第九十一話 勘定
新選組の北野 勝君が創った、相場という仕組み。ただし相場の売り買いには、リスクや危険もあって 、更にルールや値を無視して、悪用しようとする者も出た。新選組として、それにどう対処するか?という話です。そして、やっと北野 勝君に、勘定方筆頭という肩書きも 出来ます。
時代は幕末、戦国時代の後に訪れた 武士の世 平和な時代が、外国の圧力により生まれ変わろうとしていた。長らく鎖国をしてきた徳川幕府には、諸外国と交渉をする能力がなかった。結果 弱腰となり それに、不平不満を持つ若者たちによって、徐々に だが確実に 倒幕へと、傾きかけていた。時代の中心は、天皇の居る京の都で、志士と呼ばれる若者たちが、良くも悪くも活動していた。京の都の治安は悪化し、京都守護職として 会津藩の綾野という名の男が、幕府の命令に従い置かれた。そんな徳川幕府と会津地方に、最後まで味方をする 侍の集団が、京の都に存在した。その名も、新選組。
新選組のトップ 局長に、冗談を言ったり 、ふざけては人を笑わせる政治力の高い 中年の漢 北野 武。新選組 副長に、武家諸法度の作成中の俺 土方歳三。何かと一番の、一番隊 隊長に、防ぎようのない三段突きの名手 斎藤一。一番隊 隊員に、速度なら世界一の天才 沖田総司。同じく一番隊 隊員に、侍に成り 死をも恐れない少年 安藤 ジュンヤ。最後の一番隊 隊員、口の聞けない少年 リュウスケ。四番隊 隊長に、気骨のある豪快な中年の漢 近藤勇。四番隊 副隊長に、死に番という4人の隊列の先頭を歩き、突然 斬りかかられても ちゃんと対処出来、生きて帰って来てくれる無口な人 野口君。新選組 最後の隊、末広がりの八番隊 隊長に、源爺を慕い 新選組に入り、実務能力により 源爺より出世した、新選組 唯一の女性 安藤 ユウコさん。八番隊 副隊長に、沖田の保護者で 強さと優しさを兼ね備える 井上源三郎。もともと新選組で学問を教えていて、五百両を元手に相場という仕組みを創り、資金面で新選組に潤いをもたらしてくれる 北野 勝君。来たる日の内戦に備えて、内田 ジュンという名の男が、銃火砲部門にて、刀 対 鉄砲の研究をしている。
最近、北野 勝君の手柄で 相場という仕組みが、出来上がった。値上がりする物も 値下がりする物も、北野勝君の読み通りで、有難い事に北野 勝君は、儲けのほとんどを新選組の本体のお金として、貯めといてくれている。
「今日も、儲かりました」と北野 勝君が、新選組の屯所へと帰って来た後、相場を上げ下げしている場所の者が、訪ねて来た。
俺が、新選組の玄関にある 座椅子に座ってると、その男は「新選組の北野さんに、大至急 伝えたいことがあります」と言う。
「新選組には、北野という名字の男は2人居て、何なら 安藤という名字の者も、2人居るぞ」と、俺は答える。
「北野さんが、2人…。眼鏡をかけ、相場という仕組みを創ってくださった方の北野さんは、どちらに?」と訪ねて来た男。
「多分、屯所で学問を教えている。北野 勝君に大至急の用事って、何の用だ?」と俺。
「はい!このままでは、材木の相場にて 予想外の値動きがあり、新選組の北野さんが、大損することになります」と訪ねて来た男。
「うん、相場で売り買いするのには、損をする危険もある。別に、今迄の儲けがふき飛ぶぐらいの大損ではないだろう?」と俺。
「それは、そうですが…。新選組様に、相場で損をさせるわけにはいきません!」と訪ねて来た男。
「うん、じゃあ 新選組を代表して、俺が行くよ。もう直ぐ、御用改めから 一番隊が帰って来るだろうし」と俺。
すると「トシさーん!今日も斬られずに、斬って 生きて帰って来ましたよー!」と安藤ジュンヤと一番隊が、帰って来た。
来客に気付いている 斎藤さんが、刀に手を掛け「副長、客ですか?」と聞く。
「ああ、相場の件でな。少しこの男と、相場の現場に行ってくるから、その間 斎藤さん、門番をよろしく」と俺。
「かしこまりました。最近 俺は、仏教の高僧の依頼で たくさん処分をしているので、副長 単体での行動です。念のため、気を付けて行動してください」と斎藤さん。
「了解。そんじゃ、日本発の相場のシステムでも、見て来ますかね。金といえば、こんな所に五百両」と俺。座椅子の下に、俺は五百両を置いていた。それを持って、訪ねて来た男と相場の行わられてる場所へと行く。
訪ねて来た男は「お侍さんは、新選組の副長様だったのですね!」と驚き、畏まっている。まぁ誰も、新選組の副長が、門番をしているとは思わないか。
「ああ。新選組 副長、土方歳三だ。覚えても、覚えなくてもいい。ここが、相場の売り買いや 取引をしてる所か。そんで、材木をどうすればいい?」と俺。
「はい。新選組の眼鏡をかけた北野様は、材木の値が下がったので 買うことにしたのですが、売る側が 相場の値を無視して、法外な値段で 品質の悪くなった材木ばかりを、売り付けようとしているのです」と訪ねて来た男。
「じゃあ、材木を買わなければいいんだな?別に新選組には、買ったとしても材木は必要ないしな」と俺。
「はい。そうしていただければ、新選組様が損をしなくて済みます」と訪ねて来た男。
「じゃあ、材木を買いは無しで。あと、その相場の値を無視して 品質の悪い材木を、売り付けようとした奴はどこに居る?」と俺。
「どうされる、おつもりで?」
「俺の判断次第では、素っ首 叩き斬る。せっかく相場という仕組みが出来たのに、早速 悪用しているからな」俺。
「かしこまりました。案内します」と訪ねて来た男。
案内された先に、全宇宙の支配者 クソ大和田と、大和田の軍師 クソ木村 公一と、大和田の息子 クソ近藤 育史が、腐食してボロボロになった大量の材木の前に居た。
「やっぱりな。お前ら クソ大和田も、大和田の側の人間たちも、ルールを守らない。そればかりか、必ず 悪用し、間違いと失敗を繰り返す。新選組としては、今回の取引で材木は買わない。其れと、糞野郎3人!30秒以内に俺の前から居なくならないと、叩き斬るからな」と俺。
「待て!新選組の眼鏡の男が、材木を買うと決めた。こちらは、それなら売ってやろうとしただけだ」とクソ大和田。
「相場の値を無視して、腐食してボロボロになった材木ばかりを、売り付けようとしたんだろう。ルール違反で、反則だ。お前らの首を叩き斬るまで、あと20秒」と俺。
「待て!一度、買うと決めたんだ。それを、今更 無しにする方が反則だ」とクソ大和田。
「相場の値も、ルールも守らない取引なんて、もともと無効だ。其れとお前ら3人とも、相場の売り買いをする場内は、立ち入り禁止だからな。報告があり次第、叩き斬る。お前らを叩き斬るまで、あと10秒」と俺。
俺は愛刀、和泉守兼定に手を掛ける。
「待て!お前は、有言実行の男だ。今日のところは帰るけどよお、この大量の材木を売らなければいけないからよお」とクソ大和田。
「知らねえよ。その腐食してボロボロになった材木は、ただのゴミだ。お前らともども、廃棄処分だ」と俺。
「だから、なんでこいつには念能力が、通用しないんだ!?」とクソ木村 公一が、困惑している。
「親父!新選組が材木を買うと言うから、これだけ仕入れたんだぞ。あの未来を予知出来る、渡辺真理も 買うと予知したんじゃなかったのか?」とクソ近藤 育史。
「こいつの未来を予知するのが、一番 難しいらしい…。今日のところは、引きあげるけどよお、何でこちらは こうも、やることなすこと上手くいかないんだ」とクソ大和田。
全宇宙の支配者 クソ大和田も、その側の人間たちのNo.2クソ木村 公一も、大和田の息子で 偽善者のクソ近藤 育史も、肩を落とし 落胆しながら、何処かへと帰って行った。
「うしっ、刀を汚い血で 汚さずに穢さずに済んだ。じゃあ さっきの糞野郎3人は、相場の売り買いをする場内は、立ち入り禁止で。来たら、新選組に連絡してくれ。次は、叩き斬る。この材木は、燃やすなり捨てるなりして、処分してくれ。これで新選組は、大損をしなくて済むんだよな?」と俺。
「はい!さすが 新選組のお侍様!見事なお裁きです!」と訪ねて来た男。
「じゃあ、俺は帰る。多分、明日の朝一で 新選組の、眼鏡をかけてる方の北野君がここに来ると思うけど、新選組としては相場にて、結局 損をしておらず 大丈夫なんだよな?」と俺。
「はい!材木の買いを無しにしたので、損はなく 大丈夫です!」と訪ねて来た男。
「じゃあ、わざわざ教えに来てくれて、ありがとな」と俺。相場の現場を、後にする。
翌朝、俺が いつも居る新選組の玄関にある座椅子に座っていると、北野 勝君と会った。
「北野 勝くん、これから君を勘定方筆頭と呼ぶことにするよ。北野 武さんを、俺が馬鹿局長と呼ぶようにね。その上で 勘定方筆頭、相場の材木の取り引きを無しにしたからな。またぞろ クソ大和田と その輩が、法外な高値で 粗悪品の材木を大量に、新選組に売り付けようとしていたからね。幸い 相場の場内の者が、新選組に損をさせるわけにはいかないと、教えに来てくれたから 事なきを得たけど、相場の売り買いには危険やリスクも伴うからね」と俺。
「材木の買いが、失敗だった…。直ぐ、確認して来ます」と北野 勝君。全速力で、相場の場内へと向った。俺は、全力で走っている勘定方筆頭を、初めて見た。
肩を落として帰って来た、北野 勝君は「副長殿の判断で、事なきを得たと確認して来ました。申し訳ありませんでした」と頭を下げる。
「別に、問題ない。勘定方筆頭の人徳で、損をさせじと思う者もいて、そもそも それ以上に勘定方筆頭は、新選組に金を入れてくれている。今後、相場の売り買いには、危険やリスクも伴うと、勘定方筆頭が理解してくれればいい。さあ、顔を上げて。今日も1日、張り切っていこう」と俺。
「はい!」と北野 勝君。
「なんだ勝、相場の売り買いで失敗したのか。だから、リスクもあると言ったじゃねえか」という馬鹿局長の言葉にもめげず、勘定方筆頭は本日の仕事に取り掛かった。
《金か。俺が旧石器時代に発明し、大事な大切なものとは知っていた。ただ その金ごときで、俺が本当の自分 大天使長 ドン・リュシフェルに成る前の最後の最後の人生において、たかが金、されど金と苦しめられている。2017/08/17今現在、2回目の東 清二として、俺の歴史上 類を見ない最低最悪の人生を送る俺は、ただただ待ち続ける事しか出来ない。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫が、逢いに来てくれる事。今日の夢にも、出て来てくれた。そして 一番大事なのが、俺の念能力の復活だ。俺が念能力者なのは、もともとは当たり前だったが、全宇宙の支配者 クソ大和田とやっと大和田の側の人間に成った 糞詐欺師 クソ高倉健、そして 未来を予知出来る代わりに、リスクとして俺の最後の最後の人生に被害の出るように仕組まれてる、クソ大和田の御用聞き占い師で 恩を仇で返し続ける糞女 渡辺真理の3人で、俺が念能力者に成ることを防がれた。だから、待つしかないんだ。軌跡は創った。奇跡を待ってんだ。未来を掴み取るために》
こうして 相場にはリスクがある事と、北野 勝君の肩書きが、勘定方筆頭と決まった。勘定方筆頭は、相場において一度失敗しそうになっただけで、五百両を元手に 倍に倍にと、どんどん新選組に 資金面の潤いをもたらしてくれる。そして、勘定方筆頭が教えていた学問が、机上の空論ではなかったと証明してみせた。今頃、元気にしているかな?さて、次回の話こそ 武家諸法度を創ります。違反すると、即 切腹の厳しいルールなので 新選組の名も無き隊士の中には、辞める者も出ます。どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!