいたが、そいつら以外はどうでもいいようなザコだった。


 いつもの様に隠蔽されていた奴のデータを見た。


 〈五分 男性  勇者としての仕事を遂行し、元の世界に戻った瞬間、死んだ。己の強さを手に入れるために神の力を受け取っていない。この人間に手を出すことは、最高位の創造神プラハスに喧嘩を売るのも同然〉


 やっと、分かったと思ったら、なんだ、この化け物は、創造神が関わっているのは分かっていたが、まさか、創造神のトップ級が関わっているなんてな。

 

 こいつ神の力を受け取っていないのか。面白そうな奴だ。

 しかし、手を出したら、俺であっても大変なことになりそうだ。


 ……なに迷ってんだよ。俺。こんな玩具、そうそうないぞ。


 結論は出た。この男に力を与えよう。何が己の力だ。いつの勇者か知らないが、あいつらは他者(神)の力を貰わないと成立しないこと六年間で思い知っているだろう。


 絶対に俺の物にしてやる。元勇者。


 やることが決まったら、あとは早かった。目的の転生者を探して、力を与えるために神になる。


 二か月ほどで、目的の転生者を見つけた。

 そして、クソ上司だった神を罠に嵌め殺し、神になった。


 神となって気付いた。下界に降りるためには結界を通る必要がある事を。

 今の俺には絶対に壊せない。少しの穴すら開けられない。


 神の力を増幅させるには信仰が必要だが、それじゃあ、時間が掛りすぎる。


 考えて、一つの答えに行きついた。それは、俺の実体が下界に行くのでは無く。

 精神体を下界に送る方法だ。これなら、あまり力を出さなくてもいい。


 精神体は物体に干渉出来ないが、相手を少しだけ支配することが出来る。俺の力なら、精々、夢に出る事とちょっとした思考の誘導しかする事は出来ないがそれでもいいだろう。


 精神体を送り込もうにも、ここは神界だ。俺が殺した神の仲間に敵討ちをされる可能性もある。


 念のため、魔界に逃げよう。ちょっかいを出して、仲良くなった悪魔もいるし、大丈夫だろう。


 ()()()()使()の俺は神を裏切り、堕天した。



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