第八十四話 距離
俺の宝物 哀姫の存在で、哀姫を大事にする 北野 武局長と、俺との距離感が変わります。
時代は幕末、幕末と言われるとうり 徳川幕府とか江戸幕府と呼ばれるものが、終わろうとしていた。幕府という体制も、根本から揺らぎ 時代の大きな転換点に入ろうともしていた。そんな中、火中の栗を拾い 最後まで幕府と、幕府に京都守護職を命じられた会津藩と会津地方に味方する侍の集団がいた。その者たちは、天皇の居る この時代の中心 京の都に居て、名は新選組という。そんな新選組の局長に、いつもふざけては人を笑わす 中年の漢 北野 武。新選組 副長に、鬼の副長呼ばわれも どこ吹く風で、やっと宝物を見つけ機嫌のいい俺 土方歳三。一番強い一番かっこいい一番隊 隊長に、武器を使わせての戦闘なら おおよそ世界一の斎藤一。一番隊 隊員に、本気になったら 速度なら世界一の天才 沖田総司。同じく 一番隊 隊員に、侍に憧れ一番隊に憧れ どんどん自分の憧れの存在に成っていく 安藤 ジュンヤ。もう1人の一番隊 隊員、口の聞けない リュウスケ。よく死人の出る 恐怖の四番隊 隊長に、実戦でこそ力を発揮する『天然理心流』の強さを証明し続ける、中年の漢 近藤勇。四番隊 副隊長に、無口な 近藤さんの用心棒 野口君。後方支援を主な任務とする 新選組最後の隊 末広がりの八番隊に、槍の使い手で 沖田が機嫌がいいと、自分も機嫌の良くなる井上源三郎と、才色兼備な安藤 ユウコさん。孤児院としての機能を持つ 新選組で、学問を教えているのが 北野 勝君。いずれ有る戦に備えて、銃火砲部門を内田 ジュンが担当し、日夜 研究に励んでいる。
俺が門番も兼ね、新選組の玄関に置いてある座椅子で、ごろごろ していると、一番隊の面々が 今日も殺されず帰って来た。
「トシさーん!今日も僕は斬られず、たくさん斬って帰って来ましたよー」と、新選組の元気印 安藤 ジュンヤが、俺に 嬉しそうに報告する。
「うん、無事に帰って来てくれることは、有難い。何か ジュンヤもリュウスケも、手傷すら負わないな。ジュンヤやリュウスケが教わった『天然理心流』の凄さと、あとは努力と才能か」と俺。
「やったー!トシさんに、褒められた」と安藤 ジュンヤが喜ぶ。
「うん、ただ ジュンヤもリュウスケも 、斎藤さんを見てごらん。斎藤さんも、たくさん人を斬るのに、返り血1つも負わないんだよ」と俺。
「あっ、本当だ。斎藤さんが、一番人を斬るのに」と驚く ジュンヤ。
「ジュンヤもリュウスケ、まだまだ強さには先がある。いつか京の都で、一番隊も四番隊も 人を斬らずに済む日が来るといいのに」と俺。
「トシさん、今の京の都は 悪者の吹きだまりみたいになっています。悪・即・斬です」と斎藤さん。
「うん、俺の宝物も居れば、クソ大和田や その側の人間たちも居る。プラス マイナス、0かな。悪・即・斬か。さすが、斎藤さんだ。じゃあ俺は、悪者の吹きだまりみたいになっている京で、宝物に会いに行ってくるから、斎藤さん 門番をよろしく」と俺。
てくてくと、哀姫のいつも居る 民家の前まで行くと、確かに哀姫は居たが 先客も居た。
哀姫が、俺を見つけ「馬鹿トチーヤイ!馬鹿トチーヤイ!また カナチャリングに、会いに来てくれたヤイか?」と嬉しそうに言う。
「ああ、カナパンマンに会いに来た。で、北野 武局長は、こんな所で 何をしているんだ?」と俺。
「おうっ、土方殿に こんな所で出くわすとはな。おいら、この子がいつも気がかりでな。いつも カナ姫は一人ぼっちで、寂しそうに悲しそうにしているからな。だから おいら、ここを通る度に 時間があったらカナ姫を、笑わすことにしてるんだ」と北野 武局長。
「さすがだな。俺に何も言われていないのに、カナを姫を付けて呼ぶとはな。俺の上に立っても、問題なくやっていける訳だ。北野局長には 改めて伝えておくけど、この子の本名がピノコ・ナディア・哀姫という。そんでもって、俺の全ての人生とうしての宝物なんだよ。ちなみに、哀姫という漢字はこうだ」と俺。地面に、哀姫と書く。
「おうっ、哀しいに姫で、哀姫なんだな。確かに、いつも哀しんでいる。土方殿、そんな名前じゃ ずっと哀しんだままになるのじゃないかい?」と北野局長。
「言わなかったかい?俺の全ての人生とうしての宝物だと。カナも俺も、生まれ変わる度に 姿形が変わるんだよ。だから 、巡り会えた瞬間に哀姫だと思い出せるように、普段の状態 いつも哀姫は、1人で哀しんでるから そのまま哀姫と、ずっと以前の俺 中大兄皇子ぐらいの時に名付けた。それ以来 哀姫は、俺の宝物なんだよ」と俺。
「土方殿が、元 中大兄皇子…。哀姫が、男に触れられると 悪寒がするっていうのは?」と北野局長。
「うん、俺には両親が全くいなく、太陽から地球へ 生まれ落ちたんだよ。その時 哀姫は、月のお姫様をしていた。かぐや姫のモデルになったね。月のお姫様だから、太陽の堕とし子の俺じゃないと 悪寒がする、そんな星の下に生まれたんだろう。その分、俺が触れると 喜びに変わる」と俺。
俺が、哀姫を抱きしめると「ふにふに、ふにふに」と哀姫は、ご機嫌になった。
「おうっ、土方殿なら、哀姫に触れても大丈夫なんだな。じゃあ おいらは、笑わせておこう。コマネチ!」と北野局長。コマネチのポーズをとる。でも哀姫は、機嫌がいいだけで、笑いはしない。
「コマネチなんてされても、カナは笑いもうせんヤイ」と哀姫。
「この時代に、コマネチか。北野局長、今のポーズで2回 コマネチって やってみ」と俺。
「土方殿、1回でもウケなかったのに、2回やるのか?」と北野局長。
「今まで、俺の言うことに間違いがあったか?ウケなかったら、俺が北野局長に頭を下げるから、2回コマネチっとしてみ」と俺。
「確かに土方殿の言うことに、間違いはなかったな。でも土方殿、これはお笑いだから 哀姫が笑わなかったら、本当に頭を下げてもらうぞ」と北野局長。
「ああ。それで大丈夫だ。俺も 何かするしな」と俺。
「コマネチ」と北野局長。ポーズをとる。
「ちんちん」と俺。股間を、手で上げる。
「コマネチ」
「ちんちん」
「おもちろいろいヤイ!おもちろいろいヤイ」と哀姫が笑う。
「ほらな、大丈夫だろ。チの音に、ちの音を合わせて 合体技にするんだよ」と俺。
「ゲラゲラゲラ笑。おいら お笑いでも、土方殿に勝てないのか」と北野局長。
「うん、北野局長の場合、笑わせたい相手が、新選組で学問を学ぶガキンチョだったり、哀姫だったりするから、それだと笑わせたい対象が同じなんだよ」と俺。
「馬鹿トチーヤイ!馬鹿トチーヤイは、今 おいくつヤイか?」と哀姫。
「大体だけど、15歳ぐらいだよ」と俺。
「土方殿!15歳って…。まだ 坊やじゃねえか。おいら 少なくても、18歳~20歳ぐらいだと思っていた」と北野局長。
「うん、俺の場合 適正年齢、自分が一番力を発揮する年齢が、15歳ぐらいなんだよ。適正年齢だと、沖田も15歳、斎藤さんだと19歳、哀姫だと6歳、北野局長だと30歳ぐらいかな」と俺。
「おうっ、おいらの一番力を発揮する適正年齢は、30歳か。じゃ、ちょうど今ぐらいだな。土方殿は、15歳だから トシ坊と呼んでもいいかい?」と北野局長。
「ああ。俺が、俺が呼ばれていると認識できるなら、呼び名なんて何でもいい。ただし それだと、俺は 北野 武局長のことを、馬鹿局長と呼ぶことになるけど 問題ないか?」と俺。
「ああ、トシ坊。それで、問題ない。確かに、おいら トシ坊に比べると、バカだからな」と北野局長。
「哀姫には説明したけど、片仮名のバカは悪口だよ。でも、漢字の馬鹿は 悪口ではない。馬がどれだけ、人の役に立ってきたか。鹿も、過去に吉兆があった。ところで馬鹿局長、国よりも税務署よりも 恐い存在が、何だか分かるかい?」と俺。
「国よりも税務署よりも、恐い存在…。この時代だと、ヤクザもマフィアも居ないし、何だろう」と北野局長。
「正解は、動物愛護団体。確かなことは、哀姫は動物と話が出来るし、動物愛護団体を敵に回すと 哀姫も、敵に回るかもしれない。馬鹿局長、覚えておくように」と俺。
「ゲラゲラゲラ笑!一番恐いのが、動物愛護団体。おいら、しっかり覚えとかないとな」と北野局長。
「うん、あとは俺と馬鹿局長の距離感を、近くしよう。この時代に、カナをカナ姫と呼んで「コマネチ」と笑わせようとするのは、実は凄い事なんだ。俺には俺の側の人間達がいて、馬鹿局長が嫌ってる 俺にとっても敵である クソ大和田には 大和田の側の人間たちがいる。そんで お互いの存在を消すか消されるか?の戦いを、長いこと続けている。それを知らない 一般人が居て、馬鹿局長は、第3の勢力なんだよ。第3の勢力だけど、俺と馬鹿局長との距離感をなるべく近く 尚且つ、緊密に連携していこう。例えば、今の新選組のようにね」と俺。
「そうか!おいら 第3の存在なんだな。了解した、トシ坊!よろしくお願いします」と北野局長。
「じゃあ 哀姫、今日のところは これで帰るけど、こんな所に1人ぼっちで居るぐらいなら、新選組へ 遊びに来てもいいからね。新選組のトップ 馬鹿局長と、新選組のNo.2で副長で トップ・オブ・トップの俺が、了承したからね」と俺。
「了解しもした!了解しもした!場所がわかったら、すぐ遊びに行き申すヤイ。馬鹿カナちゃんは、毎日 馬鹿トチーヤイに会いたいし、ずいーっとずいーっと一緒に居たいヤイ」と哀姫。
「おうっ、哀姫が新選組に遊びに来るのか。米はあるし、勉強なら 弟の勝が教えられるし、大歓迎だ。おいらも、新選組の局長として、了承した」と北野局長。
「じゃあな、俺の宝物 カナパンマン」と俺。頭を撫でる。
「ウニウニッ、ウニウニ」と、喜ぶ 哀姫。
俺と馬鹿局長は、新選組の屯所へ帰り この日はこれで終わった。けれど、ちゃんと哀姫を大切にする馬鹿局長と、俺との確かな絆が生まれた日でもあった。
《哀姫と馬鹿局長か。俺も含め、2017/07/03今現在 3人ともバラバラだ。きっと哀姫は何処かで哀しんでいて、馬鹿局長はテレビと映画で活躍中、そんでもって俺はというと、2回目の東 清二として、このゴミみたいな糞みたいな最低最悪の人生の終末を迎えようとしている。クソ大和田も 大和田の側の人間たちも居ない場所へ 俺はたどり着いたが、ここには哀姫も馬鹿局長も 俺の側の人間たちも居ない。哀姫、会いに来てくれ!貧も孤独も、もう うんざりだ。念能力よ!いつまで俺を、待たせるんだ。俺の優しさを、クソ大和田は甘さと捉え クソ大和田にいいように使われていた、クソ田中裕子もクソ渡辺真理も ちゃんとぶっ消すから。こういう時に厄介な 糞詐欺師 クソ高倉健も、やっと死にやっと大和田の側の人間になった。あとは福岡に居る、クソ澤野 ジャイアンジャイ子夫妻をぶっ消せば、一丁あがりだ。その為には、俺の寿命がとっとと尽きるか、念能力が復活するかだ。もう この糞みたいな時代を、糞みたいな世界を変え 救え俺》
こうして哀姫を笑わせ、馬鹿局長と俺の距離感も 近くなった。この日以来、俺は北野 武を馬鹿局長と呼ぶようになり、俺が何度 生まれ変わろうが、馬鹿局長は俺のことをトシ坊と呼ぶようになった。次回の話は、調子に乗った馬鹿局長が、新選組には大してお金がないのに、遊郭へと繰り出します。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!