第八十五話 遊郭
馬鹿局長と俺に呼ばれるようになった、新選組 北野 武局長の発案で、新選組の面々で、吉原遊廓へと繰り出します。ちなみに 風俗は、俺の苦手なものですが…。
時代は幕末、徳川幕府は 図体ばかりが大きくなった恐竜のようになり、大きくなり過ぎた分 身動きが取れなくなり硬直し、もはや倒されるしかなくなってきていた。1つの時代が終わり、混乱のあと新しい時代が始まる。その混乱につけ込まれないよう、気をつけなければならない。諸外国は、もっぱら帝国主義がもてはやされ、領土を広げようと虎視眈々と 日本を注視していた。長らく鎖国をしていた徳川幕府には、諸外国との交渉能力もなく 日の本中に不安と不満が満ちていた。そんな中、俺たち新選組は 最後まで侍として、散ると分かっていても 生きていこうとしていた。
そんな新選組の局長は、最近 哀姫のおかげで、俺との距離感が近くなった齢30ぐらいの漢、俺は馬鹿局長と呼ぶことにした 北野 武。新選組 副長に、年齢が15歳で 馬鹿局長にトシ坊と呼ばれることになった俺 土方歳三。一番強い一番働く 一番隊 隊長に、武器を使った戦闘なら 日の本一の19歳の男 斎藤一。一番隊 隊員に、とにかく速く 史上最も全宇宙の支配者 クソ大和田を殴りつけた15歳の少年、天才 沖田総司。同じく 一番隊 隊員に、歳の頃 12歳~13歳ぐらいの憧れた存在に成れた 安藤ジュンヤ。もう1人の一番隊 隊員、歳の頃11歳~12歳ぐらいで 口の聞けない リュウスケ。よく死人が出ることで、4という数字が死人番号と呼ばれている四番隊 隊長に、武骨で気骨のある豪快な中年の漢 近藤勇。四番隊 副隊長に、近藤さんの用心棒を兼ね ちゃんと生きて帰ってきてくれる野口君。新選組 最後の隊、末広がりの八番隊に、沖田を見守る中年の男 井上源三郎と、そんな源爺を慕う女性で 才色兼備な安藤 ユウコさん。学問の先生として、北野 勝君。銃火砲部門に、拳で語る 内田 ジュンが、研究に励んでいる。
今日も 一番隊に関しては、無事 生きて帰ってきてくれて、俺が新選組の玄関に置いてある座椅子で ゴロゴロしていると、何やら風呂敷を携えた 馬鹿局長がやって来た。
「トシ坊、安藤 ジュンヤ先輩も リュウスケも、無事 一番隊として活躍しているので、おいら 女でも紹介してやろうと思うんだ」と北野局長。
「何で それで、風呂敷が要るんだよ」と俺。
「いや トシ坊は知らないかもしれないけど、京には吉原遊廓といって 金さえ払えば、いい女なんて いくらでも紹介出来るんだよ」と北野局長。
「どっちかっと言うと、俺は反対だけどな。いつ斬られて死ぬか分からないけど、新選組は侍の集団で、京の町娘にはモテる。わざわざ金払って、遊郭へ行くこともないんじゃないか?」と俺。
「トシ坊、反対なのか…。トシ坊の言うことは、聞いといた方がいいからな」と北野局長。
「まぁ せっかく京の都に住んでるし、手の空いてる者連れて 社会科見学として 遊郭へ行く分には、いいよ。抱くか、抱かないかは、本人たちの自由ということで」と俺。
「本人たちの自由だな。よしっ、みんな連れて行こう」と北野局長。呼びに行く。
さすがに馬鹿局長は 新選組のトップだけあって、呼んだら呼んだで、新選組の顔役の侍達が揃った。侍が、何故 吉原遊廓へ行かなきゃいけないのは、分からんが。
「よしっ、おいらの奢りだ。みんなで、吉原遊廓へ行こう」と北野局長。
「沖田、源爺と安藤 ユウコさんを呼んできて。女性を見るには、女性に限る」と俺。
「ウキッ」と沖田2人を呼びに行く。
堅物の源爺と、女性の安藤 ユウコさんが来ると、馬鹿局長が動揺する。
「トシ坊!源さん だけならともかく、安藤 ユウコも、遊郭へ連れて行くのか?」と北野局長。
「ああ。女性を見るには、女性に限る。少なくても、安藤 ユウコさん以上の女性じゃないと、俺は抱かない。勿論、吉原遊廓にも 個室はあるだろうし、やる やらない は個人の自由だ。あと、そんな風呂敷に収まる 馬鹿局長の金が、足りればいいけどな」と俺。
「おうっ、それもそうだな。まぁ、行くだけ 行ってみよう」と北野局長。
「これから遊郭へ行くのに、イクだけ イッテみようもないだろ」と俺。
「ゲラゲラゲラ笑。トシ坊!そっちのいくじゃない」と北野局長。
みんなで てくてくと、吉原遊廓へ向かう。
そういえば俺は、吉原遊廓問わず 遊郭へ行くの初めてで、大門をくぐって 物珍しく歩く。其れは、ジュンヤやリュウスケも一緒で 色っぽい艶のある女性たちを、物珍しそうに眺めている。
「おうっ、トシ坊!トシ坊は、どの娘にする?」と北野局長。
「うん、俺には哀姫がいる。それに見渡したところで、八番隊の安藤 ユウコさんを超える女性は、いないみたいだしな」と俺。
「トシ坊、それは 哀姫や安藤 ユウコが、凄すぎるだけだよ。そう言われてみると確かに、吉原遊廓といっても こんなものか。安藤 ジュンヤ先輩やリュウスケは、どうだい?」と北野局長。
「後輩の北野 武さん、トシさんが行くからついてきただけで、僕やリュウスケには 遊郭は、まだ早いですよ」と安藤 ジュンヤ。
「馬鹿局長だけ、遊んでいけばいいじゃねえか。必要なら、近藤さんも野口君も連れて。俺と斎藤さんは、この吉原遊廓の責任者に会ってくるよ。この時代は、本番も禁止されてないだろうし、避妊という概念もないだろうし。じゃ、そういうことで」と俺。
斎藤さんが、かつて斎藤屋敷といって、諜報や情報収集 ビジネスをしてしたので、吉原遊廓の責任者の男に 会うことが出来た。俺や一番隊 八番隊も、一緒だ。責任者の男は、終始 斎藤さんへ ぺこぺこ頭を下げ、俺が なるべく本番をしないで 要らぬ子供が生まれないようにと伝えると、それも「頑張ります」と責任者の男が言う。せっかくなので、遊女が居ないところで 宴会でもしようとなり、責任者の男が案内してくれた。
豪勢な料理に 高級な酒に、沖田が「ウキウキ」言い はしゃぐ中、宴会となった。
「副長、金は 吉原遊廓の責任者の男が、出すそうです」と斎藤さん。
「了解。ジュンヤもリュウスケも、一番隊入りして もう社会人だから、へべれけにならない程度に、お酒を飲んでいいよ」と俺。
「うわーい!僕もリュウスケも、社会人!」と はしゃぐ安藤 ジュンヤ。「これが、お酒。これが、大人の味か」と、ジュンヤもリュウスケも チビチビお酒を飲む。
「副長、会津藩 筆頭家老が誰だかが、分かりました」と斎藤さん。
「うん、糞詐欺師 クソ高倉健だろう?」と俺。
「はい。クソ大和田と内通していて、手に負えません。斬りますか?」と斎藤さん。
「うん、斬ってもいいんだけど、クソ高倉健は、俺と俺の側の人間たちに甚大な被害をもたらし、クソ大和田と大和田の側の人間たちに多大な利益をもたらし、自分だけ 安心安全な場所へと帰って行く。それだったらクソ高倉健は、とっとと大和田の側の人間になれ という話なんだけどな。そんでもって、今 会津藩 筆頭家老をしているように、金持ちだったり 有利な優位な立場を、俺と俺の側の人間たちを売って得ている。斬るのは簡単だけど、寿命が尽きるまで待つしかないな。クソ高倉健は、天国には、立ち入り禁止にしといたからね」と俺。
「そうか…。そういえば、そうだった。寿命が尽きるまで、長いですね」と斎藤さん。
「ああ。その代わり、寿命が尽きれば 大和田の側の糞野郎に、なるしかない。永遠に絶対に、糞詐欺師 クソ高倉健は、俺の側の人間にはしないしな。哀姫の価値も分からず、クソ大和田に売りやがったからな」と俺。
「哀姫様まで、売ったんですか?」と斎藤さん。
「ああ。自分の条件を、良くする為だけにな」と俺。
何やら 外が、バタついてると思ったら「トシ坊、こんなところに居たのか。女の次は、飯でも食べに行こう」と北野局長。
「ああ、いいよ。ちょうど糞野郎の話をしていて、ぶち切れてたからな」と俺。
吉原遊廓から、新選組の面々は、飯でも食べに遊郭から出た。俺にとってはこれが、最初で最後の吉原遊廓となった。何もしてないけどね。
《時間的には、新選組の頃より 数百年後の俺は、東 清二という名で、何をやっているんだ俺は…。ただのアホじゃねえか?と思いながら、このゴミみたいな糞みたいな捨て人生を送っている。ただでさえ最低最悪の人生なのに、もはや想定外の苦しみだ。たかだか、念能力を手に入れればいいだけなのに。もう最後の最後、クソ大和田も 大和田の側の人間たちも 糞詐欺師にして やっと死にやっと大和田の側の人間に成った クソ高倉健も、地球には存在しない。もう誰も、騙されずに済む。あとは、念能力だけ。とっとと復活しろ!そして哀姫と一緒に、未来を掴むんだ 俺。じゃないと、俺の側の人間たちが待ち続けてる意味がない。あと15年も、待たせられない》
こうして 初めての吉原遊廓で、何もせず帰った。この後、システムとして文太の依頼で、本番をしない ちゃんと避妊をする風俗街を創ったことがある。でも、客として 俺が風俗に行くことは、松田優作をしてた時の、一度だけだ。その時も、社会勉強の為に風俗嬢をしようとしてた子の母親まで出て来て、結局 何もせず風俗嬢と その母親に、寿司だけご馳走して帰った。俺には、風俗へ行くのは向かないという、いい社会勉強にはなった。さて、次回の話は 吉原遊廓帰りに、馬鹿局長が高級料亭へ行くと言い出し、大して金がないので なんとか切り抜けます。どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!