第九十六話 後方
池田屋事件が新選組の手柄で 終幕し、後方支援をする八番隊の出番となります。俺の全ての人生通しての宝物 ピノコ・ナディア・哀姫も、その存在を新選組に認められ、新選組の場所を覚えてくれます。カナパンマンの人生に、幸あれ!
時代は幕末、200年以上続いた 平和な世 武士の世が、そして徳川幕府という体制そのものが、徐々にゆっくりと崩壊へと向かっていた。時代の流れ 時流は、食い止めることは出来ず、あとは どう倒され、どう負けるかを見届けることと、なるべく 日本人の内戦による犠牲者の出ないよう 配慮するしかない。たとえ、俺 土方歳三が敗北するとしてもね。俺としては、徳川幕府の最後 武士の世の終わりを、最後の侍として、負けると分かっていても、戦い抜くつもりだ。
長州藩士に脱藩浪士、長州派の公家 序でに、クソ大和田と大和田の側の人間たちが引き起こした 池田屋事件は、新選組の手柄で、無事 収拾した。あとは、新選組の屯所へと帰るだけだ。斎藤さんは、クソ大和田と その側の人間たちを晒し首にする為 居ないけど、その分 新選組の顔役達の他に、俺の全ての人生通しての宝物 哀姫が、一緒にいる。
「あーあ、池田屋事件。俺だけ、手柄 なしか。まぁ京の都が火の海になり、哀姫を喪うよりは、マシか」と俺。
「カナパンマンは、そう簡単に 死にもせん死にもせん。馬鹿トチーヤイと、一緒に居れたらヤイやけどね」と哀姫。
「おうっ、哀姫は、トシ坊と一緒なら、そう簡単には死なないんだな。覚えておこう。トシ坊、手柄を立ててないと言えば、おいらもだよ」と、北野 武 新選組 局長。
「ああ。池田屋 制圧の手柄は、四番隊 隊長 近藤さんと、四番隊 副隊長 野口君、あとは一番隊 隊員 沖田の手柄かな。全く、新選組の局長と副長は、何をやっているんだ?という話だ」と俺。
「そんな事ないヤイ。そんな事ないヤイ。馬鹿トチーヤイは、カナの事を助けに来てくれたヤイ」と哀姫。
「それだと、おいら だけ、手柄なしじゃないか…。」と北野 武局長。
「まぁ、いいさ。それじゃ沖田、ひとっ走りして 新選組の屯所へ、行って来てくれ。風呂の準備と宴会の準備を、急ぐよう 八番隊 隊長 安藤優子さんと、八番隊 副隊長 源爺に、伝えてきてくれ。俺たちも、このまま哀姫を連れて、屯所へ向かうから」と俺。
「ウキッ!」と沖田。この速度なら 世界一の天才、沖田総司は、徹夜明けなのに、相変わらず 凄い速さで、新選組の屯所へと 先に向かった。
俺たち一行が、新選組の玄関に到着すると、「トシさーん!お帰りなさーい!全く、2日も 屯所へ戻らないなんて。こっちは、心配してたのですからね」と、新選組の元気印 一番隊 隊員の少年、安藤 ジュンヤが、話しかけて来た。傍らには、リュウスケも居る。
「うん、ここに居る 俺の宝物 哀姫を守るのと、天皇の無事の確認に、2日もかかってしまった。ジュンヤも リュウスケも、この年齢が6歳で固定されてる 少女が、俺の全ての人生通しての宝物 ピノコ・ナディア・哀姫だ。俺と俺の過去たち 以外に触れられると、この子は悪寒がする。直接、触れないように。それじゃあ、ジュンヤにリュウスケ!ただいま」と俺。
「お帰りなさい、トシさん。カナ姫様も、ようこそ 新選組へ」と安藤 ジュンヤ。
「ピノコ・ナディア・カナで、ござんす!よろしくお願いし申すヤイ」と哀姫。
「おうっ、安藤先輩!まるまる2日間、おいら だけ、何も手柄を立てずに、帰って来たぞ」と、ふざけ半分で言う 北野 武局長。
「武さん、まるまる2日間 何も手柄を立ててないとは、どうゆうことですか!本当なら、僕もリュウスケも 池田屋に、闘いに行きたかったのですよ!」と安藤 ジュンヤ。
「ひえーっ、安藤先輩が、おっかねえ!」と、また ふざけながら 北野 武局長は、俺の後ろに隠れる。
すると、安藤は安藤でも、女性にして 八番隊 隊長の安藤優子さんが、八番隊 副隊長 井上源三郎と共に、顔を出す。
「トシ君、風呂の用意も 宴会の用意も、沖田君に頼まれた通り、出来ております。どちらが先でも、大丈夫です」と源爺。
「うん、ありがとう。風呂が先だけど、まずは返り血をどっしり浴びた、その分 手柄となった近藤さんと野口君が、一番風呂だね。それと哀姫、この安藤優子さんと、この井上源三郎が八番隊で、これで今ここに、新選組の顔役たちが、勢揃いしている。いつでも 哀姫が、新選組に遊びに来ていいか、聞いてごらん」と俺。
「カナで、ござんす!馬鹿トチーヤイに逢いに、新選組に 遊びに来ても、いいヤイか?」と哀姫。
「勿論!トシ君、この女の子が トシ君の永代の宝物、カナちゃん ですか?」と安藤優子さん。
「ああ。俺が拾い主で、俺の全ての人生通しての宝物だよ。源爺は、過去か前世で 会ったことはあるよな?」と俺。
「はい。哀姫様、私も安藤優子も、大概 新選組の敷地内に居ます。今のように、トシ君たちの後方支援をすることが、役目です。哀姫様を、北野 武局長が、拒絶するわけがないので、いつでも遊びに来てください。美味しい牛肉料理を、お出しします」と源爺。
「おうっ、おいら が哀姫を、拒絶するわけはないな。いつでも哀姫を、笑わしてやろうと企んでるからな。トシ坊が遊びに来て良いと言うなら、哀姫も どんどん遊びに来てくれ。もう、一人ぼっちの哀姫は、見たくないしな」と北野 武局長。
「馬鹿トチーヤイに、逢いにきていいヤイか?毎日、来るヤイよ!」と哀姫。
「カナパンマン!新選組の本物の侍たちをなめるな。哀姫が遊びに来るぐらい、余裕のよっちゃんいかだ」と俺。
「やったヤイ!やったヤイ!毎日、来るヤイ」と、喜ぶ 哀姫。
「じゃあ手柄を立て、その分 返り血をどっしり浴びた、近藤さんと野口君の2人の風呂が先で、皆んな 風呂を済ませたら、哀姫の歓迎会も兼ねて、宴会にしよう」と俺。
「がははははっ笑!そう、致しましょう」と近藤さん。野口君と共に、風呂へ向かう。
「じゃあ、八番隊 隊長の安藤優子さん。風呂を待つ間に、炊き出しをしてくれ。ここ1日、飲まず食わずだ。風呂の準備や 炊き出しも、後方支援を目的とする八番隊の主な役目だからね。あと、哀姫が ちょくちょく遊びに来るなら、女子風呂も創らないとな。ガスの整備とか、もろもろ源爺や 馬鹿局長、勘定方筆頭にお願いして、ガス管の創設もしなきゃだな。かかれ」と俺。
「カナも、手伝う!カナも、手伝う!」と哀姫。
「かしこまりました。よしっ、カナちゃん。たくさん、まずは握り飯を作りましょう。手伝える?」と安藤優子さん。
「まかせトン。まかせトン」と哀姫。
そういえば 哀姫は、進んでお手伝いの出来る子だった。もともと そういう性格なのと、お手伝いをちゃんとしないと、暮らしていけない環境に身を置いていた。俺に出来ることは、哀姫を手の届く範囲、尚且つ 目の届く範囲に置いて、しっかり守って しっかり遊ばせることだけだ。俺が、しっかりしなきゃな。
この後、風呂に入っていなかった者は、風呂に入り 、哀姫が、はしゃぎまくる中 宴会となった。哀姫には、哀姫が住む民家から、新選組の玄関までの道順を覚えてもらい、新選組としては、いつ 哀姫が遊びに来てもいいように、準備を済ませた。こちとら、 侍の集団 新選組じゃい!女子を守らせたら、天下一じゃい!
《女子を守らせたら、天下一…。2017/09/18今現在、2回目の東 清二として、最後の最後の人生を送る俺は、この人生においては、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫さえ守れない、俺の人生史上 最も弱く 最も脆い、まさしく最低最悪の人生を送っている。ただし、味方がいない分、敵もいない。あとは、再び 念能力者に成るのを待つこと。哀姫が逢いに来てくれることを、願うこと。あと長くても 14年の、俺の寿命が尽きるのを待つこと。どれか一つでも、叶ってくれ!我慢、苦労、辛抱にも、限界がある…。ちゃんと不幸の王様 クソ大和田をぶっ消して、念能力者に成って 本当の自分 ドン・リュシフェルに成ったら、この不幸に塗れた世界を変える、幸福の王子を続けるから》
こうして、2日間に渡る 池田屋事件は、近藤さん 野口君 沖田、それに斎藤さんの働きで、無事 解決した。そして哀姫の存在が、俺の宝物であると新選組の皆が 認識したので、これからはだんだん調子に乗る 哀姫が、新選組を訪れることになる。そんでもって、孤立する長州藩と長州へ落ち延びた公家の逆襲も、図体だけが大きくなって動けなくなった 草食恐竜みたいな徳川幕府に、襲いかかることとなる。其れでも、最後まで侍として、会津地方と徳川幕府に味方する、新選組の運命やいかに?次回の話は、池田屋事件の手柄により、徳川幕府から 報酬が出ます。京の都の人々からは、好意的に受け止められていた新選組が、徳川幕府からも 好意的に受け止められます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!