第九十話 相場
新選組の一員で、子供らに学問を教えていた 北野 勝君が、まだ この時代には確立されていなかった、相場という仕組みを創ります。この仕組みが、のちに為替相場へと繋がることになります。あと全宇宙の支配者 クソ大和田の息子、クソ近藤 育史も登場します。金をタカリにね。どうぞ、お楽しみに!
時代は幕末、外圧に屈した徳川幕府と一緒に、江戸時代と呼ばれるものを、ゆっくりと しかし着実に終わろうとしていた。鎖国をしていた反面、幕府には外国と交渉することが上手く出来ず、その事が実際に交渉をしている訳でもない若者たちに、不満が高まり 倒幕へと動きだそうとしていた。かつて時代の中心は、将軍の居る 江戸であったが、良くも悪くも 後に幕末の志士と呼ばれる若者たちと、天皇の住む京の都が時代の中心となっていた。そんな中、火中の栗を拾い 最後まで幕府と会津地方に味方する、侍の集団が京の都に存在した。その名も、新選組。
そんな新選組 局長は、ふざけては人を笑わす中年の漢 北野 武。新選組 副長に、侍のくせに詐欺に遭った俺 土方歳三。一番強い 一番隊 隊長に、強くてかっこいい男 斎藤一。一番隊 隊員に、昔から速度なら世界一の天才 沖田総司。同じく一番隊の隊員に、侍に憧れ、憧れをものにした少年 安藤 ジュンヤ。もう1人の一番隊 隊員、未だ少年で 更に口の聞けないリュウスケ。すぐ死人の出る、恐怖の四番隊 隊長は、それでも死なない 豪傑 近藤勇。四番隊 副隊長に、死線を潜り抜けながらも、ちゃんと生きて帰って来てくれる無口な男 野口君。新選組 最後の隊、主に後方支援を目的とする 末広がりの八番隊 隊長に、新選組の唯一の女性で、実務能力が高いので隊長と成った 安藤 ユウコさん。八番隊 副隊長に、強さと優しさを併せ持つ 沖田の保護者 井上源三郎。他に 新選組では、学問も教えていて その先生を、五百両の資金が入り 為替相場で勝負をしようとしている、北野 勝君が務めている。そして、たかだか日本国内での内戦だけども、それに備え 内田 ジュンという名の男が、銃火砲部門にて 日夜研究に励んでいる。
京の都には、品物を売り買いする場所があり、そこでその品物の値段や売り買いが決まる。ただ まだ相場のシステムが、出来てはいなかった。買いたい人は、安く買いたい。売りたい人は、高く売りたい。ちょうど そのバランスを取り、今だったら このぐらいの値段ですという指数や指標を示す、為替相場を学問第一の北野 勝君が、創り上げようと頑張り始めた。俺はいつものように、新選組の玄関に置いてある座椅子に座って、相場を創設するにあたって ひっきりなしにやって来る者たちの対応をしている。
まずは、北野 勝は何者かを聞かれ、俺は「日本一の学者だよ。尚且つ、新選組に籍を持つ」と答える。新選組は、京の都の人々に好意的に受け止められているので、新選組に在籍するだけで信用してもらえる。其れならと、北野 勝君の言うことを聞こうと、思ってもらえる。相場を創設するために、生き生きと働く 北野 勝君を見ていくのは、副長として気分がいい。
もう一つ、俺が新選組の玄関に居るのは、糞野郎や糞女が新選組の敷地内に、入って来ることを防ぐ為もある。もう刀の時代も武士の世も、終わろうとしているのに、北野 勝君に学問を教わっている子供らは、みんな侍に成ることを目指してたりする。せめて新選組の敷地内では、糞野郎にも糞女にも 会わなくて済むようにしなければならない。
と、思っていたら 全宇宙の支配者 クソ大和田の息子で、新選組の名を語り 会津藩 藩邸に、金の無心に行ったクソ近藤 育史が、姿を見せた。
そして「高倉健に、一千両納めたと聞いたぞ。オレに契約金 一千両払うなら、新選組に入ってやってもいいぞ」とほざく。
「お前が、よりにもよって会津藩 筆頭家老に成ってやがる、糞詐欺師 クソ高倉健に、金を無心に行ったから、一千両も払わなくていけなくなったんだよ。仮にお前が新選組の敷地内に入ったら、素っ首 叩き斬るからな」と俺。
「待て!オレが、新選組に入ってやってもいいと言っているんだぞ」と、クソ近藤 育史。
「仮にお前ごときが、新選組の隊員に成れたとしても、斬り殺されるか?即 切腹のどちらかだよ。クソ近藤 育史、30秒以内に俺の前から 居なくならないと、叩き斬るからな」と俺。
「そんなはずは…。待て!本気じゃないか。分かった!立ち去る」と、クソ近藤 育史。
「てめえ、次 来るとしたら、一千両 耳揃えて持って来いよ。年利 4パーセントで、借金は増えていくからな」と俺。
「待て!借金はダメだ。オレは親父と一緒に、拓銀を潰してしまっている。立ち去るから、借金はなしだ」と、クソ近藤 育史。
「借金は、借金だ。もう30秒経つぞ」と俺。刀に手をかける。
それを見て、全宇宙の支配者 クソ大和田の息子、クソ近藤 育史は背中を見せて逃げ出した。
そしたら新選組の玄関に置いてある座椅子にて、北野 武局長と、その弟 北野 勝君が揃った。ピンチの後には、チャンスがあるということだ。
「おうっ、勝!相場創設の調子は、どうだい?何だったら、おいら が話をつけてやってもいいぞ」と北野 武局長。
北野 勝君は、兄の言葉を無視し「副長殿、相場を運営するにあたって、問屋の在庫が余る場合は、どうすればいいですか」と、俺に問う。
「まずは、情報だね。在庫が余ったといっても、それが どうしても欲しい人がいるかもしれない。もし仮に買い手が居ないとしたら、在庫一掃 大安売りだね。余程 悪い物じゃなければ、需要があれば供給もある。誰が何を欲しいか?誰が何を売りたいか?それを頭に入れて動けば、相場は上手くいく。問屋とも協力して、北野 勝君が相場師として、相場を運営してみてくれ。そうは問屋がおろさないとか、揉めるようなら、侍として 俺も馬鹿局長も、充分 対応出来る。少なくても、北野 勝君も、新選組の一員だしね。相場は、たくさん売れるなら上がる。売れないなら、下がる。これで、やってみてくれ」と俺。
「在庫一掃セール。相場は、売れるなら上がる。売れないなら下がる。かしこまりました。早速、問屋の皆さんへ掛け合って来ます」と北野 勝君。来たばかりなのに、また出掛けて行った。
「おうっ、トシ坊!なんか勝の奴、生き生きしてるな。あんなにやる気になった勝を、おいら 初めて見たぞ」と北野 武局長。
「うん、新選組は 侍の集団だから、強さがモノを言う。そんな中 北野 勝君は、子供らに 少なくても日本一の学問を教えていたんだ。そして やっと、為替相場を創設し運営するという、自分の実力を発揮出来ることを見つけたんだ。相場を創ることが出来たら、馬鹿局長 同様、役職を考えないとな。それはそうと馬鹿局長、武家諸法度の方はどうなっている?ついさっきも、クソ大和田の息子 クソ近藤 育史が、金をタカリに来てたぞ」と俺。
「近藤 育史、大和田の野郎も 厄介な名前を、付けやがるな。次、金をタカリに来たら、おいらの虎徹で 叩き斬るよ」と北野 武局長。
「俺の刀、和泉守兼定で、素っ首 叩き落としてもいいけど、汚れた血で 刀を穢れさせたくないんだよな」と俺。
「おう、それもそうだな。トシ坊、武家諸法度のたたき台を おいらと斎藤さんで創るから、トシ坊の意見も聞かせてもらっていいかい?」と北野 武局長。
「勿論。新選組敷地内に、誰が居て誰が居ないかを知りたいから、大抵 俺はここ玄関の座椅子に居る。今は 武家諸法度を創らないといけないし、何もない日でも 一度は顔を見せてくれ」と俺。
「おうっ、了解した。弟の勝には、負けてられない。おいらも、手柄を立てないとな」と言い、北野 武局長は、この場を後にした。
そして深夜遅くに、「相場の仕組みが、出来上がりました」と 晴れ晴れとした笑顔で帰って来た、北野 勝君を確認して、この日は終わりを告げた。
《はーっ、何だか もう疲れた。確かに天国は存在し、確かに土方歳三も、天国に居る。ただし 2017/08/11今現在、2回目の東 清二として、本当に最後の最後の人生を送る俺は、最低最悪の人生と覚悟はしていたけど、こんなに辛く苦しいのかと シナリオ以上の最低最悪っぷりを実感している。福岡に入る時には有った 真実の目を、失ってしまった。それからは、真実の目があるだろうとか 念能力者だろうとか、俺と会う人は勘違いをし続ける。苦しい方が、生きてると実感するとかね。正直、やってられない。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫、簡単じゃないことは分かる。でも、会いに来てくれ。俺の心なんて、とっくの昔に折れてしまっているから。あとは、たかだか念能力が復活すればいいだけなんだけどな。そうすれば、不死身の全宇宙の支配者 クソ大和田も、完全に消せる。不幸の使者で詐欺師のクソ高倉健と美人局をし続けた、クソ田中裕子も消す。クソ大和田の御用聞き占い師で、未来を予知出来る反面、未来を見る度に俺のこの最後の最後の人生に、選択肢がある度に悪い方に転がったり 被害が出るように仕組まれた、しかも俺の女で俺の側の人間だと思い込んでいたクソ渡辺真理も消す。最後の最後の人生で、情けが仇になることを、痛いほど痛感した。俺の寿命まで、あと15年。もう待てないから、念能力を返せ!》
こうして北野 勝君の手で、現時点での物の値段が分かる 相場という仕組みが創られた。売れれば値段は上がり、売れないと値段が下がる仕組みだ。この後、外国との取引が始まると、為替という仕組みも創られる。そして相場師の北野 勝君の、頑張りと働きによって 新選組は、資金面で だいぶ潤うことになる。次回の話は、侍の中の侍で有ろうと、武家諸法度という 破れば 即切腹の、厳しいルールが新選組に誕生します。勿論、厳しいルールなので 新選組を、辞める者も出てきます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!