事に始まり?
天使の証言
時と場所は変わり此処はことの始まるちょっと前。いや、前回がちょっと前だからちょっとちょっと前でしょうか?まぁどっちでも変わりはありません。前回話した通り、彼女の家の前ではひっそり事件が起きていました。
事件というには、いささか事が小さすぎる気もしますし、何よりあの寒空の中マフラーも手袋も無い女の子を見て不審者扱いするといのは如何なものでしょうか。私は被害者なのです!そう声を大にして言いたいものです。
さて紹介が遅れました。
彼女の家の前で行き倒れていた女の子こと私(私は被害者なのです!)は、天使をやっております。
読者諸君は天使とは些か急すぎやしないか。なぜ天使が12月の寒空の中生き倒れているのか。そもそもこれはどんな話なのだと色々思うところはありましょう。
一言で申し上げます。分かりませぬ。
私も所詮はインクの中の一滴。この先何があるのか。何があったのか。何なのか。まったくの無知の状態なのです。
むしろ作者もわかっていない状態なのです。
このボンクラの介は何もわからず書いているのです。何と無責任!何と愚か!◯ね!◯◯◯!
またもや話が逸れてしまいました。
作者への罵倒はこの辺にしておきましょう。
そして、読者諸君はそろそろこの徒然とした独白に飽き飽きしてきたところでしょうから、私が彼女の家の前で生き倒れていた経緯を少しお話しすることにします。
事は、彼女がコンビニでプリンなどを買っている頃でありました。
私の仕事は、パトロールを主にしております。
パトロールとは言えど、青い制服の兄様方がやっているものとは少し違い、基本一つの街につき一人、休憩も交代も無しの超絶ブラック業なのです。
その日は特に変わった1日ではありませんでしたが、よく行く喫茶店のお喋りオーナーに捕まってしまった不遇な日でした。
いざ外に出た時には既に日も落ち、街中のイルミネーション達が、「眩しい」と思わず呟いてしまうほどに、煌々とはしゃぎあっていました。
私はイルミネーション達の営みを尻目に、パトロールの続きを再開しました。
駅の方へ行こうか商店街の方へ行こうか迷っているうちに、腹の虫がうごうごと疼き始めたのに気づき、コンビニへ行こうと意を決して歩き始めました。
途中何度か豪華絢爛なホールケーキなどに目を奪われましたが、グッと堪え、コンビニに急ぎました。
私には食わねばならぬものがあるのです。
そして数多の誘惑に打ち勝ち、やっとの思いで到着し、ワクワク気分でお財布を開けた時です。
「......にじゅう....に....22円?しかない?」
......なんということでしょうか。
お財布には20円玉が2枚と1円玉が2枚、そして数枚のレシートが寂しげに転がっているだけでした。
これでは私の求めている至高のお菓子、カスタードプリン様どころか駄菓子すらろくに買えないのです。
絶望に袋叩きにされた私は、天使とはとても思えぬ程の顔でチロルチョコを一つレジに持っていき、コンビニの外で、少しずつ少しずつ食べるしかありませんでした。
不遇に不遇が重なり、結果的にシロナガスクジラを丸呑みに出来ようかと思うほどの空腹感に苛まれる羽目になった私は、歩いて家に帰る気力すらなく、仕方がないのでふわりふわりと浮きながら、風に任せて夜空を漂っておりました。
しかし空腹というものは恐ろしいものであります。
10分程漂ったところで力尽き、近くにあったマンションへの墜落を禁じ得ませんでした。
私はその場で丸まり、ここで死ぬのか、死んだら保険は下りるのだろうか、そもそも天使は死ぬのだろうか?などと考えているうちに、睡魔に飲まれ空腹に敗れ、気を失ってしまいました。
お昼ご飯はおやつカルパスでした。