第十二話 実戦1
「ハハハハハ! やはり脆いな! たった一撃で沈んだぞ!」
レリアス・リアッヘ級砲撃決戦艦を旗艦とする惑星連合皇国の強襲艦隊は演習が行われている第34人工大陸付近に強襲を仕掛けていた。彼らが独自に開発したワープ技術を用いたワープ強襲はまさに地球連合軍の虚を突く形となり、実際に砲撃を開始するまで一切悟らせることがなかった。
資源に乏しい皇国が来る宇宙戦争に勝利をつかむために技術を磨いてきた成果であり、停滞する地球連合を質で完全に圧倒していた。
「次に行くぞ。目標は敵機動艦隊! 最新鋭艦らしいが我らの敵ではあるまい」
「閣下。意見具申します」
強襲艦隊司令を務めるアウザー・ベリリス1等将軍は上機嫌に目標を指定するが彼が率いる参謀の一人が口をはさむ。
「敵は機動艦隊。であれば艦載機をかなりの数持っている事でしょう。どうでしょう? 敵の艦載機の性能を図る意味も兼ねてこちらも艦載機を出撃させてみては?」
「成程。陛下の御命令は地球連合軍の戦力調査だ。艦載機も調査するに越したことはない。何しろ敵の最新鋭艦に搭載されているのだ。旧型ではあるまいしな。よろしい! 全艦艇に通達! 搭載機している要撃機を全機出撃させよ! 半分は先行攻撃、半分は艦隊の護衛だ! 急げ!」
「モア・ハイス!」
参謀の意見を聞き、即座に要撃機の発進が決定された。結果、旗艦を筆頭に、各艦艇に4機ずつ搭載された機体とバース・フェリト級1等航空母艦に搭載された150機の艦載機、計300機を超える要撃機が飛びあがった。そのうち、150機近くが未だ混乱する第6航空艦隊に向けてその牙を向けるのだった。