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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第八話 君臨

江戸城にとどまってるところです。

第八話 君臨

                  リュシフェル

将軍をぶっ飛ばし、次期将軍の資格を望みもしないのに手に入れた。それなのに、俺を拾ってくれた唐沢師範は、あいからわず江戸城外の寺子屋に通っている。あいからわず子供好きらしい。俺の後ろ盾となってくれたご家老はというと江戸城内での説得にあたり、徐々にではあるが俺の味方になってくれる人を増やしてくれている。最近では俺は玉座に座り、将軍抜きで評議にあたってたりもする。でも、俺まだ三歳だよ?こんなんでいいのかな?ちなみに俺の呼ばれている名前は年齢の三歳を逆にして、歳三としさんとか歳三としぞうとか適当である。なんだかなー。もともとは「トシ」と唐沢師範に呼ばれていたから、まあ漢字になっただけでもいい感じかな。


将軍の玉座に座る。もうこの頃になると俺が玉座で相談事を持ち込まれるのが当たり前になっていた。そばにはご家老がいて、いちいち相談事の背景を説明してくれる。


例えば薩摩藩がのらりくらりとなかなか幕府の言う事を聞かないことについて、俺の答えられる範囲で答える。実は薩摩の島津家は幕府にとって時限爆弾であると。徳川幕府が求心力を失ったときに爆発する時限爆弾で爆発しないために将軍が何をできるか考えろと答えた。しかし、将軍は俺にぶっ飛ばされて以来、姿を見せない。なので仕方なく俺が玉座に座っている。今こそ、将軍が指導力を発揮するときなのに。


 周りが動いてやっと将軍がやって来た。

「私は上様であるぞ。控えろっ」声が震えている。

「てめえっ上様の意味知っているのか?」

「私が上だから上様じゃ」

「違えよ。上杉様を省略して上様だ」

「何を根拠にそんなことを」

「将軍が上様と呼ばれるようになったのは八代将軍からだ。俺がそう呼ばせた」

「吉宗公?」

「ああ、過去の俺だ。それ以来、八は吉数になった。お前と俺、どっちが将軍にふさわしいかな?」

「私は将軍だ」

「ああ、知ってるよ」

「だから、偉いのだ」

「三歳のガキにぶっ飛ばされるやつがか?」

「帰る」こんなもんです。


「ごほっごほっ」

「ご家老、あんまり良い咳じゃないな」

「そんなことより、トシさんっ吉宗公だったのですか?」

「昔な。周りがどうしても将軍になってほしかったらしい。ほかの将軍候補を暗殺してもな」

「暗殺?」

「ああ。今はもう、目安箱は置いてないのか?」

「読むのが大変すぎるとかで」

「多分、政とは面倒くさいことを面倒くさがらずにやることだと思う。俺が上杉謙信だったころは領土をくまなく見てまわったんだけどな。そのうえで戦を無意味だと判断した。自給自足ができたからな」

「ごほっごほっ」

「ご家老、少し休んできなさい」

「しかし、まだトシさんの話を聞いていたい」

「いいから。俺は唐沢師範と遊んでくるから」

「分かりました。では少しだけ休ましてもらいます」


 たまには江戸城の外に出てみるのもいいもんだ。唐沢師範のいる寺子屋に行く。あいからわず子供が大好きらしい。

「すいません、トシといいます。唐沢師範に会いに来ました」

「はーい」すぐに案内される。子供に刀の使い方を教えてるところだった。

「トシ、どうした?トシも、遊んでいかないか?」

「唐沢師範、残念だけどご家老はもう持たない」

「どういうことだっ」

「もう、寿命だろう」

「どうすればいい?」

「それを話に来たんです。正直、あの人がいなくなるなら、俺が江戸城にいる意味もなくなる」

「トシっすぐに江戸城へ」

「はいっ」さて、どうなることやら。以上。



よろしければ続編も、期待していてください。

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