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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第八十話 一番

斎藤屋敷さいとうやしきが無くなり 気落ちする斎藤さいとうさんだが、そんな斎藤さいとうさんを元気付けるべく、俺は一番隊と行動を共にします。俺の宝物かもしれない少女を見つけるのですが、一番隊と行動を共にする分、俺は毎日 人を斬り、どんどん汚れていく。いつか、話しかけられたらいいのにという思い。他に、新選組しんせんぐみに 新たな仲間と銃火砲部門が、創設されます。

時は幕末期、各地で雄藩が力を蓄え 台頭し、徳川幕府の支配力は衰退していく一方で、武士の世も刀の時代も、終わろうとしていた。ただし敗者の美学という言葉があるように、負けるにも負け方がある。敗者と歴史上なろうが、徳川幕府が滅びようが、さむらいの集団 俺たち新選組しんせんぐみは、幕府の側に立ち 繋がりのある会津地方あいづちほうをも、守ろうとしていた。歴史上、最後のさむらいとしてね。そんな新選組しんせんぐみの局長に、いつもふざけては人を笑わし、冗談を言ってばかりいる ガキ大将がそのまま大人の漢となった者、俺からすれば こういう男が政治をしてほしいと思わせる中年の漢 北野きたの たけし新選組しんせんぐみ 副長に、未だ少年で 強さと優しさがあれば、厳しさもあり その厳しさ故に、鬼の副長と呼ばれ始めた俺 土方歳三ひじかたとしぞう。一番隊 隊長に、最近 京の都の人々の為に機能していた斎藤屋敷さいとうやしきを解体し、そのせいか少し気落ちしている 俺より四つ年上の斎藤一さいとうはじめ。一番隊 隊員に、未だ少年のスピードスター 天才、沖田総司おきたそうじ。4という数字が死人番号と呼ばれ始めたきっかけ、よく死人の出る 四番隊 隊長に、実戦でこそ生きる『天然理心流てんねんりしんりゅう』の強さを証明した、局長と同世代と思われる 豪快な漢 近藤勇こんどういさみ。四番隊 副隊長に、無口で 斬られる前に斬るを実践している、近藤こんどうさんの用心棒 野口君ぐちくん。後方支援を目的とする新選組しんせんぐみ 最後の隊 八番隊に、槍の使い手で沖田おきたの保護者の井上源三郎いのうえげんざぶろう。同じく 八番隊に、紅一点 美貌と才能を併せ持つ女性 安藤あんどう ユウコさん。自由なさむらいに憧れ、そうなりつつあるガキンチョ2人 安藤あんどう ジュンヤに、理由は分からないし聞くつもりもないけど、口の聞けないリュウスケなどが居て、子供らに日本一の学問を教える先生として、北野きたの まさる君が日々 歴史を歴史の証人たる新選組しんせんぐみの面々に 聞き取りながら、頑張っている。


街の為に機能していた斎藤屋敷さいとうやしきが無くなり、京の都の人々がひっきりなしに、新選組しんせんぐみの玄関の座椅子に座っている斎藤さいとうさんの所へ やって来る。そんな中で、斎藤さいとうさんの判断に、俺が助言を加えることで、気落ちしていた斎藤さいとうさんが「これが、ビジネスか」と少しだけ、マシな気分になったみたいだ。因みに、解体され 働いていた人達も解散した斎藤屋敷さいとうやしき跡地に、クソ大和田おおわだが小屋を建て、斎藤さいとうさんの真似をしようとするが、上手くいくわけなく 借金と無駄な在庫だけ抱え、散り散りに逃げていった。不幸の王様 クソ大和田おおわだに、大金を稼げるだけじゃなく 人をも幸せにする、商売ではなくビジネスが出来るわけないからね。


もともと新選組しんせんぐみでは、俺は一番隊と行動を共にすることが多いが、斎藤屋敷さいとうやしきが無くなり、気落ちする斎藤さいとうさんを元気付けるべく、気晴らしに京の都へと一番隊と俺で繰り出す。基本的に、俺も斎藤さいとうさんも 武器の有る無し関係なく、喧嘩は強いので 京の都にちょっとでも気に障る者がいたら、まずは蹴りを入れるところから始める。其れを見ながら、相変わらず 沖田おきたは「ウキ、ウキ」言っている。


例えば 薩摩藩さつまはんの藩邸にカチコミに行ったり、長州藩ちょうしゅうはんの者や脱藩浪士のアジトに、「御用改めである」と踏み込んでも、斎藤さいとうさんは左利きもあり、俺の左側に居て 補佐をしてくれる。一番隊の隊長は 斎藤さいとうさんだが、どうやら斎藤さいとうさんは、トップよりもNo.2の方が力を発揮するみたいだ。これは、新たな発見だった。俺の前に居たり、俺の後ろに居たりする 天才 沖田総司おきたそうじに関しては、どうすればいいか知らないし、源爺げんじいとちょくちょく会える環境にいれば、問題ない。


俺が毎日のように、一番隊と行動を共にして、人を斬らない日というのが、1日もない。徳川幕府が衰退し、時代の中心は 天皇のいる京の都で、志しがある者なら兎も角、各藩から居場所がなくなり 京の都へたどり着く者も多い。当然 街は荒れ、俺たち新選組しんせんぐみの出番となる。人を斬るたびに、俺自身も汚れていくんじゃないか?と思いながら、一番隊は四番隊と連携しながら 一番働く一番強い隊となる。


月に一度の新選組しんせんぐみの顔見せ行進の時もそうだし、一番隊で目の前を通り過ぎる時もそうだし、いつも1人で居る 歳の頃 6歳ぐらいのと思われる、小さな少女を見つけた。もしかしたら 俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫かなひめかもしれない。でも もともと、俺はシャイで ぶっきらぼうだし、いつか人を斬らなかった日に話しかけようと決めても、人を斬らない日がなかった。だから今日も その子は独りで、今日も俺は人を斬り 汚れたから、話しかけられないという日々が続いていた。


ただ新選組しんせんぐみの屯所へ帰れば、「トシさーん!今日 何人斬りましたかー?」と、安藤あんどう ジュンヤが、まるで人を斬るのが手柄みたいに、明るく元気に話しかけてきて、ちょっとはマシな気分になる。また 後方支援部隊の八番隊が、美味い飯と美味い酒を用意してくれているので、俺は、新選組しんせんぐみの敷地内に入ると、ホッとする。序でに、北野きたの たけし局長の、「大和田おおわだに、斎藤さいとうさんの真似が出来る訳ないんだ。ざまあみろ」という話しも、さすが局長といったところだ。


新選組しんせんぐみの道場では、木刀 竹刀の他に 安藤あんどう ユウコさん得意の薙刀、源爺げんじい得意の槍の稽古も導入され、新しく銃や大砲を研究して それ相手にどう戦うかを考える、銃火砲部門も設置が決まった。

銃火砲部門を担当するのは「俺は、この拳だけで生きてきた。俺より弱い奴の下にはつかない」と豪語して 新選組しんせんぐみの道場へやって来た、内田うちだ ジュンという名の男だ。

「じゃあ、拳だけで」と俺が拳だけで闘い、返り討ちにした。

その上で俺が「今この時代は、拳だけでは生きていけない。刀も槍も、使えないと駄目だ。内田うちだ ジュン君も、この道場で まずは、刀と槍を使えるようになってくれ。そんでもって、銃と大砲も使えるようになってくれ。銃火砲部門のトップとしてね。その上で、新選組しんせんぐみにおいて、一番働く一番強い一番かっこいい 一番隊に入ってほしい。安藤あんどう ジュンヤとリュウスケと一緒にね。そしたら俺は、一番隊から抜けて 副長だけをするよ。せっかく宝物を見つけたのに、俺の手は毎日 汚れていくからな」と伝える。


内田うちだ ジュンが、新選組しんせんぐみ入りと銃火砲部門入りを承諾すると、「うわーい!僕もリュウスケも、一番強い 一番隊入りだー!」と安藤あんどう ジュンヤが、大喜びをしている。

「あとは 銃火砲部門の手伝いと、安藤あんどうジュンヤとリュウスケが、ちゃんと殺されずに 一番隊でやっていけるように、引き継ぎだけはするよ。安藤あんどう君もリュウスケも、一番隊 隊長は斎藤さいとうさんだから、ちゃんと言うことを聞くように。一番隊は、刑務所に入れられるのも 殺されるのも、禁止だからな」と俺。

「はーい!見習い卒業!一番かっこいい、一番隊入りだー!」と喜ぶ 安藤あんどう ジュンヤ。其れを見て、リュウスケも笑顔になり 覚悟を決めたみたいだ。


《2017/06/02今現在の俺は、2回目のひがし 清二きよじとしての人生で、1回目と違い 生き地獄をのたうち回っている。1回目のひがし 清二きよじとしての人生は、華々しくビジネスマンをしていた。念能力者ではなかったが、ひがし家当主の目を持っていて、其れを使い 大金を稼げるだけじゃなく、人をも幸せにするビジネスをしていた。その後、両手の指じゃ足りないぐらい生まれ変わり、いろんな名で生きた後、この最低最悪の人生 その分、最後の最後の人生を送っている。幸い 危機はあったものの、ホームレスにもならなくて済んだし、刑務所にも入らなくて済んだ。もう寿命なんて尽きて構わないし、待てど暮らせど 念能力が復活しない。せめて俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫かなひめに、会わせてくれ。きっと どっかで、独りぼっちで 哀しんでるから。俺が東宮御所で、神道の儀式をしていたのは12歳までで、それ以降は神道の儀式はしていない。12歳になり念能力者成ったら、神道の儀式をする予定だった。でも、念能力者だったのは二日間だけで、俺は念能力を失ってしまった。偽者の天皇や偽者のクソ皇太子が、神道の儀式をいくらやろうが、無駄で むしろ逆効果で、日本は災害大国になってしまった。そして俺が、堕ちるところまで堕ち、そうなれば日本も世界中も 堕ちるところまで堕ちた。長ければ、あと15年も 耐え続けなければならない。だから、待ってんだ。念能力を返せとね》


こうして新選組しんせんぐみにも、銃火砲部門がつくられ 一番隊にも、見習いを卒業した安藤あんどう ジュンヤとリュウスケが、引き継ぎを終わり次第 入る運びとなった。因みに銃火砲部門を担当する 内田うちだ ジュンは、生まれ変わっても 最後の最後の俺の人生に、最初は喧嘩で のちに友人となって登場してきた。ジュンとは暫く会っていないが、俺が這い上がれば 内田うちだ ジュンも這い上がるだろう。俺はいずれ、さむらいの集団としての新選組しんせんぐみを復活させるつもりだからね。次回の話は、一番隊の引き継ぎの話と、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫かなひめを見つけます。さて、どうなることやら。以上。



読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

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