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装備選びは慎重に

レア、ベリー、ボクの三人はパーティーを組んだ。


これでボクも立派な冒険者になったわけだが、まずはやらないといけないことがある。


「レア、この格好をやめたいな」ボクは自身の体を指さしながら言った。


今のボクの格好はなんかすごい野蛮、とにかく野蛮に見えるわけ。 そんな装備を女の子のボクがしたいわけないというか。 まあ、わかるだろう。


「えっ、変えたいのか? 勇ましくてまさしくニーナにお似合いだと思うのだが?」勇ましい、確かに彼女

たちからしたらそうだろう。 ボクは彼女たちの前でミノタウロスをいともたやすく倒したのだから。 でも、今はそんな力なく、普通のモンスターにも負けそうなほど貧弱な気がしている。


「レア、あの時は仕方なくこの格好をしていただけだから。 だって、ニーナが現れた時結構可愛い恰好していたでしょ。 まるで魔術学校の生徒みたいな」ベリーがボクのファッションについてフォローを入れてくれる。 ベリーはボクをみて親指を立てていた。 かわいらしい彼女の助け舟のようだ。


「それもそうだな。 確かにニーナはそんな恰好をして現れたのを忘れていた。 じゃあ、装備を買いに行くことにしようか」レアは同意したように装備の店へと向かう。


「そういえば二人ともミノタウロスの素材は売らないの?」ボクは思い出したように質問をする。 前回倒したミノタウロスの換金をしていないということを今になって思い出したのだ。


「それについては、大丈夫なの。 道具屋は道具の換金、装備の販売まで手広くやっているからね」ベリーはボクに笑いかける。

「なるほど、換金した金額をすぐに使わせるために、同じ場所で商売をしてるんだね」


「まあ、そうかもしれないが、私たちのような冒険者には便利なところだ」苦笑いを浮かべながらレアはボクに言い放った。



数分後、目の前に道具店が見える。 名前はバリ・ユー道具店。 きっと店主の名前をそのまま付けたようなありきたりの名前だろう。 


店の外観は雑多に物が置いてあり、お世辞にもきれいとは言えない。 人の数もまばらで、本当に儲かっているのかわからないほどである。


そんな店に、とりあえずボクたちは入っていく。 するとすぐに、人懐っこい感じの店員が話しかけてきた。


「今日はどうしましたか? レアさん」人懐っこい顔がかわいらしいメイド服の少女だ。

ボクはつい咄嗟に抱き着きたくなる衝動が出てきたが、死んだときに会った少女のことを思い出し、思いとどまった。


「換金と装備の見繕いをしてほしんだ」手慣れた感じで交渉を開始するレア。


「なるほど、わかりました。 ちょっと待ってくださいね」メイドさんは店の奥へと姿を消していった。


そして、数分後、「準備が整いました。 店の奥まで来てください」かわいらしい声が聞こえてくる。


ボクたちは直ぐに奥へと向かいミノタウロスから剥ぎ取った素材を並べた。


「ミノタウロスの素材ですか。 なかなかすごいもの倒しましたね」感心してレアを見つめるメイドさん。


「ミノタウロスを倒したのは私ではないんだ。 こちらにいる彼女、ニーナが倒してくれたんだ」メイドさんにボクの紹介をしてくれるレア。


ボクは、えっへんとした顔でメイドさんの前に立つ。


「へぇ、この方がミノタウロスを倒したのですか? すごいお方なのですね。 格好も普通とは違う感じがします。 っと、今は換金を依頼されてるんでした。 今から換金しますね」最初、驚愕の顔をしていたメイドさんだが、すぐに自分の仕事を思い出したように虫眼鏡でミノタウロスの素材を確認しだす。


「どれも、状態があまり良くないですね。 正直これだと大した額は見込めないかもしれません」少しがっかりしたような顔でレアの顔を見るメイドさん。


その言葉に噛みついたのはベリーだった。


「どんなに状態が良くないといっても、ミノタウロスだよ。 それなりの値段にはなるでしょう?」メイドさんのまじまじと見ながら訴えるベリー。


「まあ、そうですけど。 とりあえず全部の換金が終わりましたよ。 総額で金貨五枚です」申し訳なさそうに金額を表示してくるメイドさん。 金貨五枚ってどんぐらいの価値があるんだろう?


「はあ!? 金貨五枚。 十枚の間違いでしょ?」ベリーは驚愕の顔でメイドさんに詰め寄る。 だが、メイドさんも譲らない「こんな状態の悪い奴ですと、どの店に行ってもこのぐらいですよ」メイドさんは少し困った顔をしながら説得をしてくる。


その光景を見ていたレアは二人の仲裁に入る。


「べりー、もうやめるんだ。 確かに今回のミノタウロスの素材は状態が悪いものが多い」少しがっかりした顔でレアはベリーを止める。


「でも……。 レア……。 わかったよ。 今回はこの金額でOKしてあげる」諦めたようにメイドさん交渉に応じるベリー。


メイドさんは安堵の表情を浮かべ「毎度どうもありがとうございます」笑顔で金貨が入った袋を渡してくる。 


メイドさんから袋を受け取ると、ベリーは中身を執拗に確認し「よし、五枚ちゃんと入っている。 はい」レアに手渡す。 受け取ったレアは袋のようなものに、金貨をしまった。 

 

ボクたちが装備のコーナーへと移動しようとするタイミングで「すみません、ちょっとそこの人待ってくれませんか?」とメイドさんが近寄ってくる。 なぜボクに? と思ったが、すぐにその理由を理解する。


「先ほどのミノタウロスの素材だと大した値段にならないのですが、今あなたが羽織っている毛皮はそれなりの値段になりますよ」メイドさんは虫眼鏡で、ボクが羽織っている毛皮を確認している。


ちょっと恥ずかしい気持ちになりながらメイドさんに「そうなの? いくらぐらい?」と確認をしたところ、「大体、金貨三枚ぐらいです」金貨三枚ってどれぐらいだろう? 


よくわからないけど、今はお金ほしいし、ボクは即断する。


「じゃあ、いいよこれも買い取ってよ」ボクは後先考えずにメイドさんに毛皮を買い取ってもらおうとする。 だが、その瞬間二人に「ちょっと待って」と止められる。


「へ? どうしたの? お金ほしいんでしょう」ボクは二人に詰め寄るが、なぜ止められたのか理解していない。


「ニーナわかっているのか? 毛皮を脱ぐということは……」レアは恥ずかしそうに下を向く。


「そうだよ、ニーナ。 裸になりたいの?」ベリーはレアとは違い恥じらいなくボクに話す。


「ここで、装備買えば服になるしいいんじゃないの?」ボクはもっともらしいことを言い二人を説得する。


二人は本来の目的を忘れている。 今回の目的は素材の換金とボクの装備選びだ。 だからこの店で下着になろうが関係ないはず。


「じゃあ、ボクは試着室にこもるから、メイドさん、装備選びお願いね」ボクは笑顔でメイドさんに依頼をする。


メイドさんは笑顔でボクに「最高の装備を選びます……。 予算内で」変な期待を持たせないその姿勢ボクは好きだな。 と思いながら。 メイドさんに装備を見繕ってもらう。 


「この装備なんてどうですか?」メイドさんが持ってきた装備は胸当てにスカートと言うシンプルデザインの装備だった。 確かに最初はこんな感じでいいだろう。 ボクは深いことを考えずにこの装備にすることを決定した。 だが、この装備選びが次の戦闘で痛手になることを理解するのはもう少し後だった。

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