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三四話 スキル

 今、俺はドクとダンジョンを探索している。


 推定[龍の巣]四層目で四足歩行の竜? が出る階層だ。

 何故、疑問系が付くかというと、この魔物は知っている竜とは違い、軟弱なのだ。


 丁度。新しい奴が現れた。俺たちを見つけた途端に突進を仕掛けて来た。

 そこまで、素早くはない。例えるなら、中学生が普通の自転車を全力こいだ程の速さしかない。


 躱してもいいが、さっさと仕留める。

 剣を出して、念のため《身体能力強化》を使う。


 俺は竜が剣の届く範囲に入ったと同時に突進が当たらないように移動した。

 そして、剣を竜が通る所に置いた(、、、)


 勝手に切られに行ってくれるので、俺はただ、剣を持っているだけでいい。時々、剣が離れそうになるが、強化した握力で耐える。


 通り過ぎた。鱗が固いせいで、深くまで切れなかった。しかし、この魔物ザコにはこの程度の傷でいい。


「グギャー!」


 竜が叫び転がり始めた。


 この魔物はちょっとした傷で、こんな感じになる。

 一応、強いと言われるドラゴン系の魔物だからもっと我慢を覚えて欲しい。楽しくない。


「こいつは私が仕留めるね」


 ドクが転がる魔物に近づいた。それに合わせて俺は魔物から離れ自分の周りに《結界》を張った。


 だんだん魔物の転がりが遅くなり、動かなくなった。


「お休み」


 竜は地面に溶ける様に消えていった。


「そろそろ、毒は無いから、近づいていいよ」

「分かった」


 ドクの周りには毒が発生している。ドクも俺に届かないように調節してくれているだろうが、念のため、対策をしている。


「【憤怒レージ】の調子はどう?」

「大丈夫だよ。でも、少し興奮してきたから、もしもの時は頼むよ」


 ダンジョンを探索する前に、ドクにスキルについて聞いてみた。


 ――――――


「その【憤怒レージ】ってスキルは発動を宣言しなくても発動するのか?」

「そうみたい。常に発動するタイプみたい」


 一つの疑問が俺の中で解決した。


 今の時代はスキルは発動宣言をしないと、効果が無いと思っていた。しかし、模擬戦の時【剣術】のスキルを剣聖であるロイが宣言していない。


 息子だから、舐めているかと思っていたがそうではないらしい。


 ()()()()()()()()()のスキルと()()()()()()()()スキル。


 何故、そんな区別が出来たのかは分からないが、今はそんなものだと、納得しておこう。


「それで、みんなとダンジョンに行けなかったの?」

「そうだよ。前にみんなとダンジョンに行ったときに……」


 ドクから一年前に起こったことを聞いた。


 俺なりに要約すると、五人でダンジョンに行ったときに、友達を魔物にやられかけた時に【憤怒レージ】が発動したらしい。

 そこからは、敵味方関わらず、毒をまき散らして、大変なことになったらしい。


「だから、今日トシ達とダンジョンに行けなかったのか?」

「あの時が本当にやばかったし、今でもトラウマだからね」


 トラウマと言ったら、俺の毛虫嫌いと同じ感じだと思った。どうにかして、克服さしてあげたい。自分勝手な考えな気もするが、ここはやりたいことをやらせて貰う。


「ならさ、この探索で毒を自由に使うといいよ」

「え! そんなことをしたら、また」

「大丈夫。僕には【毒耐性】があるから」


 ステータスカードを確認した。


 スキルの欄を見ると、新たに 【毒耐性】一 が表示されていた。


 勇者だった時に、新しくスキルを取得した時の感覚を覚えたので、プレートを確認しなくても大体分かる。なので、発言をした後に、確認をしたのだ。


「【毒耐性】やっぱり持っていたんだ。なら、大丈夫だね」

「まだ、スキルレベルが低いから、少し離れるけどね」

「いいよ。それでも、一緒に探索出来るから」


 こんな感じでドクと探索を始めた。


 ――――――


 そして、今に至る。


 俺が、魔物に傷をつけて、ドクが止めを刺す。

 この世界のレベルを上げるための経験値は止めを刺した奴の方が多く入手できる。


 止めを俺が刺さないのは、ドクのレベルを上げたいからだ。俺の勝手な考えだが、トラウマを持つ者同士、助け合いが大切だ。


 今度、毛虫が出たら、割と本気で助けて貰おうと心の中で決めている。

 

 この階層の魔物は少し切れば、勝手に転がるザコなので、俺にとって瀕死の状態にするのは楽な作業だ。


 もし、痛覚の無い魔物だったら、移動をするための部位を一々破壊しないといけないし、再生能力があったら、更に面倒臭くなる。


 レベル上げをさせる理由は俺の良心と楽さが丁度マッチングしていたからだ。


 この探索で毒のトラウマが少しでも薄れて欲しい。俺はそう思いながら、広い通路を警戒しながら、歩いた。


 

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