表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

反撃開始

腹が裂かれたミノタウロスが悲痛な叫びをあげている。

『ウォーウォーウォー……』

目の前には三人の少女。 一人は甲冑を脱ぎ、苦しそうにミノタウロスを見ている。 一人は、魔法装束を着た少女は、ミノタウロスの近くでボロボロになり見つめている。 そして、最後の一人は全裸でミノタウロスに鉈を向けミノタウロスに文句を言っていた。

「散々やってくれたみたいだね。 ミノタウロス、基本怒るなんてナンセンスとか思ってたけど、ボクの人生を壊した責任を取ってもらうよ」ブンブンと鉈を振っているましろ、彼女を見た人間は決してミノタウロスに勝てることがないと思うだろう。 だが、彼女には奇跡の力が宿っている。 今までの人間とは思えない力、身体能力、である。

「と、その前に君はベリーかな?」今激痛から動くことのできないミノタウロスを無視し、僕は、魔法装束を着た少女に話しかける。

「へっ、そ、そ、そうだけど」ベリーは僕を怯えてみている。 そりゃあそうだろう。 目の前にいるミノタウロスの体から出てきた血まみれ少女なんて。 まあ、今は、彼女の反応なんて関係ない。 ボクはミノタウロスと邪魔されない状況で戦いたいんだ。 彼女はきっと邪魔になる。 そう考えた。

「体の傷を見る限りあと一回ぐらいなら大丈夫かな?」ボクはベリーの体を隅々まで確認し自身が考えていることに耐えられるかを確認する。 医学の素人のボクではどう考えても役不足だが、たぶん大丈夫と結論づける。 そして、ベリーを担いだ。

「へっ、なにすんの?」ベリーは恐怖で体を震わしている。 だが、そんなことお構いなしにボクは飛び跳ねる。

「えぇぇぇぇぇぇぇっ!!」恐怖に震える少女は僕とともに天を飛んだ。 そして数分後、僕は着地し、ある少女の隣に横たえる。 空を飛んだベリーは白目をむき泡を吐いているが、まあ、大丈夫だろう。

ある少女は、ボクに謝罪をしてくる。

「貴君が悲鳴を上げているとき、私たちは逃げていた。 本当にすまない。 虫のいい話とは思うが、どうにかして、ベリーと貴君だけでも逃げてくれ」黒髪の少女は涙ながらにボクに訴えかけてくる。

「何か勘違いしているみたいだけど、ボクは君たちを見捨てないよ。 悲鳴の時助けてくれなかったのは仕方ないでしょ。 昔のボクなら文句も言ったかもしれないけど、今のボクは文句を言わないよ。 だって強くなったから」ボクはとりあえずかっこいいことを言ってみる。

「だ、だが、ミノタウロスは……」黒髪の少女は訴えかけてくる。

「ノン、ノン……。 今は僕を信じて」少女の言葉を止め、ボクは歩き出す。 ミノタウロスに向かって。

「あ、そうだ、ベリーちゃん名前は知っているんだけど君はなんていうの?」我ながら場違いな質問だ。

「レ、レアだ」黒髪の少女はレアと言うのかかわいい名前だ。 後で胸揉みまくろう。 ボクはそんなことを軽く考えながらミノタウロスの前につく。


「よぉ、ミノタウロス」腹がまだ痛むのかミノタウロスは苦悶の表情をするだけ。

「傷が痛むよね。 ボクも分かるよその気持ち。 だって、だってボク、お前に食われたからね」僕は鉈で一撃ミノタウロスの右腕を斬りつける。 サラァと血が流れ出る。 ミノタウロスは『ウォーン』と叫び声をあげる。 ボクはその光景が面白く感じている。 一方的な暴力はこんなに気持ちいとは知らなかった。 これじゃ、いじめる奴らの気持ちも少しわかるや。 とそんなことを考えているとミノタウロスの左腕を斬りつけていた。

「楽しいや、これは楽しいや。 さんざんボクに酷いことをした奴への復讐として最高だ」この時のボクの目はきっと怖かったと思う。 それぐらいこの状況を楽しんでいた。

何度も、何度も、何度も何度も繰り替えし、繰り返し、ボクはミノタウロスのいろいろな個所を斬りつけていった。 そして、いつの間にかミノタウロスは動かなくなった。

傷だらけでズタボロのミノタウロスを眺め僕は言った。

「あーあ、終わっちゃった。 あっけなかったね。 ミノタウロス」ボクは心底つまらなそうにミノタウロスを後にする。 

だが、次の瞬間。 ミノタウロスの大きな影がボクを覆い尽くしていた。 体中の傷は消えており、復活していた。 さっきミノタウロスは殺したはず。 なんで、こいつはまだ動いているんだ? ボクのそんな疑問に答えてくれる人は今いなく、ミノタウロスがボクを腕で薙ぎ払う。 

「ぐはぁっ」咄嗟に鉈でガードをしたが威力を消すことはできず、周囲の木に激突する。 その後、すぐに遠くに飛ばされたボク目がけてミノタウロスが飛躍する。 その腕には、さっきまで持っていなかった鉈がある。 ボクを真っ二つにするつもりか。

「させないよぉ」ボクは渾身の力で鉈を構えた。

そして、超跳躍をしたミノタウロスの鉈と、ボクの鉈が激突する。 周囲には衝撃はのようなものが発生し、草や木を揺らし、小石が吹っ飛んでいく。

「おー、すごいね」ボクは軽口をたたきながらミノタウロスに拍手を送る。

そのことを理解できずミノタウロスはこちらに威嚇のような声を上げる。

『ブォウォオオオ』

「はは、全然通じてないや」ボクはおかし気にその状況を笑う。

だが、ミノタウロスはその状況で怒りを増幅させたようにボクへ突進を仕掛けてくる。

ボクは突進を華麗にスルー……。

なんてしないで、ミノタウロスの二本の角を直接つかみ突進を防いだ。

ミノタウロスはその状況を予期していなかったみたいで、上下に頭を激しく振ろうとする。 だが、ボクは自身の力で無理やり動けないようにし徐々に、徐々にではあるが角を逆方向へと曲げ始める。

『ウォォォォォオオ』目の前で強烈な叫び声を聞きながらボクは角を二本とも折った。

ミノタウロスは頭を押さえ『ウォブォブォブォ』よくわからない叫びだがとにかく悲痛な叫びなんだろう。

ボクはミノタウロスの角を下に置き、もう一度鉈を構える。 ミノタウロスが叫んでいるうちに仕留めてしまおうと考えたからだ。 だが、そんなにうまくいくわけなく。ミノタウロスは鉈を振り回し始めた。 もちろん規則性などなく。 前を見ない状態で鉈を振り回しているようで、とにかく進行方向がめちゃくちゃ。 

「そんな動き方したって、ボクには当たらないよ」大声でミノタウロスを挑発するが、言葉は届かず、めちゃくちゃ。

「はぁ、めんどくさくなってきたな」だんだんこの状況にもボクは飽きていたのだが、ミノタウロスの進行方向をよく見るとびっくりした。

あれ? このままいくとレアちゃんとベリーちゃんが窮地なんじゃ? 進行方向は確かにめちゃくちゃだった。 だが、その中にもどっちよりに進むかと言うものはあったみたいで、瀕死の二人に向かっていることが分かった。

「そっちは行っちゃだめだよ」ボクはミノタウロスの足をめがけて鉈を投げつける。 もちろんクリーンヒット。 そして、ミノタウロスは倒れこむ。

「ウォオオオオオオオオ」またも悲痛な叫び、本日何度目だろうか?

さすがに、弱い者いじめも飽きてきたというか、さすがにかわいそうになってきたから、ミノタウロスを倒すことにした。 さっき何度も斬り付けて死ななかった理由はよくわからないが、ボクは生物が基本的に死ぬであろう行動をすることにした。

「散々暴れまわった報いだよ」ボクはミノタウロスの背中に乗り強靭な首目がけて鉈を振り下ろす。 死ぬ前のボクの力なら傷もつけられなかっただろうが、人間をやめたぼくならこんなこと余裕だった。

ミノタウロスの首を斬ったとき何か光のようなものが見えそれが消えた。 その後、ボクの持つ鉈は消え、みなぎっていた力強さも消えていた。 これで、いつも通りのになやましろである。 

もしかしたらミノタウロスが唐突に蘇ったのもあの光が原因だったのかもしれない。 と、考えたが、一旦は保留にしよう。


ボクは助けた二人の近くへと向かう。

「ヤッホー、二人とも生きてるよね?」ボクは空気を読まずに発言した。

「おかげさまで大丈夫だ」苦笑い気味に返事をしたのはレアの方だった。 騎士甲冑は下に散乱し、胸を手で隠しているが問題なさそう。 そういえば、なんで彼女は半裸なんだろう?

「レアは大丈夫か……。 じゃあ、ベリーは?」泡を出して気絶をしているベリーに質問する。 もちろん返事など変えてくるわけなくレアが説明をしてくれる。

「ベリーはさっきの跳躍の勢いで気絶したままだ。 まあ、撃たれ弱い子だから勘弁してやってくれ」申し訳なさそうに僕に説明するレア。 撃たれ弱いっていていたが、ベリーのボロボロ具合は撃たれ弱いの範疇を超えていたような?

「そうなんだ……。 それでさぁ、本題に移るね」ボクはまじめな顔で質問を開始する。

「これからどうすればいいの?」ボクはこの世界のルールなんて知らないし、知るよしもない。 じゃあ、これからどうするかは現地人に聞くのが一番と考えた。

「どうすると、言われても……。 まずは服を着ることじゃないか?」ボクの血まみれの体を見て恥ずかしそうに話しかける。

「あ……。 キャァーなんでこんな格好をしているの?」ボクは一応もともと普通の少女だ。 全裸を周囲にさらしながら徘徊するような変態趣味はない。 ミノタウロスとの決戦の時は、頭に血が上りそのことを忘れていただけ。

「き、貴君が初めて来たときに着た服はどうしたんだ?」至極まともな質問をされる。

どうしたもこうしたも、食べられて時に基本は消化されているのだろう。 だから全裸。 これじゃ、この子達助けても、社会的に終わる。

ボクは必死で考えた。 考えるに考えたが答えは出なかった。

「どうしよう、このままじゃ……」ボクはうつむき嘆いている。

その光景を見ていた、レアが妙案を考えてくれたような顔をする。

「そうだ、貴君が体を隠す方法を見つけたぞ」レアは自信満々だった。

「えっ、なになにそれは? なになに?」興味津々で確認するボク。

「それは、あいつだ」レアはミノタウロスを指さしている。

「確かにあいつの皮着こんだら問題なさそうだね」レアはなかなかいい案を出してくれる。 だが、女子としてこの臭そうな装備を身に着けてもいいのだろうかとも疑問になった。

まあ、今は社会的な抹殺よりはましかと考え、とりあえずミノタウロスへ向かおうとする。 だが、重要なことを思い出した。

「ボク今刃物持ってない」その言葉にレアは疑問を持ちかける。

「さっきミノタウロスを殺した鉈はどうした?」まっとうすぎる疑問。 確かにその疑問は出るだろう。

「消えちゃった」テヘっと可愛い顔をし、ボクはレアに話しかける。

「消えた!? 消えたってどうして? そもそも、貴君はなぜあのような力を……。 そもそも貴君は何者で……」矢継ぎ早に疑問が聞こえてくる。 だが、詳しく答えるのはベリーが起きてからにしたいと考えていたため、「後で説明するから。 とりあえず手伝って」レアに助けを求める。

レアに手を差し伸べ、立ち上がらせると。 「申し訳ない。 少し待ってほしいと」いそいそと自身の装備を整えだした。 彼女も女の子だから、半裸はいやなんだろう。


ボクたちの目の前に、先ほどまで猛威を振るっていたミノタウロスがある。 それに対し、レアは自身の剣を借り、何度も何度も何度も斬り付ける。 そして、数十分後どうにか人一人分がまとえる皮を手に入れた。

案外まとってみると臭くなく。 ボクは心の中でミノタウロスさんごめんなさい。 と謝っていた。


二人を助けられたし、服も手に入った。 じゃあ、本格的に何をすればいいのだろう? ボクは素直にもう一度レアに疑問をぶつけた。

「どうしよっか? これから」

「そうだな、次はミノタウロスの部位を解体して、持ち帰らないとな。 町に」レアは真面目に答える。

「と、その前に……。 ベリーいい加減起きろ」気絶しているベリーのほっぺをつねるレア。

「ふにゃあ…… あたしは食べてもおいしくないよぉ」悪夢なのかよくわからない寝言を言いながら気絶し続けるベリー。

レアは最初の方は優しく起こそうとしていたが、あまりに起きないベリーに腹を立てたようで、「いい加減に……起きろ!!」と本気のビンタをした。 ものすっごく痛そう。

「はひっ、何事」顔に赤い手形がある状態で目を覚ますベリー。 今もボロボロの人にする対応じゃないなと思いながらボクは見守る。

「起きたか、ベリー早速で悪いが君自身と私にヒールをかけてくれ」悪びれなく、すぐに指示だしをするレア、ベリーは直ぐに「はいはい」とめんどくさそうに言った。 彼女たちの中ではこれが普通なのか?

「万物を守りし守護人よ、我が前に立つ同胞に、癒しと言う名の祝福を。 ヒール」すぐさまいかにもな詠唱で魔法を唱えるベリー。 詠唱をするときに無駄に揺れる乳がなんともエロイ。


全員が回復したその後、ミノタウロスを解体することになった。 解体はベリーとレアの二人でいそいそと行い、ある程度めぼしいパーツは手に入ったようだ。 そして、次の目的地の話に移る。

「それでは町に向かうか。 貴君も来るのか?」ボクに対し当然の質問をするレア。 

「いくよ、当然ね」ボクは軽く返事をした。

「そうか、ならば少しの間よろしく頼む。 最初自己紹介をしたが再度名乗らせてほしい。 私はレアだ。 よろしく」レアは凛々しく自己紹介する。

「あたしはべりーだよ。 よろしくね」ベリーの自己紹介は胸が揺れること以外印象に残らない。

「ボクはになやましろ。 よろしくね」最後にボクの自己紹介だ。 だが、二人は即ボクのニックネームを考えてくれる。

「ニーナね。 よろしく」なんかかなり訳されたけどまあいいや。

一通り自己紹介が終わるとレアが「では、町に向かうか」と言い放つ。

レアの一言にボクとベリーは「おー!!」と大きく返事した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ