第六話 演習4~開始~
「出港!」
マグサの言葉に従い重巡洋艦浅間が動き出す。それに合わせるように浅間が所属する第56高速艦隊が一斉に動き出した。ドックを出ると同じように進む他の艦隊の姿がありここに居る艦艇だけで100を超える艦艇が集まっていた。その圧巻的な姿は艦橋にいる船員たちに驚きの感情を生み出させていた。
「これだけの艦艇が集まるというのは異様ですね」
「ああ、何かよくない事が起こるのかもな」
その一方で、マグサと副館長はこれだけの艦艇を前に不安な気持ちになっていた。終戦から約70年、これだけの艦艇を用いた演習は50年以来初の出来事であった。それもこれだけの数の艦艇を用いるという事はそれだけ宇宙連合皇国を刺激する事になるのではないか? その危険性が二人の中にあった。
「だが流石に政府もこれだけの数を用いる事を了承したんだ。きっと何か理由があるのだろうな」
「挑発や示威行為ですかね? ですがそれだと……」
「ああ、もしそうなら最悪だな」
宇宙戦争の再来、第二次宇宙戦争の勃発を予測し二人の頬に汗が流れる。しかし、そんな二人を演習は待ってくれない。無事に演習宙域に到達した第56高速艦隊は司令長官より演習内容を聞かされる。それはマグサがミラルドに前もって聞いていた内容と一緒であった。
『……以上である。我ら第56高速艦隊は先発隊としてこの宙域を突き進む事になった。決して油断はせぬように。諸君らの活躍を期待する』
この言葉を最後に司令長官からの一斉通信は切れ、演習が始まった。戦闘態勢のまま演習宙域を進んでいく。演習が始まったという事で浅間内の緊張感は一気に高まり、普段は緩い雰囲気が流れる艦内はピリッとした緊張感に包まれていた。
「……敵影はないか?」
「はい。レーダーに艦は今のところ……! 機影多数! 50、100、150……200! 数は200です! 正面!」
「先行する暁より通信! 敵機影を確認! 数は200、種類は航宙戦闘機と航宙攻撃機です!」
「対宙戦闘用意! 回避行動も忘れるな! くれぐれも味方同士でぶつかるような事にはなるなよ!」
「了解!」
機影の確認と共に一斉に慌ただしくなる艦内。戦闘機及び攻撃機に積まれている爆弾は演習用であり、表面の塗装を傷つける程度の威力しかない。しかし、一発当たれば中破、2発当たれば最悪撃沈と言う威力の爆弾を本来は積んでいる為2発当たれば撃沈となり演習から離脱をしないといけない。
そうならないためにも浅間含む第56高速艦隊は一斉に対宙戦闘を開始するのだった。




