第九十二話 法度
新選組に、破れば 即 切腹の武家諸法度というルールが出来ます。ルールが厳し過ぎて、当然 辞める者も出ます。その代わり、新選組は、侍の中の侍となっていきます。
時代は幕末、長く続いた 武士の世 平和な世が、終わろうとしていた。黒船の来航と諸外国の圧力に屈した徳川幕府、それを諸藩の若者たちは弱腰だと非難した。歳を重ねれば重ねるほど偉くなれるという、儒教にも基づくシステムが崩壊しようともしていた。アメリカ イギリス スペイン オランダと、例え諸外国と戦おうが、力の差は火力の違いだけで、敵の武器を奪い それを改良すれば、いざ戦えば 日本人なら充分に戦えるというのが、俺の印象だ。ただし徳川幕府は、開国へと動き始めた。そして、図体だけが大きくなった徳川幕府にとっては、それが破滅への道だった。そんな歴史に抗うように、最後まで徳川幕府と 繋がりのある会津地方に味方する、侍の集団が京の都に存在した。その名も、新選組。
新選組 局長、北野 武。新選組 副長、俺 土方歳三。一番隊 隊長、斎藤一。一番隊 隊員、沖田総司。一番隊 隊員、安藤 ジュンヤ。一番隊 隊員、リュウスケ。四番隊 隊長、近藤勇。四番隊 副隊長、野口君。八番隊 隊長、安藤 ユウコ。八番隊 副隊長、井上源三郎。勘定方筆頭、北野 勝。銃火砲部門、内田 ジュン。これらが、俺が記憶する 新選組の顔役たちだ。
新選組の玄関に置いてある 座椅子に、俺と北野 武局長が居て、新選組は 誰がどう見ても、侍の中の侍であろうと、武家諸法度という厳格なルールを、創り上げようとしている。
「トシ坊、斎藤さんとおいらで 話し合って、大筋の規則は創った。あとは、トシ坊の了解を得るだけだ」と北野 武局長。
「うん、士道不覚悟で、切腹は決まっているんだろう?」と俺。
「ああ。あとは、どうなりゃ士道不覚悟なのかの、想定だけだ」と北野 武局長。
「うん、まずは金を無心に行ったら 切腹。侍はお金に対して、キレイじゃないといけないし、金の無心に行かなくてもいいよう 給料の額を上げるよ。幸い、斎藤さんが 仏教の高僧 久米さんの依頼で、糞野郎や糞女を叩き斬り 手に入れたお金を、一番隊だったり 新選組 本体の金として、入金してくれてる。更に、馬鹿局長の弟の勘定方筆頭が、相場を創り 荒ら稼ぎしている。五百両で始めたのに、今は とんでもない額を稼ぎ、その9割を新選組の本体の金として、入金してくれてる。だから 新選組 隊士なら、お金は新選組で用意出来るから、他所へ金をタカリに行くなという話」と俺。
「おうっ、了解した。斎藤さんが、殺しで金を稼ぐのは分かるけど、まさか 勝が金を稼ぐとはな…。下手しなくても、おいら より勝の方が、新選組の役に立っている」と北野 武局長。
「あとは、逃げない事怯えない事怯まない事だね。逃げ傷だったり 敵に背中を見せて逃げ、傷を負っても切腹。新選組からも、逃げない事だね。辞めるなら 辞めると伝えれば、退職金ぐらい出せるしね。表向きは、切腹とするけど。新選組は、来る者拒んで 去る者追わずで行こう」と俺。
「おうっ、了解した。すると新選組は、少数精鋭となるな。あとは不幸の王様、大和田の野郎だな。大和田の野郎の行くとこ行くとこ不幸になるし、上手くいっているところも 上手くいかなくなるからな。新選組が、その轍を踏まないようにしなきゃな」と北野 武局長。
「うん、其れはそうだ。まぁ 今の侍としての俺たち 新選組なら、全宇宙の支配者で 不死身のクソ大和田も 大和田の側の糞野郎や糞女を叩き斬るのは、容易い。厄介なのが、不幸の使者で 詐欺師のクソ高倉健だ。今は、会津藩 筆頭家老をしているよ。クソ大和田を全宇宙の支配者にしたのも、糞詐欺師 クソ高倉健が、過去に「大偉業だ」とほざき やった事だからね。不死身のクソ大和田を、完全に消せるタイミングも過去にはあったのに、クソ高倉健が「きよじ君、そんな事より飲みましょう」とほざき、クソ大和田を消せるタイミングを二度とも逃してしまった。クソ大和田もクソ高倉健も、必ず間違い必ず失敗る。その度に、順ぐり 俺に会いに来て、俺が何かを与えることになる。その度に、俺の人生での超えなきゃいけないハードルが、上がっていくんだよなぁ。正直、やってられん」と俺。
「トシ坊…。おいらに、出来ることがあったら 何でもするよ。哀姫を笑わすとかな」と北野 武 局長。
「うん、それは良い。新選組を、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫が、いつ会いに来てもいいように、武家諸法度を期に ちゃんとした組織づくりをしよう。俺がいつも、この座椅子に居るのも いつ哀姫が、逢いに来てもいいようにしてるのが、一番の理由だしね。武家諸法度は、士道不覚悟でも切腹 逃げても切腹 負けても切腹で、馬鹿局長がまとめてくれ」と俺。
「おうっ、了解した。辞める者に、退職金を出せるなら 大丈夫だ。じゃ、おいらが 武家諸法度をまとめてくるよ」と北野 武局長。
武家諸法度のあまりのルールの厳しさに、辞めると言う隊士も出たが、その者には 一生食べていける程の退職金が、勘定方筆頭より 支給された。新選組を去ることと、侍ではいられなくなることに、落胆していた者たちも 有り余る退職金で、納得してくれた。
その上で、俺が今後について「新選組は、例え負け戦さと分かっていても、最後の侍として、幕府側につく。そして、今は時代の転換期で、これからは刀では無く 算盤の方が役に立つ。相場の運営もあって、また新選組の子供らの事もあり、北野 武局長と北野 勝 勘定方筆頭は、天皇が京の都へ居る間は、2人とも京の都に留まる。新選組を去る者も 残る者も、京の都には 馬鹿局長と勘定方筆頭が居ることは、知っておいてくれ。俺と一番隊、四番隊と八番隊は、日本国内での内戦の収拾に、各地を転戦することになると思う。新選組を辞める者たちは、自分の身に何かあった時には、馬鹿局長や勘定方筆頭を頼ってくれ。今迄、侍として 命懸けの任務、ご苦労様でした!」と俺。
「おうっ、今迄 新選組は、トシ坊頼みだったから これからは、おいらや 勝を頼ってくれ。辞めていく者たちもな」と北野 武局長。
「はい!」と、新選組の者や、辞めていく者たち。
新選組は、来る者拒んで 去る者止めずだが、武家諸法度という厳しいルールが出来、これでは生き残れないと辞めていく者たちも、一生食べていける程の退職金を手に、何かあれば 馬鹿局長や勘定方筆頭を頼れると確認し、去っていった。此れにより、新選組は30人に届かないぐらいの人数となったが、侍としての純度が増し、少数精鋭の侍の中の侍の組織となった。
《2017/08/23今現在、馬鹿局長は いつでも内閣総理大臣に成れる位置で頑張り続け、勘定方筆頭は大学教授と成って 相変わらず先生をしている。沖田総司は、当時の俺が 赤髪のシャンクスをしていた時に、モンキー・D・ルフィに成り、その後 天国の異次元に、沖田総司として、渋川剛気やジャイアント馬場、そして井上源三郎らと一緒に、俺が東 清二としての人生を終えるなり、念能力を手に入れるのをずっと待っている。斎藤一は、本名のオダギリジョーとして、大してやりたくもなかった役者になり、活躍している。そんな俺にとって、唯一無二の親友 オダギリジョーが、デニムお姉さんと結婚し 子供も出来だというのに、おめでとう すら伝えられない。もともと俺 対 全宇宙の支配者 クソ大和田との、お互いの存在を完全に消すか?消されるか?の戦いにおいて、なるべく 俺の側の人間達を巻き込みたくなかった。なので、俺1人が クソ大和田や 大和田の側の人間たちに集中砲火を浴び、俺の側の人間たちには被害を最小限にするという策は、成功した。あとは、俺の長ければ あと15年もある寿命が尽きる事。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫が、逢いに来てくれること。そして 一番肝心なのは、とっとと 俺の念能力、復活しやがれ!》
こうして新選組に、武家諸法度という、 破ったら 即 切腹の、厳しいルールが出来た。また この事により新選組は、少なくても 一騎当百の、強者揃いの組織となっていく。次回の話は、世に言う 池田屋事件についての話ですが、俺が その現場に居なかったので、詳しくは書けません。近藤勇と沖田総司 強し、ということしか具体的には知りません。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!