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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第八十六話 料亭

新選組しんせんぐみ 局長 北野きたの たけし君が、大してお金を持っていないのに、皆を引き連れて 高級料亭へと行きます。案の定、お金が足りない…。

時代は幕末、200年以上続いた武士の世も 徳川幕府や江戸幕府と呼ばれる者たちの世も、諸外国からの外圧に屈し 終わろうとしていた。時代の中心は天皇の居る京の都で、後に幕末の志士と呼ばれる若者たちが、変革の時とばかりに活動していた。そんな時代に 京の都で、良くも悪くも 幕府が倒されるのは分かった。其れでも 最後のさむらいとして、最後まで 幕府と会津地方あいづちほうに味方する、さむらいの集団が存在した。その名も、新選組しんせんぐみ。時代の中心たる京の都で、それ故 治安の悪化が起こり 治安維持の為にも、機能していた者たちだ。壬生狼みぶろとか、人斬り集団と揶揄されてもね。


そんな新選組しんせんぐみの局長は、中年期の漢 北野きたの たけし新選組しんせんぐみ 副長に、俺 土方歳三ひじかたとしぞう。一番強い 正に一番の隊、一番隊 隊長は 斎藤一さいとうはじめ。一番隊 隊員に、天才 沖田総司おきたそうじ。同じく 一番隊 隊員に、新選組しんせんぐみの元気印、 最近お酒の味を知った 安藤あんどう ジュンヤ。最近 お酒の味を知った一番隊 隊員は、もう1人いて 名はリュウスケ、口が聞けない少年だ。よく死人の出る四番隊 隊長に、豪快な漢 近藤勇こんどういさみ。四番隊 副隊長に、無口で 常に殺気を帯びている野口君ぐちくん。後方支援を目的とする 新選組しんせんぐみ 最後の隊、八番隊に、沖田おきたを優しく見守る 井上源三郎いのうえげんざぶろうと、新選組しんせんぐみの唯一の女性 源爺げんじいを慕う安藤あんどう ユウコさんが、紅一点 頑張っている。頑張っているといえば、学問の先生をしている 北野きたの まさる君と、新選組しんせんぐみは刀は極めた。ということで、銃火砲部門にて内田うちだ ジュンが研究をしている。


馬鹿局長の発案で、新選組しんせんぐみの面々は吉原遊廓へと繰り出し、また馬鹿局長の発案で料亭へ行くことになった。

「馬鹿局長、さっきまで高級料理と高いお酒を飲んでいたから、別に腹は減っていないんだけどな」と俺。

「トシ坊、もっと高い料理と もっと高いお酒を飲もう。大丈夫、おいらの奢りだ」と北野きたの たけし局長。

「もっと高い物って…。そんな風呂敷に収まる金で、足りると思っているのか?」と俺。

「トシ坊、大丈夫だ。おいらが こういう日の為に、コツコツ貯めたお金だ。大船へ乗ったつもりでいい。全く、トシ坊は心配性だな」と北野きたの たけし局長。

「大船か。泥舟じゃないと、いいけどな」と俺。

そして 馬鹿局長の案内でたどり着いたのが、京でも 一二を争う高級料亭だった。北野きたの局長殿、肩書きに馬鹿が付くだけあって、この人数で こんな高級料亭で食べたら、確実にお金が足りない…。

俺は念のため、この高級料亭の蔵の位置を把握しておく。


馬鹿局長は、料亭の女将に「一番広い部屋の用意と、一番高い酒と飯を、じゃんじゃん持って来てくれ」と、ご機嫌な様子で伝える。

女将が「値は張りますよ」と言うが、我らが馬鹿局長は、意に介さない。

結果、新選組しんせんぐみの面々は、一番広い大部屋へ通され 着席する。先ずは、すぐに日本酒が出てきた。

「トシ坊!高級日本酒は、どうだい?」と北野きたの たけし局長。

「うん、新選組しんせんぐみの屯所に置いてある、会津地方あいづちほうの越後産の日本酒の方が、美味しいな。まあ、この酒も悪くはないけど」と俺。

「トシ坊、屯所に置いてある酒って、越後産なのか?」と北野きたの たけし

「ああ。斎藤さいとうさんのおかげでな。越後の国までは会津地方あいづちほうで、斎藤さいとうさんとは、縁がある。越後の国は、米どころ酒どころだしね」と俺。

と、料理が運ばれて来た。ハモや海産物、干物に煮物 米や山菜などが並んだ。


「うん、遊郭はともかく 料亭に、源爺げんじい安藤あんどう ユウコさんが居るのは、正解だな。八番隊の源爺げんじいも、安藤あんどう ユウコさんも、これが京の都の高級料亭で出される、日本一高い 高級料理だ。八番隊として出す料理の参考にでも、してくれ」と俺。

「かしこまりました。牛肉料理は、ないみたいですね」と源爺げんじい

「ああ。京の都問わず、きちんとした牛肉料理を出す店を作ったら、繁盛して儲かるだろうな」と俺。

「ふふ笑。この時代に、新選組しんせんぐみの皆さんは、屯所や道場で 牛肉を召し上がっているのですものね」と安藤あんどう ユウコさん。

「笑うのもいいけど、安藤あんどう ユウコさんも 味噌汁に出汁を取って入れる方法を、学んでおきなさい」と俺。

「その内…。」と、小声になる安藤あんどう ユウコさん。


「副長、こんな高級料亭だと 局長殿の用意した金が、足りないかもしれませんよね」と斎藤さいとうさん。

「ああ。念のため 俺も金を持ってきたけど、それを合わせても足りない可能性があるな」と俺。

「何か、手はありますか?」と斎藤さいとうさん。

「うん、この料亭の蔵の位置は把握している。序でに、高級料亭の厠の作りを見てみたいから、俺と斎藤さいとうさんとで、見に行ってみよう」と俺。

俺と斎藤さいとうさんで 厠へ行き、汲み取り式の高級料亭の厠より、新選組しんせんぐみの自動で流れる仕組みになっている厠の作りの方が、いいと確認した。

丁度いいところに、この料亭で下働きをしているであろう 下男を見つけたので、声を掛けてみる。


「そこの下男、聞きたい事がある。この料亭で、大人数で飲み食いしたら とても数十両では、足りないよな?」と俺。

「はいー、足りませんだ。少なくても、数百両はかかりますだ」と下男。

「よしっ、蔵へ行こう。下男、付いて来い」と俺。

俺、下男、斎藤さいとうさんの順に並び、料亭の蔵へと行く。

日中なので、蔵に鍵がかかっておらず、付近には誰もいない。蔵には、金目のものや 大判小判などが、雑然と置かれていた。

「数百両掛かるというなら、俺と斎藤さいとうさんとで、三百両づつ。下男には、三百両と手間賃 百両だ。足りるか?」と俺。

「そっただ大金、夢のようだ。あどは、なかったことにすればいいだか?」と下男。

「ああ。蔵の中の見た目は変わらず、奥から 合計一千両頂けばいい。人としての一線は越えてしまうけど、別にいいよな下男?」と俺。

「出来ますだ。大丈夫ですだ」と下男。

俺と斎藤さいとうさんは、三百両づつ手に入れ、下男は「こんな大金 手に入るなんて、夢みたいだ。これ持って、国さ帰るだ」と言い、四百両を手に入れた。


俺と斎藤さいとうさんが、戻ると 新選組しんせんぐみのみんなは、高級料亭から引き揚げるところで、あとは料金の支払いのみとなっていた。

「おいらの奢りだ」と言っていた馬鹿局長は、料亭の女将さんに「新選組しんせんぐみ 局長様。飲食代金、しめて500両やわ〜」と言われ、青ざめている。

「局長殿、忘れ物です」と俺は、馬鹿局長に三百両を渡す。

「副長に同じく」と、斎藤さいとうさんも 馬鹿局長に、三百両を渡す。

「トシ坊 斎藤さいとうさん…。」と、驚き 感極まる、北野きたの たけし局長。

「女将さん、合わせて6百両ある。釣りはいらないよ」と俺。

自分の蔵の中のお金とも知らず、「さすが、新選組しんせんぐみ 局長様やわ〜」と女将さん。

俺も斎藤さいとうさんも馬鹿局長も、料亭から無事出れた。


少し歩いてから、馬鹿局長に「あんな大金、どう工面したのか?」と聞かれ、「蔵にあった金が、蔵へ戻っただけだ」と、俺は事情を説明する。

その上で 馬鹿局長に、今後は代金 料金の相場や、下調べをしてから行くようにと、釘を刺しておいた。

「トシ坊と斎藤さいとうさんのおかげで、なんとか おいらの面目が立った。今後は、最低限 下調べはする。ありがとう」と、馬鹿局長は深々と頭を下げる。

「まあ 馬鹿局長の面子を立てるのも、副長としての俺の役目だ。さあ高級料亭の酒よりも、新選組の越後産の酒の方が美味い事が分かった。越後産の日本酒で、偶には斎藤さいとうさんも交えて、深酒といこう」と俺。

「全然、いいですよ。越後も含めた 会津地方あいづちほう産の酒を深々と飲みましょう」と斎藤さいとうさん。

「おうっ、トシ坊だけじゃなく 斎藤さいとうさんとも呑めるのか。それは、楽しみだな。気分を変えて、飲み直しだな」と北野きたの たけし局長。

そうして、夜が更けていった。


《うん、土方歳三ひじかたとしぞうとしての人生。例えば、2017/07/15今現在 俺の過去 土方歳三ひじかたとしぞうは、日本にも地球にも居ない。でも地獄が存在する分、天国も存在し 土方歳三ひじかたとしぞうは、天国に確かに存在する。俺の過去たちと、俺の側の人間達と共にね。2017/07/15今現在 日本にも地球にも存在するのが、2回目のひがし 清二きよじとして 最低最悪の人生、その分 最後の最後の人生を送る俺だ。全宇宙の支配者 クソ大和田おおわだによって送られた先、福岡で この千年間ぐらい首の皮一枚ぐらいで、繋いできたもの積み重ねてきたものを全て失った。時代は、大和田おおわだの世で こんなに俺が時代に機能しないことは、地球が出来て以来 初めてだ。そりゃ バブルは崩壊するし、日本は災害大国になり 日本中どころか、世界中がめちゃくちゃになり不幸になり 糞まみれとなった。長ければ、俺が寿命を迎えるまでの あと15年間、クソ大和田おおわだの世が続く。俺に、念能力さえあれば、念能力さえ復活すれば、不死身のクソ大和田おおわだも 消せるし、大和田おおわだの世なんぞ、とっとと終わらせられる。俺に、念能力を!》


こうして さむらいの集団たる新選組しんせんぐみのトップ 北野きたの たけし局長が、恥をかいたり 面子を潰されずに済んだ。おかげで俺と斎藤さいとうさんは、盗人だけどね。ただ盗みを働いたとしても、土方歳三ひじかたとしぞうとしての人生を終えたあと、功績を鑑みれば 罪とは言えないと、三大長老の2人に判断してもらえたけど。次回の話は、俺と俺の側の人間の、存在や情報を売って 自分を有利に優位にしていく、糞詐欺師 クソ高倉健たかくらけんが、会津藩あいづはん 筆頭家老として 出てきます。この詐欺師は、自分が詐欺師だと認識していないから、厄介なんだよな。さて、どうなることやら。以上。

読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

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