第九十四話 手柄
新選組の者が池田屋を制圧したあと、会津藩 筆頭家老にして糞詐欺師のクソ高倉健が、二枚舌で手柄を横取りしようとします。北野 武 新選組 局長の、政治力や如何にです。
時代は幕末、二百年以上続いた武士の世 平和な時代が、終わりを迎えようとしていた。黒船の来航に始まり、アメリカ イギリス スペイン オランダと、欧米諸国は 帝国主義が持て囃され、新しいターゲットとして、日本も標的となった。長らく 鎖国をしていた徳川幕府には、欧米諸国との交渉能力がなく、なし崩し的に日本にとっては不利な条件を、飲んでいくことしか出来なかった。そんな徳川幕府を弱腰と非難し、日本の将来を憂う 若者たちが、各藩を飛び出し 天皇の居る京の都にて、活動していた。時代の中心は、京の都で 徳川幕府が倒されると分かっていても、最後まで 徳川幕府と会津地方に味方する、史上最強の剣客集団が、京にて 存在した。その名も、新選組。
新選組のトップ 局長には、池田屋事件の折に 池田屋へ向かい、消息不明の北野 武。新選組 副長に、宝物を守るためと 新選組の面々なら、充分 戦えると、池田屋へは行かなかった俺 土方歳三。一番隊 隊長は、池田屋事件にて 念のため 京都御所へと向かった、斎藤一。一番隊 隊員、池田屋事件もなんのその、もう 大丈夫だと 俺の所まで伝えに来た、沖田総司。一番隊 隊員、何でお留守番なのですか?と、ブーブー言っていた少年 安藤 ジュンヤ。一番隊 隊員、そんなジュンヤのそばに佇む 口の聞けない少年 リュウスケ。四番隊 隊長、数十人の敵に たった4人で戦いへと向かった、池田屋事件の主役 近藤勇。四番隊 副隊長に、近藤さんの傍らで、おそらく活躍したであろう野口君。新選組 最後の隊、後方支援を目的として、実際 発動した八番隊 隊長に、新選組 唯一の女性、才色兼備な 安藤優子さん。八番隊 副隊長、屋内では 槍は使い難いので、池田屋事件では出番のなかった井上源三郎。他に 資金面で、新選組に潤いをもたらしてくれる、北野 勝 勘定方筆頭。新選組は、刀での戦闘は極めたので、あとは銃火砲部門にて 内田 ジュンが、1人で何人始末出来るか?という研究をしている。
池田屋事件の最中、俺は 俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫と、一緒に居た。そして池田屋事件の決着がつき、沖田の案内で、俺と哀姫は、池田屋へと向かう。
いつも通り「ウキウキ」言っている 天才 沖田総司と、「馬鹿トチーヤイと、デート ヤイ!」と はしゃぐ こちらも天才の哀姫と、なかなか無い 貴重な時間だ。
道中、会津藩の旗を持った藩兵が、道を封鎖していた。どうやら池田屋を、ぐるりと取り囲んでいるようだ。
「新選組 副長、土方歳三だ。邪魔だから、どけ!」と俺。
「おおーっ!」と会津藩の者たちから歓声が湧き、責任者と思われる者が、畏まって出て来た。
「新選組 副長、土方殿!お噂は、兼ねがね聞いております。お会い出来て、光栄です。京都守護職からは、新選組の手柄で、天皇と京の都を火の海から守れたと、聞いております。ただ 会津藩 筆頭家老からは、失敗なら新選組の所為に、手柄なら 会津藩の筆頭家老の手柄にしろと、命じられています。いかが致しますか?」と聞かれる。
「会津藩 筆頭家老って、糞詐欺師 クソ高倉健だろ?」と俺。
「はい」
「相変わらず、詐欺のやり口が汚えんだよな。確実に、新選組の4名の侍達だけの手柄だ。会津藩の手柄でも無いし、詐欺師の筆頭家老の手柄でもねえよ。池田屋を確認して来るから、お前ら会津藩の藩兵は、死体の処理の準備でもしてろ」と俺。
藩兵がどき、進めるようになった。
池田屋へ着くと、返り血をどっしり浴びた近藤さんと野口君、大して返り血を浴びてないが、流石にピリピリした空気の北野 武 局長が居た。
「ここが、池田屋か。沖田も入れて、4人ともご苦労様だった。近藤さんに野口君、馬鹿局長に沖田のおかげで、京の都が火の海に成らずに済んだよ。因みに、このガキンチョが、俺の全ての人生通しての宝物 ピノコ・ナディア・哀姫だ。馬鹿局長は知ってるだろうけど、他の皆も 知って置いてくれ」と俺。
「新選組 四番隊 隊長、近藤勇と申します。それにしても、今宵の虎徹は、良く斬れた」と、笑顔の近藤さん。野口君も 哀姫へ、会釈だけする。
「おうっ、トシ坊!おいらが居る意味が、全くなかった。よく死人の出た、其れでも生き残ってきた 四番隊の隊長と副隊長は、凄え強さなんだな。せっかく哀姫に、久し振りに会えたのに、おいら 何の手柄も立ててやいない」と北野 武局長。
「まぁ いいさ。近藤さんと野口君は、死線と修羅場を潜り抜けた数が違うってだけさ」と俺。
「そうヤイ!そうヤイ!馬鹿 沖田も、馬鹿局長も、生き残っただけで 充分ヤイ」と哀姫。
「じゃあ 会津藩はともかく、会津藩 筆頭家老 クソ高倉健が、この池田屋事件の新選組の手柄を、何もしてないのに横取りしようとしてるから、新選組 馬鹿局長 北野 武君の出番だ。政治力を、見せつけてやれ。その後、斎藤さんの居る 京都御所へ向かおう」と俺。
「おうっ、政治力か。やっと、おいらの得意とするものだ。哀姫に、おいらの政治力を見せてやろう」と北野 武局長。
「まったく、馬鹿局長で 大丈夫ヤイかー?馬鹿トチーヤイに任せれば、だいたい上手くいくヤイよー」と哀姫。
「おうっ、それを言っちゃ 身もふたもない。それじゃ、ちょっくら 取り囲んでいる会津藩の藩兵共に、ちゃんと新選組の手柄だと、話をつけてくるよ」と北野 武局長。
馬鹿局長は、取り囲んで見ていただけの会津藩の藩兵たちの元へと、1人で向かった。
その間に、俺は「近藤さんも野口君も、斎藤さんと一緒に戦う機会があったら、返り血を浴びない斬り方を教授してもらいなさい。まぁ今回の戦いは、4人 対 数十人なので、新選組の4人が怪我一つもしていないだけでも、充分だけどね」と伝える。
「返り血さえ浴びない戦い方ですか。がはははは笑。機会があったら、一番隊 隊長にご教授してもらいたいものです」と、豪快に笑う 近藤さん。
と、馬鹿局長が戻って来た。
「トシ坊!今回の京の都に火を放ち 天皇をかっさらう企だての阻止に、失敗したら新選組の所為、上手くいったら会津藩の筆頭家老の手柄って、酷い話で汚い手口だな。会津藩 筆頭家老 高倉健は、二枚舌の汚い奴なんだな。ちゃんと、おいら達 新選組の手柄だと、話は付けといたぞ」と北野 武局長。
「ああ。糞詐欺師 クソ高倉健のやり口だからな。じゃあ 死体の処理は、会津藩の藩兵に任して、俺たちは京都御所へと向かおう。皆んな 手柄も立てたし、天皇にでも会っときなさい。京都御所には、斎藤が居る筈だから、大丈夫だろうけど」と俺。
「カナも、行く。カナも、行く!」と哀姫。
「ああ。カナパンマンも、連れてくよ。京都御所はともかく、新選組の玄関の場所ぐらいは、覚えといて欲しいしね」と俺。
「おうっ、哀姫と一緒で、天皇に会えるのか。楽しみだな」と北野 武局長。
「近藤さんも 野口君も、そんなに返り血を浴びて 直ぐにでも、一風呂入りたいだろうけど、もう少しだけ我慢してくれ。それじゃあ、京都御所へと出発!」と俺。
皆んなで、京都御所へと向かった。
《土方歳三か。今 思い返してみても、クソ大和田や 大和田の側の人間たち、それにクソ高倉健にクソ田中裕子を除けば、良い出会いばかりで 悪い人生ではなかった。土方歳三は、俺の過去として 確かに天国に、存在してるしね。そして、生まれ変わり続けた俺の、最後の最後の人生が 無駄に2回目の東 清二としての人生だ。この最低最悪の人生は、やる事なす事 上手くいかない。2017/09/06今現在も、誕生日だというのに、朝から落ち込んでいる。誕生日を迎えたら、念能力が復活するんじゃないかという淡い期待が、見事にぶち壊れた。念能力さえあれば、終わりを始められる。もう耐久年齢を過ぎた この身体と、清二という忌まわれた呪われた名前、そして最低最悪の人生を終えられる。哀姫、逢いに来てくれ。俺 今日、誕生日だぞ。俺にとっての本当の自分、大天使長 ドン・リュシフェルにたどり着かなきゃな。念能力さえ、手に入ればね。因みに この最後の最後の人生において、寿命まで あと14年を切った》
こうして 池田屋における斬り合いは、新選組には 全く被害無しに終わった。4人 対 数十人でも、鍛え抜かれた 近藤さん 野口君 沖田、序でに 馬鹿局長が居れば そりゃあ大丈夫だ。手柄も、糞詐欺師 クソ高倉健が、二枚舌で手に入れようとしたが、北野 武局長が話をつけ、新選組の手柄となった。次回の話は、哀姫と俺たちが、斎藤さんを向かわせた京都御所へ、天皇が無事か 確認をしに行きます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!