表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「副長、土方」  作者: 東 清二
9/192

第九話 死別

久し振りに書いたので、結構大変でした。お楽しみいただけたら、幸いです。

第九話 死別

                   リュシフェル

江戸城内でお世話になった御家老が、とうとう病になり病床についた。医者いわく、もう永くは無いらしい。唐沢師範からさわ しはんと共にちゃんと最後を看取る。

「ゴホゴホッ、こんな有り様で申し訳ありません。病が移るといけないので、早くお引き取りを!」と御家老が言う。

さむらいの最期だ。何か言い残したい事はあるか?大体、御家老の方が息を引き取りそうじやないか」と俺。

歳三としぞう、今そんな冗談を言ってる場合か!」と悲愴感漂う唐沢師範からさわ しはん。この頃から、俺はトシではなく歳三としぞうと呼ばれるようになっていた。三歳さんさいを入れ替えて、当て字で歳三としぞうとよばせる事にしただけなのだけど。名前ぐらい、ちゃんと自分で決めなくちゃね。

唐沢師範からさわ しはん、酷な様だけどさむらいにとって死は日常だ。せめて畳の上で死ねるだけで十分だろう。最後に遺言だけ聞いて立ち去ろう」と俺。

歳三としぞう、それしかできないのか?」いつもは明るい唐沢師範からさわ しはんも、鎮痛な面持ちだ。

「まず、俺もそうだし唐沢師範からさわ しはんも、神でも仏でもない。神は死んだ。ゴット ファーザーと俺の判断で。仏は、人は死んだら仏になると言うけれども、その人その人の概念にもよるかな。ただ、御家老もそうだし唐沢師範からさわ しはんもそうだけど、俺達はさむらいだ。どんな時だって、歯食い縛って、前へ上へ進まなければならない。殺されるのも当然、覚悟の上だ。ちゃんと最後の言葉だけ聞いて立ち去ろう」と俺。いつになっても、人の死には慣れない。

「分かった。歳三としぞうの言う通りだ。御家老、最期の言葉を」すると御家老は何とか身を起こし、最期の言葉を言った。

「強くなって下さい!誰よりも強く!私はこんなところで終わりですが、二人に会えたのが私の誇りです。特に、歳三としさんっ、あなた様が色々なものを背負い、憎むべき敵と闘っていることを私は知っているつもりです。だから、誰よりも強く!優しくあって下さい」そう言い残すと、御家老は床にへたりこんだ。

「強く、優しくか。さむらいの基本だね。早く俺も、いっぱしのさむらいになりたいものだ」

歳三としぞう、帰るぞ」唐沢師範からさわ しはんに促がされ家路に着く。


それから、幾日もたたない内に、家族に見守られながら御家老は息を引き取った。俺は葬式が嫌いだから、葬式には出席しなかった。だって、自分の未熟さ不甲斐なさに腹がたたないか?何でこんな事になるのかと。唐沢師範からさわ しはんはなけなしの貯金をはたいて、葬式には出席したらしい。知ってるかい?人間は死んでも、消えて無くなったりしない事を。ちゃんと生きれば、『天国』だってある事を。まっ、その分『地獄』も、あるんだけどね〜。

歳三としぞう、旅に出るぞ。もう、江戸には用はない」と唐沢師範からさわ しはん。もう、しっかり立ち直ったみたいだ。

「はい?」

「これから寒くなるから、薩摩さつまに向かうぞ!次は薩摩さつまのイモざむらいと対決だ」

「はい?イモざむらいなんかと闘ってどうするんだ。俺は恋がしたい」と俺。

「おっそれも良いな。だが、歳三としぞうには、まだはやい。歳三としぞうはまだ、三歳から四歳ぐらいだろ。恋はまだはやい」

「えーっ」

「まずは、私の恋。次が歳三としぞうの恋だな」

「あーあ」と俺。以上。

続編も、こうご期待。それでは、また。てへっ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ